アカバナ属とは? わかりやすく解説

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アカバナ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/08 01:42 UTC 版)

アカバナ属
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: フトモモ目 Myrtales
: アカバナ科 Onagraceae
: アカバナ属 Epilobium
学名
Epilobium L. [1]
タイプ種
オオアカバナ E. hirsutum L.[2]
  • 本文参照
オオアカバナ、イギリス
エゾアカバナ、スロベニア
ホソバアカバナ、尾瀬ヶ原
アカバナ、福島県会津地方
カラフトアカバナ、フランス

アカバナ属(アカバナぞく、学名:Epilobium 、漢字表記:赤花属、赤葉菜属)は、アカバナ科の1つ[1]

特徴

一年草または多年草でまれに低木状になる。は単葉で、互生または対生する。は両性で、紅色から白色、上部の葉腋に単生するか頂生する。片と花弁は4個あり、雄蕊は8個でうち4個が長い。子房は下位で、花の基部に花柄状につく。花柱は1個で柱頭は4裂するか、球状または棍棒状になる。果実は細長い4稜形の蒴果になり、4室あり、先端から裂開する。1室に多数の種子がある[1][3]

分布

日本に12種あり、数種の帰化種がある。世界の温帯から寒帯に約215種分布する[3][4]

日本に分布する種

柱頭(雌蕊の先端)が4裂するもの
  • オオアカバナ Epilobium hirsutum L. - 茎の高さは1.5mにもなり、多くの枝を分け、長い軟毛と短い腺毛が密生する。葉は長楕円形から長楕円状披針形。柱頭は4裂する。湿った草原、川岸や谷間の湿地などに生育する。本州の中部地方以北にまれにあり、ユーラシア北アフリカの温帯に広く分布する[3]。絶滅危惧II類(VU)(2017年、環境省)。
  • エゾアカバナ Epilobium montanum L. - 茎の高さは20-100cmになり、多くの枝を分け、曲がった細毛が生える。葉は卵状披針形から卵形。柱頭は4裂する。全体の印象はカラフトアカバナに似る。湿った裸地に生育する。南千島、北海道、本州の中部地方以北、ヨーロッパ北アフリカ西アジアシベリア樺太に分布する[3]
柱頭が球状のもの
  • ケゴンアカバナ Epilobium amurense Hausskn. - 茎の高さは20-50cmになり、2列の稜線上に短い伏毛がある。葉は長楕円形から楕円形。柱頭は球状になる。亜高山帯の渓流沿いや乾いた斜面に生育する。南千島、北海道、本州、四国、樺太、ハバロフスク地方カムチャツカ半島千島列島アムール州沿海地方朝鮮半島台湾中国大陸ヒマラヤに分布する[3]
    • イワアカバナ Epilobium amurense Hausskn. subsp. cephalostigma (Hausskn.) C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven - 茎の高さは25-100cmになり、上部で枝を分け、ふつう茎全体に毛があり、ときに無毛で2稜がある。葉は長楕円形から長楕円状披針形。柱頭は球状になる。基本種のケゴンアカバナに似るが全体に大きい。山間の渓流沿いややや乾いた斜面に生育する。南千島、北海道、本州、四国、九州、アムール州、沿海地方、朝鮮半島、中国大陸などに分布する[3]
柱頭が棍棒状で、茎に稜線が無いのもの
  • エダウチアカバナ Epilobium fastigiatoramosum Nakai - 茎の高さは10-50cmになり、稜線は無く、曲がった細毛があり、多く枝を分け、葉は狭長楕円形から長楕円状披針形。柱頭は棍棒状になる。ホソバアカバナの葉が広い個体に似る。湿原に生育する。北海道にまれ、アムール州、沿海地方、モンゴル、朝鮮半島北部、中国大陸東北部に分布する[3]。絶滅危惧IA類(CR)(2017年、環境省)。
  • ヒメアカバナ Epilobium fauriei H.Lév. - 茎の高さは3-25cmになり、稜線は無く、全体に短毛があり、枝は分けない。葉は線形から線状長楕円形、縁に1-4対の鋸歯がある。柱頭は棍棒状になる。秋の終わりに葉腋にむかごをつける。高山の砂礫地に生育する。北海道、本州(伯耆大山が南限)、千島列島、カムチャツカ半島に分布する[3]
  • ホソバアカバナ Epilobium palustre L. - 茎の高さは10-80cmになり、稜線は無く、全面に短毛があり、ときに枝を分け、葉は線形から線状披針形。柱頭は棍棒状になる。湿原に生育する。南千島、北海道、本州の中部地方以北、ユーラシア、北アメリカの温帯に広く分布する[3]
  • トダイアカバナ Epilobium platystigmatosum C.B.Rob. - 茎の高さは10-70cmになり、稜線は無く、全体に曲がった毛があり、多く枝を分ける。葉は線形から披針形。柱頭は太い棍棒状かほぼ球状になる。深山の湿った裸地に生育する。本州(神奈川県以西)、四国、九州(宮崎県)、朝鮮半島南部、台湾、中国大陸南部、フィリピンに分布する[3]。絶滅危惧II類(VU)(2017年、環境省)。
  • アカバナ Epilobium pyrricholophum Franch. et Sav. - 茎の高さは15-90cmになり、稜線は無く、短い腺毛があり、上部で枝を分け、葉は卵状から卵状披針形。柱頭は棍棒状になる。山野の水湿地に生育する。南千島、北海道、本州、四国、九州、沿海地方、樺太、千島列島、朝鮮半島、中国大陸に分布する[3]
柱頭が棍棒状で、茎に稜線があるもの
  • アシボソアカバナ Epilobium anagallidifolium Lam. - 茎の高さは3-15cmになり、2列の稜線に曲がった細毛が生える。葉は下部のものは楕円形で対生し、上部にものは披針形で互生し、縁は全縁か上部のものにまばらな細鋸歯がある。萼にほとんど毛が無く、柱頭は棍棒状になる。花柄に短毛があり、果時に1-4cmに伸びる。果実は長さ1.7-3.6cmになり、無毛か細毛がまばらに生える。種子に乳頭状突起がある。高山の雪田などや渓流沿いなどの湿った場所に生育し、しばしば株状になる。南千島、北海道、本州の中部地方以北、北半球の周極地域に広く分布する[3]
  • カラフトアカバナ Epilobium ciliatum Raf. subsp. ciliatum - 茎の高さは25-90cmになり、稜線上に曲がった短毛があり、枝を分け、葉は線状披針形、卵状披針形から長楕円状披針形。柱頭は棍棒状になる。山野のやや湿った裸地に生育する。南千島、北海道、本州の中部地方以北、朝鮮半島、中国大陸、アムール州、沿海地方、ハバロフスク地方、樺太、カムチャツカ半島、北アメリカに分布する[3]
  • ミヤマアカバナ Epilobium hornemannii Rchb. - 茎の高さは5-25cmになり、稜線上に曲がった白毛が生える。茎の下部には小型の葉が対生し、中部の葉は長卵形になり、縁に低鋸歯がある。萼に腺毛があり、柱頭は棍棒状になる。花柄と果実に腺毛があり、果実は長さ4-6cm、果柄は長さ8-20mmになる。種子に乳頭状突起がある。高山や亜高山の渓流のふちに生育し、しばしば株状になる。南千島、北海道、本州の中部地方以北、北半球の周極地域に広く分布する[3]
  • シロウマアカバナ Epilobium lactiflorum Hausskn. - 茎の高さは5-30cmになり、稜線上に白毛と腺毛が生える。葉は長楕円形から卵状披針形で、縁に細鋸歯がある。萼に密に腺毛があり、柱頭は棍棒状になる。果実は長さ2-5cmで毛はほとんど無く、果柄は長さ1.5-3cmになる。ミヤマアカバナによく似るが、種子に乳頭状突起がない。高山の雪田などの湿地に生育し、茎は1本立ちし、しばしば株状になる。北海道、本州の中部地方、ユーラシア、北アメリカの高山に広く分布する[3]

帰化種、国外の主な種

  • タイワンアカバナ Epilobium brevifolium D.Don subsp. trichoneurum (Hausskn.) P.H.Raven
  • オオチシマアカバナ Epilobium ciliatum Raf. subsp. glandulosum (Lehm.) Hoch et P.H.Raven
  • ノダアカバナ Epilobium coloratum Biehler - 帰化種。北アメリカ原産で、本州の東北地方南部と関東地方の低湿地に帰化する[3]
  • ゴウカンアカバナ Epilobium hohuanense S.S.Ying
  • モウコアカバナ Epilobium minutiflorum Hausskn.
  • タイリンアカバナ Epilobium nankotaizanense Yamam.
  • チゴアカバナ Epilobium palustre L. var. fischerianm Hausskn.
  • ムクゲアカバナ(ススヤアカバナ) Epilobium parviflorum Schreb. - 帰化種。ユーラシアの温帯に広く分布し、日本では本州の中部地方以北の低湿地に帰化する[3]
  • タイワンミヤマアカバナ Epilobium taiwanianum C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven

なお、かつてはヤナギランを本属に含めた。

脚注

  1. ^ a b c 『日本の野生植物草本II離弁花類』p.264
  2. ^ Epilobium L. Tropicos
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『改訂新版 日本の野生植物 3』pp.262-267
  4. ^ Epilobium, The Plant List.

参考文献



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