アメリカ合衆国の「ナマズ戦争」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/31 14:48 UTC 版)
「バサ (魚)」の記事における「アメリカ合衆国の「ナマズ戦争」」の解説
2002年、米国は、ベトナム政府から資金援助を受けたベトナム人の輸入業者が米国市場でナマズ類のP. bocourti(バサ)とP. hypophthalmus(チャ、スワイ)を不当廉売し、公正な競争を阻害しているとしてベトナムを糾弾した。アメリカのナマズ養殖業協会は、最初これらの魚をナマズ (catfish) の名で売ることを禁止するよう議会に圧力をかけた。2003年にアメリカ合衆国議会は、輸入魚に新たな関税を課すとともにナマズと表示された魚の輸入を禁止する法律を通した。アメリカ食品医薬品局のルールの下、アメリカナマズ科の魚のみナマズとして販売することができた。その結果、ベトナム人の輸出業者は、米国市場向けには"basa fish"または"bocourti"と表示して販売するようになった。 アメリカのナマズ養殖業協会は、これらの魚の価格が不当に安く設定されており、ベトナム政府もダンピングを支援していると訴えた。2003年にアメリカ国際貿易委員会はダンピングを認め、反ダンピング税を課した。その後、税率は何度も見直され、2014年には税率が最大63.88%に上げられた。また、2008年にはアメリカ食品医薬品局から、より厳格なアメリカ合衆国農務省に扱いを移した。これらの動きについてベトナム政府は保護貿易として強く批判している。 「ナマズ戦争」の絶頂時には、米国のナマズ養殖業者らは、輸入ナマズを品質の劣るものと喧伝したが、ミシシッピ州立大学の研究者は、58名を被験者とする二重盲検法の味覚試験において、輸入バサの方が好ましいとした人数は米国ナマズを選んだ人数の3倍にのぼった。 このような対立にもかかわらず、ベトナムからアメリカ合衆国へのパンガシウス属の輸出は増加傾向にあり、2016年の輸出額は17億ドルに達した。
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