(2)ろう教育現場における同時法的手話を起源とする日本語対応手話
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1968年、栃木県立聾学校の田上隆司は同時法、つまり手話単語と指文字を用いて日本語を表示することを提案した。口話法主義下のろう学校における手話の禁止を問題と考え、日本語と手話という2つの言語に加えて、その中間的存在も認め、同時法的手話がその橋渡しになるという認識のもとに導入された。 (上記の通り、1920~30年代にも方法的手話・人為的手話という用語が使われているが、ろう教育史の概論では、栃木県の同時法を日本語対応手話(に該当するもの)の起源として紹介するものが多く見受けられる) ◆伝統的手話:日本手話を指す。 ◆同時法的手話(後の日本語対応手話、厳密な意味での手指日本語):手指で日本語を表示する方法。指文字を用いてほぼ完全に日本語の音韻・助詞・助動詞・語尾変化を表示することを理想とする。手指日本語、手で表現した日本語)ということもある。 ◆中間型手話:同時法的手話の省略形。同時法的手話の表現では時間がかかりすぎるために必要とされた。 日本語対応手話とは、同時法的手話の後続モデルとされ、語対応と指文字を使う音対応がある。指文字だけでは時間がかかりすぎるため、以下の2つの方法が考案された。 漢字対応:1つの漢字に1つの手話単語をあて、日本語の漢字をそのまま手指で表記するもの。音対応より表示のスピードは速くなるが、習得が難しく、使用者の負担が大きい。 指文字連続の省略。日本手話の語彙にも指文字を取り入れたものは見られるが、それは自由に考案できるものではなく、音韻的な制約を受ける。 日本語を手指的に表現しようとする工夫と努力は「新しい手話」とも呼ばれ、手話語彙の増加には寄与した。和製英語と同じく、聴者・日本語を第一言語とする難聴者・中途失聴者には利用しやすいが、日本手話を使用するろう者には困惑をもたらす存在になった。
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