クエン酸(くえんさん)
レモンやミカンなど柑橘(かんきつ)類に含まれている有機酸の一種。焼酎用の黒麹菌や白麹菌はこの酸を大量に生産することができるが、清酒用の黄麹菌はほとんど生産しない。焼酎は開放式の発酵を行うので、製造環境など外界から絶えず雑菌が侵入する機会にさらされている。したがってこれらの雑菌が侵入してきても発酵醪(もろみ)の中で繁殖することができないような工夫が必要である。わが国の醸造法では醪を酸性の状態にすることで雑菌の繁殖を抑制する技術が確立されており、焼酎では黒麹菌または白麹菌の生産するクエン酸がその役割を担っているし、清酒では黄麹菌にその能力がないので、乳酸菌の生産する乳酸にその役割を担わせている。焼酎の主産地はわが国の南に偏在しているが、このような気温と湿度の高い地域で開放式の発酵が安全に営まれるのも、クエン酸を生産する焼酎麹菌が使われているからである。
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