みずがめ座プサイ1星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 21:28 UTC 版)
みずがめ座ψ1星 ψ1 Aquarii | ||
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仮符号・別名 | みずがめ座91番星 | |
星座 | みずがめ座 | |
見かけの等級 (mv) | 4.21[1] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 23h 15m 53.49482s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −09° 05′ 15.8546″[2] | |
視線速度 (Rv) | -25.88 km/s[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 368.78 ミリ秒/年[2] 赤緯: -17.16 ミリ秒/年[2] | |
年周視差 (π) | 21.77 ± 0.29ミリ秒[2] (誤差1.3%) | |
距離 | 150 ± 2 光年[注 1] (45.9 ± 0.6 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | 0.90[1][注 2] | |
みずがめ座ψ1星の位置(丸)
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物理的性質 | ||
年齢 | 3.56 ×109 年[4] | |
みずがめ座ψ1星A-BC系 | ||
軌道要素と性質 | ||
みずがめ座ψ1星Aからの平均距離 | 2,250 AU[5] | |
公転周期 (P) | ~ 45,000 年[6] | |
地球から見た位置 (みずがめ座ψ1星Aとの関係) | ||
角距離 | 52″[7] | |
みずがめ座ψ1星B-C系 | ||
地球から見た位置 (みずがめ座ψ1星Bとの関係) | ||
位置角 | 103.6°[8] | |
角距離 | 0.469″[9] | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 21.5 AU[4] | |
離心率 (e) | 0.448[9] | |
公転周期 (P) | 83.61 年[9] | |
軌道傾斜角 (i) | 87.0°[9] | |
他のカタログでの名称 | ||
ADS 16633, BD-09 6156, FK5 1608, Gl 893.2, HD 219449, HIP 114855, HR 8841, SAO 146598. | ||
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みずがめ座ψ1星(ψ1 Aquarii、ψ1 Aqr)或いはみずがめ座91番星(91 Aquarii、91 Aqr)は、みずがめ座にある連星系である。視等級は4.21で[1]、肉眼でも見える。年周視差の測定から計算した地球からの距離は、約150光年である[2]。主星の周りには、太陽系外惑星が発見されている。
星系
みずがめ座ψ1星は、三つの恒星が重力的に結び付いている三重連星系である[10]。
主星のみずがめ座ψ1星Aは、橙色に見えるK型の巨星である[11][4]。質量は太陽よりやや大きい程度だが、主系列よりも進化し、膨張して半径は太陽の10倍以上になっている[4]。光度は太陽の50倍以上、表面温度は太陽より1,000K以上低い[12]。
みずがめ座ψ1星Bとみずがめ座ψ1星Cは、主星のみずがめ座ψ1星Aから52秒離れた位置で連星系を形成する[7]。主星とみずがめ座ψ1星B、みずがめ座ψ1星Cは、固有運動が同じで、物理的に結び付いていると考えられる[10]。二つの伴星間の離角は0.5秒で、どちらも10等台の星である[9][13]。
指標 | 構成要素 | ||
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みずがめ座ψ1星A | みずがめ座ψ1星B | みずがめ座ψ1星C | |
視等級 | 4.24[2] | 10.5[13] | 10.7[13] |
スペクトル型 | K0 III[4] | K3[13] | |
半径 (R☉) | 11.0[4] | ||
質量 (M☉) | 1.4[4] | ||
表面重力 log g (cgs) | 2.52[4] | 4.57[14] | |
自転速度 (km/s) | 3.9[15] | ||
光度 (L☉) | 51.5[12] | ||
表面温度 (K) | 4,665[4] | 4,770[14] | |
金属量 [Fe/H] (dex) | -0.03[4] | -0.02[14] |
重星カタログでみずがめ座ψ1星は、CCDM J23159-0905として集録され、AからEの恒星を含む五重星となっている。連星系を形成する恒星A-Cの他に、みずがめ座ψ1星から110秒離れた13等級のCCDM J23159-0905Dと、みずがめ座ψ1星から42秒離れた14等級のCCDM J23159-0905Eがある[13]。しかし、このCCDM J23159-0905DEは、ワシントン重星カタログでは連星でないとされ、実際にみずがめ座ψ1星系とは固有運動が異なることがわかっている[13][7]。
惑星系
みずがめ座ψ1星の周りを公転している太陽系外惑星の発見は、2004年1月5日のアメリカ天文学会第203回会合で初めて報告された[16]。しかし、この発見は直ちに認められなかった。2013年、10年越しでリック天文台の60cmクーデ補助望遠鏡による視線速度の精密な測定を続けた結果、質量の下限が木星の3.2倍の惑星が周囲を公転することによるケプラー回転とよく一致することが確かめられ、正式に惑星の発見が認められた[4]。この惑星の公転軌道は円に近く、母星との距離も約0.7auとそれ程近くないと考えられる。
名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (日) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
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b | > 3.2 MJ | 0.70 | 181.4 ± 0.1 | 0.027 ± 0.026 | — | — |
脚注
注釈
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^
23h 15m 53.49482s, −09° 05′ 15.8546″
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