『抗命』の書名について
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『抗命』の初版には「烈師団長発狂す」との副題が付けられている(文庫版ではこの副題は削除された)。実際には佐藤幸徳中将は、上官である牟田口廉也中将の上申で確かに精神鑑定を受けることになったものの、作戦中もその後の精神状態も正常との結論が下されており、医学的にはこの表現は誤りである。高木は『イムパール』の終盤で佐藤を「きちがいになった-しかし真相は別にある」と書いており、「これが、実は牟田口中将の目的であった」と牟田口の責任回避策である旨を明言していた。その後、高度経済成長期に入ると部隊史が相次いで刊行され、資料が充実したため、高木は数年の準備期間をかけ再取材を実施し、東京新聞に1966年7月5日から10月8日まで『抗命』の連載を行った。更に書籍化の企画が文藝春秋より持ち込まれたため、出版に際して誤認訂正と大幅な加筆を実施している。そのため、文庫版などでは軍医が正常と診断した旨についても明記されている。一方、鑑定を行った精神科医(当時軍医大尉)山下實六は『抗命』の調査への努力は評価しているものの、当時を回顧する講演でこの誤解に触れ、この表題をつけた作者の一人として高木を指摘している。
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