これらの記法で書けるもの書けないもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:09 UTC 版)
「ウッドの記法」の記事における「これらの記法で書けるもの書けないもの」の解説
まず、行列による記法、ウッドの記法は共に結晶表面の構造そのものではなく表面の格子の構造を記述するものなので、当たり前のことだが『結晶表面の構造そのもの』つまり原子配列自体は記述できない。『結晶表面の構造そのもの』を記述するためには、この情報(つまり、行列による記法又は、ウッドの記法によって与えられる情報、つまり格子についての情報)に加え『基本構造』が提示されること必要となる。 参考までに『結晶表面の構造そのもの』を知ることと『格子の構造』を知ることの間に大きなギャップがあることを強く印象付けるエピソードを紹介する。Si(111)表面の最安定構造が(7×7)構造であることは、低速電子回折法(LEED)等の電子回折法の実験から早々に分かっていた。つまり周期性(特に並進対称性)について(つまり格子の構造)の知見は早い段階で得られていた。しかし、実際の原子配列が決着するまでには長い時間がかかり、25年もの永い間様々な構造モデルが発表され、議論された。このエピソードは、格子の構造だけでは表面の構造の全てを語るどころか、原子配列すら完全には記述できないことを強く印象付ける。Si(111)-(7×7)表面の原子配列は東京工業大学の高柳邦夫らが提唱したDASモデルというとても複雑なものに決着した。決着の決め手となったのは走査型トンネル顕微鏡(STM)による測定結果がDASモデルと一致したことである。
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