はり師の実際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 10:02 UTC 版)
はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧は、日本古来の医学体系に古代中国(漢時代)や蘭学からの医学体系が加わって、独自の継承と発展を遂げてきている(鍼灸参照)。はり師の治療業務は、一般には疼痛病変(腰痛、頸部痛、膝痛など)への対応が主体と認識されているが、実際の鍼灸臨床において対応している疾病や症状には多くの内科疾患が含まれており、これらの疾患に対する費用対効果を考えても患者の満足度は高く、これが明治の医制改革後も、鍼灸が連綿と業として成立して来た背景をなしている。 日本における鍼は、灸、あん摩マッサージ指圧および生薬方である湯液とともに、東洋医学や漢方医学と呼び習わされてきた医療技術の一つである。湯液も鍼灸も、日本においては江戸期に独自の発展を遂げており、大陸における湯液や鍼灸と趣を異にするものに進化している。特に鍼灸は、鍼管の発明により非常に細い鍼をほぼ無痛で刺入することを可能にし、極細い鍼を使った治療技法として、日本の鍼灸は大陸の技法を大きく越える体系に脱皮したと言われる。日本における「はり師」は、この鍼管を使用した日本の鍼を主体に学習し、指導要綱においても国家試験における実技においても、この鍼管の扱い習熟は必須とされている。 免許取得者の進路状況アンケート調査報告書 平成23年(東洋療法学校協会が実施・回答率26%)の結果では、開業した、はり施術所の平均報酬または給与は14.7万円となっており、調査の開始以降給与は減少傾向にある。このように、就職ができたとしても自身の生活がやっとの給与しか稼ぐことができず、数年経っても一般企業の大卒初任給に満たない者がほとんどで、結果はり師として廃業を選ぶ者も多い。柔道整復師の免許も取得、または接骨院に勤務し保険診療を主として鍼治療を追加サービスとして提供し生活を維持する形が増加し、純粋な鍼治療院は減少してきている。
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