をかし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/21 05:22 UTC 版)
をかしとは、日本文学(平安期の文学)上における美的理念の一つ。語源は愚かな物を表す「をこ(痴、烏許、尾籠)」が変化した物という説が有力である。
をかし の意味
をかしの意味は5つ挙げられる。 ①こっけいだ。おかしい。変だ。 ②興味深い。心が引かれる。おもしろい。 ③趣がある。風情がある。 ④美しい。優美だ。愛らしい。 ⑤すぐれている。見事だ。すばらしい。
平安時代
平安時代の王朝文学において、「もののあはれ」と共に重要な文学的・美的理念の一つ。「もののあはれ」が「しみじみとした情緒美」を表すのに対し、「をかし」は「明朗で知性的な感覚美」と位置づけられる。
「をかし」は、景物を感覚的に捉え、主知的・客観的に表現する傾向を持ち、それゆえに鑑賞・批評の言葉として用いられる。この美的理念に基づき記されたのが『枕草子』である。そのため『源氏物語』を「もののあはれ」の文学と呼び、一方『枕草子』を「をかし」の文学と呼ぶ。しかしこの理念は『枕草子』以外の平安文学ではあまり用いられず、それゆえ「をかし」の文学理念は、『枕草子』固有になっている。
室町時代
室町時代以降、「をかし」は滑稽味を帯びているという意味に変化した。世阿弥の能楽論では狂言の滑稽な様を「をかし」と呼び、これが江戸時代に滑稽本などに受け継がれて、現在の滑稽味のあるという意味の「おかしい」に至ったと思われる。この他、和歌などの評価に「をかし」を用いる場合が見られる。
参考文献
- 『新訂 総合 国語便覧』 第一学習社 ISBN 4-8040-3301-7
- 『日本歴史大事典』 小学館
外部リンク
- をかし - weblio古語辞典(学研全訳古語辞典)
をかし
「をかし」の例文・使い方・用例・文例
- 彼女は首をかしげた
- 花子は背もたれに寄りかかって、首をかしげた。
- 私たちはそれをどうしたものかと首をかしげております。
- 恋人たちは自分たちの頭文字をかしの木に刻んだ。
- 彼女はちょっと首をかしげて、黙然と立っていた。
- 君は彼にちょっと手をかしてやりさえすればいい。
- 君の車をかしてくれませんか。
- ちょっと消しゴムをかしてくれませんか。
- (つんとすましたり, 好奇心をもったりして)小首をかしげる.
- たる[机]をかしげる.
- 最近は首をかしげたくなるようなおかしな事件が多い.
- 本当かしらと問いたげに小首をかしげてこちらを見た.
- 飯をかしぐ
- 小首をかしげる
- 小首をかしげて考えておった
- 彼は小首をかしげてしきりに考えておった
- 力をかして援助する
- 今では首をかしげることができ,そのことは表情を豊かに見せている。
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