みいちゃんと山田さんとは? わかりやすく解説

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みいちゃんと山田さん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 00:48 UTC 版)

みいちゃんと山田さん
ジャンル 社会福祉歓楽街[独自研究?]ヒューマンドラマ[1]
漫画
作者 亜月ねね
出版社 講談社
掲載サイト マガジンポケット
レーベル KCデラックス
発表期間 2024年9月8日[1] -
巻数 既刊2巻(2025年3月21日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

みいちゃんと山田さん』(みいちゃんとやまださん)は、亜月ねねによる日本漫画作品。『マガジンポケット』(講談社)にて、2024年9月8日より連載されている[1]

概要

新宿キャバクラで新人としてデビューしたみいちゃんと、同僚の山田(やまだ)がストーリーの中心人物となっている[2]元々は作者の亜月ねねが「ダイアナ」として出版した[独自研究?]短編集『夜のことばたち』(彩図社)に収録されている『幸福のために最低限必要なもの』[3]に登場したキャラクターの過去と境遇について語った作品である[独自研究?]

みいちゃんは第1話の時点で若くして死亡することが明かされており、その結末に至るまでの過程が描かれる。2012年の歌舞伎町を舞台としている[4]みいちゃんやその家族、同僚などの登場人物の幾人かに知的障害発達障害があることが仄めかされており、福祉の手に繋がれなかったり支援の手を振り払ってしまったりして悲劇につながっていく障害者も描写されている。[独自研究?]

本作は昔の亜月の友人がモデルで、実体験を基にしたフィクションである[5]

登場人物

山田 マミ(やまだ まみ)
大学に通いながら歌舞伎町のキャバクラ「Ephemere」で働く女性。大学3年の21歳。学籍はあるが、ほとんど通学しておらず、キャバクラ嬢としての仕事も生活費のためにしているだけで、あまりやる気がない。文学好きらしく控室でよく小説を読んでいる。「山田マミ」は源氏名であるが作中では「山田さん」と呼ばれることが多い。過干渉な実母により傷つきながら育っており、どこか自分の過去と重ねるような形でみいちゃんを気にかけて関わっていく。みいちゃんの没後も一人墓参りを続けている。特技は絵を描くこと[4]。物語の翌年には髪をショートヘアに変えている。
中村 実衣子(なかむら みいこ)
宮城県出身、1991年12月生まれの21歳で「Ephemere」に初入店することとなった新人のキャバクラ嬢。一人称・愛称は「みいちゃん」。小柄で可愛らしい容姿をしており、実年齢よりかなり幼く見える。髪は幼少期よりショートボブ
中卒で簡単な漢字が読めなかったり、キャバクラでも本名を公言し個人情報の扱いに度を越して無頓着だったりと[4]、軽度知的障害者であることがほのめかされている。桃花によると漢字の読み書きができないため、高校への出願ができなかった。
ココロとの勉強会で何度練習をしても結局漢字が書けるようにならず[6]、彼女視点で客の名刺の見え方が描かれた際、文字が並んで見えていないことから[7]識字と書字両方に関する学習障害特性も併せ持つと思われる。
人懐っこい反面プライドが高く、叱られることを嫌いしばしば癇癪を起こし泣き叫ぶ。自分が障害者である可能性も受け入れようとせず、支援の手も拒絶する。学生時代よりトラブルを性的接触で乗り切ろうとする習慣がついてしまっており、街娼をやっていたこともある[8]。客や店の男性スタッフとも関係を持ってしまっている[9]。他人の価値観や個人情報、世間体などについても無頓着なところがあり、自身の両親が実兄妹の間柄であることも山田に話してしまっている。
知性が高いとは言えないが感受性が高く、他者の感情は敏感に感じ取っており、幼少期から地域社会で疎外されていたこと、実家での自分の立ち位置や祖母が自分に抱く義務感と情の無さ、実父がもう実家に帰って来ないこと、母が自分に無関心であることも理解して感じ取っており、愛情に飢えていることが過去回想編を通して描かれる。そのため、小学3年時の担任だった須崎や初恋の佐藤、山田など優しくしてくれたり、親切にしてくれる人間にはすぐに懐き好意を抱く。
本人は今も経緯を知らないが、中学1年の頃、恋敵であった同級生・雪奈の友人で自分に悪意を向ける後述のポニーテールの女子から愛の飢えを見抜かれ、「両想いになれる方法」と称した偏った性知識を吹き込まれて唆される。それにより、コンドームの万引きに手を染めてしまい、悪評が立ってクラスで孤立した上、不良の先輩達をけしかけられて純潔を奪われた際に不良達から褒め上げられたのを真に受けて「性行為をすれば異性は喜び、自分を好きになってくれる」と錯覚する。
しかし、当時意中の相手だった佐藤に自ら体の関係を迫ったら拒絶・絶縁されてしまい、理由が理解できずに自暴自棄になりあらゆる男性に自ら声を掛けて体の関係を持ち、それ以降はその場限りの男性からの優しさや自分を肯定してくれる言葉、他者との繋がりを求めて異性との性行為に依存するようになった。上述の異性に性的接触することでトラブルを解決しようとする習慣はこの時に身に付いたと思われる。
今も男性との繋がりを持つため、自分の存在価値を実感し、金銭を得るためにも性行為に依存している。
近親相姦で生まれた子という生い立ちから人生そのものが詰んでいた。地域で疎外されていた上、祖母や母の見栄とブライドから療育を受けずにほぼ無理やり普通学級に通っていたため、小学生の頃に特別支援学級を母や祖母に勧めた須崎が懸念した通りに学生時代の成功体験が無い状態で大人になっており、プライドが高い割に自己肯定感が著しく低く、少しでも叱責されると逆上して癇癪を起こし、DV彼氏のマオと離れられず依存するなど不安定なメンタルの持ち主である。
1話の冒頭、2013年3月時点では故人となっており、宮城県の山中で身元不明の遺体として発見、2巻裏表紙より2012年の夏頃に離職したことがわかっている。
ココロ
「Ephemere」のキャバクラ嬢の一人。大学3年生で[4]、理知的な女性で本名は泉水。みいちゃんに勉強を教えようとしたが、上手くいかず断念した[4]。更に自分の顔が映った写真をみいちゃんに「Ephemere」のSNSに載せられ、親や大学にキャバクラ嬢をしていることが発覚する事の重大さをまったく理解してないみいちゃんに「優しくして損した」と愛想を尽かす。
その後もDVを彼氏から受けているみいちゃんに助言をしたりと、一歩引いた形ながらもサポートを行っているがあくまでもビジネスとしての体裁を取っているだけである。裏では同年代の山田をモラトリアム人間と断じて見下すなど他の夜職の子と自分は違うと言い聞かせているだけの意識高い系である。
桃花(ももか)
「Ephemere」のキャバクラ嬢の一人。愛称は「モモさん」。普段は笑顔で糸目になっているツリ目で、たまに目を開く。嬢のリーダー格で店長とも仲がいい。口が悪く思ったことをはっきり言う性格。みいちゃんが立ちんぼ(街娼)をしていることを知っており、「面白いもんが見れる」と山田と共に立ちんぼの光景を見に行きながら、みいちゃんが街娼を行っている事情を山田に教えた。
ミスが多いみいちゃんを苛めるサディスティックな一面がある一方、洞察力に長けみいちゃんが男性から暴力を受けやすい要因に気づいている。また、みいちゃんのためではないが、客が彼女にプレゼントしたウサギのぬいぐるみに盗聴器と隠しカメラが仕込まれているのを即座に見抜いて処分し、店の治安のために一役買っている。
ニナ
「Ephemere」のキャバクラ嬢の一人。前髪をセンター分けにし、明るい色に染めた姫カット。一見しっかりとした印象の女性。大卒で昼職からの転向組だが1ヶ月で離職。ミスや忘れ物が多く、ほか後先やTPOを考えた発言が出来ず、客にセンシティブな話題を振るなどして店長からよく注意を受けていたが、山田はみいちゃんのケースとは違って常人の許容範囲内と捉えていた。
教養と社会性が欠如したみいちゃんのことをやや見下しており、店の控室で本人がいるにも関わらず失礼な発言をしてやんわりと山田から注意を受けている。
帰宅後一人になった時、みいちゃん程ではないが平均よりは劣っていること、それを自覚できる程度の頭はあること、病名ももらえないことを嘆いており、叱責されることが増えて嫌気が差すと勤務先に申告せず、無断退職することを繰り返している。退職してしまう自分のことを「人間関係リセット症候群」と自虐している。若干ではあるが社会的なルールよりマイルールを優先してしまう点はみいちゃんと共通している。本名は新名で源氏名は本名のもじりになっている。
面倒なことを先送りにして忘れる悪癖があり、実際に美容室に行くのを先送りにしてしまい、頭頂部だけ地毛に戻ったプリン頭を染め直すよう店長から繰り返し注意されている。山田から善意で髪色隠しのために高級ブランドのカチューシャを貸してもらうが、結局返さずに無断退店してしまった。
「ニナちゃんの特性を語る言葉が世間に広まるのはまだ少し先の話」から軽度の自閉スペクトラム症(DSM-IV基準ではアスペルガー症候群相当)を抱えていることがほのめかされていた。
単行本2巻に36歳になった彼女の描きおろし漫画が収録されている。
店長
「Ephemere」の店長。55歳。体験入店時点からトラブルを頻発していたみいちゃんを面白半分に正式採用してしまうなど無茶苦茶な人物。よくグラスを落として割るみいちゃんのためにプラコップを用意したり、みいちゃんがコンビニで万引きしてしまった時も身元引受人代理として迎えに行く等、採用した後は何かと気に掛け、面倒を見ている。
鈴木茂雄(すずき しげお)
「シゲオくん」と呼ばれるみいちゃんの客。小太りで眼鏡をかけた男性。世の女性を上から見下しており、世界中の女がみいちゃんのようになれば良いと考えている。「斜めに構えた態度が無理(山田)」「俺より学歴が高いから嫌い(ココロ)」「シンプルに性格が悪すぎる(桃花)」と、「Ephemere」に勤務するほかのキャバクラ嬢のことは嫌っている。
結婚願望が強く、自分の結婚相手にはみいちゃんがふさわしいと考えている。足の悪い母親と暮らしており、結婚相手には母親の介護を求めている。
マオ
みいちゃんの現在の彼氏。自称IQ130のギフテッド。小太りな体型。みいちゃんからは「マオくん」と呼ばれている。
ことあるごとにみいちゃんに暴力を振るい、街娼までさせて何かと理由を付け金銭を巻き上げている。情緒が不安定で、散々みいちゃんに暴力を振るった後で優しくし、泣きながら自分たちにはお互いしかいないと語り、みいちゃんが離れないように繋ぎ止める。
榎本睦(えもと むつみ)
みいちゃんとは保育園からの幼馴染で一緒に上京した同郷出身の友人。一人称・愛称は「ムウちゃん」。幼少期から通して結っているお団子ヘアと八重歯が特徴。素直で明るいが、服装や言動がチグハグしており、初対面の山田は違和感を覚えている。
実際、会話で言葉のキャッチボールができない、姿勢が保てない、視線の動き方や表情が不自然、字が真っ直ぐ書けないなどの特性を持つ。
風俗嬢をやっていた時期もあり、窃盗を繰り返して2年前に逮捕され、刑務所入所時の面談がきっかけで知的障害の診断がついた[8]。出所後は福祉の手に繋がることができ現在は作業所に通っている。作業所での仕事が合っていたようで、職員に褒められる現在の暮らしに喜びを感じている。風俗に関してはもうそういう行為はしないと施設の人と約束しており、風俗業に戻る気はない模様。出所後に再会したみいちゃんから街娼行為に誘われるが、「もうそういうのはやりたくない」と明確に拒否している。
みいちゃんがスマホで山田に見せた彼女の風俗嬢時代の宣材写真から、きちんとNG項目を作らずにリスキーな働き方をしていた模様。
「みいちゃんもなんか障害がありそう」と一緒に福祉事務所に通うことを勧めるが、特性ゆえのストレートな言葉がみいちゃんのプライドに障り拒絶されてしまう。
実家の母親は発達の遅れに気付いており、小学校時代に教師から特別支援学級に入ることを提案されるが「普通学級の方が刺激があってプラスになるだろう」と判断したため、みいちゃんとは異なる理由で診断や療育を受けなかった。
また、母親の選択肢は正しいとは言えないものの、娘の将来や教育について考えてくれており、幼少期は可愛らしい服を着て髪と身なりをきれいに整えられ、帰宅が遅くなれば心配して迎えに来るなど、中村家とは育児への手の掛け方に差のある家庭環境で育ったことが描かれている。
おそらく、実兄妹間でみいちゃんをもうけた中村家よりは地域での榎本家と彼女の立場は悪くなく、少なくとも小学校は不登校に陥らずに卒業まで登校する姿が描かれていることから、比較的教師やクラスなどの学校環境にも恵まれていたことが伺える。実際に成人後も、みいちゃん程の自己肯定感の低さや性への依存がなく、他者からの指摘を受け入れる素直さを持ち、情緒も安定している。
1巻の描きおろし漫画ではみいちゃんの癇癪で仲違いした後、終業後の彼女を待ち伏せて再会し「もう立ちんぼは一緒にしないけど、これからも友達でいたい」と素直な気持ちを伝えて仲直りしている。みいちゃんの癇癪に動じない、寛容な心の持ち主でもある。

みいちゃんの家族

中村芽衣子(なかむら めいこ)
みいちゃんの母親。上京後のみいちゃんとは、物語より何年か前に電話をしたのを最後に連絡を取っていない。
文字があまり読めず、計算能力も1桁の計算はできる程度。火の扱いに母親のサポートが必要だが、はっと汁などの郷土料理の調理は可能。そのほか、2歳になっても発語がない娘の発達に違和感を抱く程度の頭脳は持ち合わせている。
みいちゃんと同様にプライドが高く癇癪持ちで、娘の発達が遅いことにいら立ち手をあげて母親から止められる。みいちゃん曰く、優しい時とそうでないときの差が激しい。ほか、母親と同じく癖毛のショートヘアでいつも幼女のように前髪を結んで上げており、子どもっぽいデザインのオーバーオールなどの成人女性が着るにしてはチグハグした印象の服を着ている。母親や娘と比べると顔や体型がふっくらしている。
みいちゃんが産まれた時は喜んでいたが、育児について都合の良いことしか想定ができず、『育児』や『親の責任』という概念の理解が怪しい上、みいちゃんの服装や髪などの身だしなみに無関心。そもそも、保護者として学校に行く際に在宅時と同じ髪型に襟のよれたシャツを着て行くなど服装の『TPO』や『身だしなみ』について本人が理解できていない。
また、「漢字は読めなくていい」と考えていたり、小学校に行きたがらないみいちゃんに「金がもったいないから給食だけ食べに行きな」と伝えており、親・保護者として問題がある。
実兄との間にみいちゃんを授かって出産し、ムウちゃん母子を除き地域社会から距離を置かれている。本人は「結婚するつもりだった」程に兄を異性として熱愛しているが、当然法律上結婚できないためシングルマザー。そのため、兄が北海道に行ったきりになった後は落ち込んでいた。みいちゃんが乳幼児の頃は病院に連れて行ったり、公園に遊びに連れて行くなど多少の育児はしていたが、兄との離別と時期が重なるみいちゃんの就学以降は育児をしている描写がなく、彼女の娘への愛情と関心は兄の存在ありきであった模様。
こちらは注意欠陥多動症のほか学習障害もしくは境界知能であることがほのめかされている。
みいちゃんを産んでおり、大人のはずだがコンドームの存在を知らない、妊娠・出産するまで実兄妹間では結婚できないことを知らないなど一般常識に欠いている。おそらく避妊の知識が無かったためにみいちゃんを身籠った可能性がある。
娘の名前は「実とか食べる動物ってかわいいから」という理由で名付けた。
みいちゃんの自宅にある冷蔵庫に彼女の携帯番号が書かれた紙が貼られているが、自分から娘に連絡をすることはなく、みいちゃんも母親の無関心を察しており、「もういいかな」と諦観している。
みいちゃんの父親
みいちゃんの父親。名前不明。芽衣子の兄でみいちゃんの伯父にもあたる。癖のない髪や雰囲気がみいちゃんとよく似ている。妹同様文字があまり読めず、運転免許を持っていない。目の焦点が定まっておらず、成人男性にしては表情や仕草が幼く、妹と娘同様にチグハグした印象の独特な服を着ている。あまり喋らない。
普段は別々に暮らしており、3カ月に1度中村家に帰る生活を送っていた。実妹の芽衣子にみいちゃんを産ませたが、事態の重大性を認識していない様子。苛立った芽衣子が目の前で乳児の娘に手を上げた際は、母親が止めに入るまで黙って呑気にその様子を傍観しており、起きている出来事に対する想像力や自分が取るべき行動への判断力の欠如が伺える。
芽衣子から愛されていたことは明らかだが、本人は妹をどのように思っていたかは描かれておらず不明。みいちゃんが5歳くらいの時、強面の男に付き添われて北海道に仕事に行ったきり妹や娘と会うことは無くなったようで、2012年時点においても行方不明となっている。
宮城を去る前に一度中村家に立ち寄ったらしく、これから自身に何が起こるかを理解・予測できていないであろう無邪気な笑顔を浮かべた姿がみいちゃんの回想で描かれている。
おばあちゃん
みいちゃんの祖母で芽衣子とその兄の母。髪は白髪で娘と似た癖毛のショートヘア。みいちゃんに宮城を出て上京するように勧め、まとまった資金を渡して住まいを手配した。みいちゃんが上京して以降、おそらく何年も連絡を取っていない。
夫とは離婚して以来、女手一つで「大変な子」であった二子を成人まで育て上げた苦労人。中村家で唯一人の健常者であると思われるが、一方で孫や娘同様にプライドが高く、旧態依然の価値観に固執している一面がある。
世間体にこだわり、みいちゃんの小学生時代に須崎からの提案を拒み結局我が子や孫の診断や支援を受けさせないことで窮地に追いやってしまっている。
実の息子と娘の間に生まれた孫の存在を誕生時から快く思っておらず、むしろ生まれてしまったことに愕然とする。そのためか、幼少期から一度もみいちゃんの名前を呼ぶ場面が描かれておらず、芽衣子が幼少のみいちゃんに手をあげたのを止めた理由も「虐待になるから」であり、思いやりからの行動ではない。
本心では孫とは関わりたくないが、世間体や責任、義務感からみいちゃんが一人立ちするまでは仕方なく同居と養育を許していた模様。実際、みいちゃんの中学入学準備や上京の資金提供・住居手配はしてくれたが、小学生時代に不登校のみいちゃんが地域徘徊し幼児に他害行為を働くなど世間の目に障る行動を起こしても娘や孫を咎めなかったらしく、みいちゃんの名前と素行は進学先の中学に知れ渡る程地域で有名になっている。
さすがに娘の芽衣子には情があるらしく、唯一手元に残している。

過去編

郷田(ごうだ)
みいちゃんが小学1年生の時の担任。大柄で常にジャージを着ている男性教師。児童をいじって笑いを取ることが得意で、みいちゃんを貶めることでクラスの輪を保とうとする。みいちゃん以外の児童には概ね好かれていた。プライドが高いみいちゃんとは相性が悪く、みいちゃんを他の児童と比較していじっていた割にみいちゃんの特性には目を向けず、気に掛けることもなかった。みいちゃんが3年生まで授業を受けずに登校して給食だけ食べて下校する生活を送る元凶となる。
須崎奈々(すざき なな)
みいちゃんが小学3年生の時の担任。若い女性教師でみいちゃんを肯定的な目で見て優しく接する。当時としては先進的な考えの教育者で、みいちゃんの要支援である特性に気付く。
保護者の芽衣子と面談した際、みいちゃんを特別支援学級に入れることを勧めて逆上され、反感を買う。その後、中村家を訪問しみいちゃんの祖母にも提案を話すが、世間体を気にするあまりに拒否されてしまう。
後日、悪印象を抱いた芽衣子が「みいちゃんをバカだって言ってた」という独自の解釈を娘に悪しざまに聞かせてしまい、登校してきたみいちゃんからも発言や表情を悪く受け止められ、不信感を抱かれてしまう。芽衣子が通学に否定的だったこともあり、結局みいちゃんは最終学年になるまで不登校となってしまい、適切な支援につなげることができなかった。学籍異動前に中学校での会議でみいちゃんの入学を伝えている。
ムウちゃんママ
ムウちゃんの母親。フルネームは不明だが、おそらく姓は榎本。ロングヘアで娘と同様に八重歯がある。ムウちゃんと同じ障害が疑われるみいちゃんや芽衣子とは異なり、身なりや話はきちんとしており、健常者と思われる。
地域から遠巻きにされていた中村家の唯一とも言っていい親子ぐるみの友人。
育児にはきちんと手をかけており、娘の髪をいつもきれいに結い上げて、帰りが遅くなれば迎えに来るなど、中村家よりは真っ当な育児ができていることが伺える。
しかし、時代や地域的なこともあってか、軽度知的障害児の療育に関しては知識が欠けており、娘の発達が遅いことを悟っていても「周囲からの刺激があった方がプラスになる」と考えて、小学校から特別支援学級入ることを勧められた際、診断や療育を受けないまま中学も普通学級のままで進学させてしまう。
ムウちゃんは小学校からは比較的きちんと通学できてはいたが、結果的にこの選択がムウちゃんがみいちゃんと共に上京して風俗嬢となり売春や窃盗に身を落とすことに繋がってしまう。
一方で芽衣子のように娘に無関心になったり癇癪を起こすこともなく、娘に安定した愛情をかけていたことがプラスになった面もあると思われ、ムウちゃんが服役後素直に福祉の手を受け入れ、性産業や売春から足を洗う結果にもつながっている。
1年A組の先生
みいちゃんが中学に入学した時の担任。名前不明。眼鏡を掛けた中高年の男性教師。小学校卒業を控えた新入生の引継ぎ会議に須崎が中学を訪れた際に初めて登場している。以前からみいちゃんの名前と悪評を知っており、須崎の口から彼女の名前と入学が伝えられた際、他の教師と共に難色を示す。
みいちゃんの入学以前は少しふくよかだったが、みいちゃんが授業中に歌い出し、注意すれば癇癪を起こすなどの奇行に対応し、心労から体重が5キロ減り、白髪が増えて盲腸を患い、大分やつれた姿に変わった。みいちゃんと芽衣子との三者面談で、当たり障りない自分の言葉をそのまま受け取って喜ぶ彼女らの姿を目の前に、その察しの悪さと非常識さを独白で批難し、これまでの自分の苦心を語っている。
みいちゃんが佐藤に思いを寄せていることに気付いており、彼に「嫌われたくない」一心で授業態度が落ち着いたことに感心してはいるが、みいちゃんの学業不振を指導する気はなく、邪魔せずに大人しく授業を受けてくれれば良いと思っている。
万引き事件後、みいちゃんが中学に通わなくなったためその後は不明。
佐藤(さとう)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった男子でみいちゃんの初恋の相手。みいちゃんが授業中に歌ったのを注意されて癇癪を起こし、担任教師に連れてこられた保健室で初めて言葉を交わす。眉目秀麗で所作が上品な文学少年。ピアノが趣味で当時みいちゃんの愛唱歌だった『どんぐりころころ』を学校のピアノで弾いてくれたり、声を掛けられれば受け答えて優しく接する。物静かな女の子が好みらしく、それを知ったみいちゃんの奇行が一時的に薄まる。
みいちゃんの裏表がなく無邪気な面を好ましく思っていたが、後述するポニーテールの女子の策謀により、クラスで孤立して純潔を失い、貞操観念が歪んだみいちゃんから一室に呼び出され、体の関係を迫られて拒絶した。その時にみいちゃんの女性性の否定と幻滅、絶縁を言い渡し、それまで友好的だった関係を断つ。繊細で思春期特有の性への潔癖さを持ち合わせており、また、立ち振る舞いや社会性が実年齢に追い付いていないみいちゃんに異性意識を持つことは難しかった模様。
その後、拒絶理由が理解できなかったみいちゃんは自暴自棄になり、愛の飢えや寂しさを埋めるべく、あらゆる男性に自ら声を掛けて性的接触で繋がりを持つようになる。
みいちゃんの過去回想編終盤、彼と雪奈に後ろ姿が似ている中学生の男女が仲睦まじく手をつないで下校する姿を遠目からみいちゃんが目撃している。
しかし、作者のXの短編漫画にて彼らしき男子が雪奈に後ろ姿が似た女子にカフェで別れ話を切り出す様子が描かれている。
皐月(さつき)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。前髪をセンター分けにしてサイドをピンで留めたセミロングヘアで眼鏡を掛けている。特性が薄まったみいちゃんに自分から声を掛け、友達になる。優しい女の子で佐藤に恋するみいちゃんを微笑ましく見守り、応援してくれていた。しかし、みいちゃんがドラッグストアでコンドームを万引きしたことでクラスで悪評が立ち、周囲の目を恐れてみいちゃんと距離を置くようになる。
雪奈(ゆきな)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。長めの前髪を下したロングヘアで右口元にホクロがある。みいちゃんと同様、佐藤に思いを寄せており、彼に近付く恋敵のみいちゃんに苛立ち、悪意を抱く。顔立ちは可愛らしいが、嫉妬深く非常に自己中心的。
みいちゃんの過去回想編終盤、彼女と佐藤に後ろ姿が似ている中学生の男女が仲睦まじく手をつないで下校する姿をみいちゃんが遠目から目撃している。
しかし、作者のXの短編漫画にて彼女によく似た女子が佐藤らしき男子にカフェで別れ話を切り出されている様子が描かれており、結局振られた模様。
ポニーテールの女子
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子で雪奈の友達。いつも髪をポニーテールに結っている。名前不明。みいちゃんが佐藤に恋をしたきっかけや、その背景に気づいているなど洞察力に秀でている。
雪奈の恋を応援しており、彼女の味方。みいちゃんが愛に飢えていることを察し、それと彼女の愚直な一面を利用して雪奈の恋敵を排除するべく策謀を巡らす。
一人になった時のみいちゃんに近付き「(佐藤と)両想いになれる方法」と称して偏った性知識を吹き込んでコンドームを万引きするように唆し、クラスで悪評を立て孤立させた。その上さらに、繋がりのある不良の先輩達をメールでけしかけてみいちゃんの純潔を奪わせた。不良達がみいちゃんを事後に褒めて持ち上げたことで、これまで他者から肯定された経験がほぼ無かったみいちゃんに『性行為をすれば異性は喜び、自分を好きになる』と錯覚させ、間違った成功体験と歪んだ貞操観念を植え付けた。
後にみいちゃんが男性からその場限りの優しさや甘言を求め、他者と繋がる目的で異性との性行為に依存するようになった元凶。

反応

本作は商業出版される前に『みいちゃんと山田さん~みいちゃんが死ぬまでの12ヶ月の話~』として公開され、Kindleインディーズマンガで1位から3位を独占した[10][独自研究?]

書誌情報

出典

  1. ^ a b c 講談社 マガジンポケット(マガポケ)公式 2024年9月1日のポスト、2025年2月16日閲覧。
  2. ^ a b 不器用で生きづらい女の子たちと性風俗を巡る12カ月の物語「みいちゃんと山田さん」1巻”. ナタリー (2024年12月23日). 2025年2月16日閲覧。
  3. ^ ダイアナ『夜のことばたち彩図社、2023年3月27日、138-141頁。ISBN 978-4-8013-0655-4 
  4. ^ a b c d e 花森リド (2025年1月26日). “死んじゃったあの子の話。ピュアすぎる新人キャバ嬢たちを巡る夜の世界の12か月。”. 講談社. 2025年2月16日閲覧。
  5. ^ 第1巻 (2024), あとがき.
  6. ^ 第1巻 (2024), 第2話「べんきょうの時間」.
  7. ^ 第1巻 (2024), 第3話「特別なままでいて」.
  8. ^ a b 第1巻 (2024), 第5話「みいちゃんの友達」.
  9. ^ 第1巻 (2024), 第4話「雪降る日」.
  10. ^ アケミン (2024年2月18日). “【マンガ】「あなたのことが好き」だから…欲望から地獄へと堕ちていく「普通の女の子が抱える残酷な闇」”. 現代ビジネス. 2025年2月16日閲覧。
  11. ^ みいちゃんと山田さん (1)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2025年2月28日閲覧。
  12. ^ みいちゃんと山田さん (2)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2025年3月21日閲覧。

参考文献

  • 亜月ねね『みいちゃんと山田さん』 1巻、講談社〈KCデラックス〉、2024年12月23日。ISBN 978-4-06-537943-1 

外部リンク




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