『憤怒と時間』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 14:42 UTC 版)
「ペーター・スローターダイク」の記事における「『憤怒と時間』」の解説
著書 Zorn und Zeit(憤怒と時間)においては、歴史全体を通じて人類を突き動かしてきた心理的な原動力として「怒り」の感情を重視している。その傾向は西洋史において特に顕著であり、例えば(西洋史の文献としては最古のものである)ホメロス著『イーリアス』は、「女神よ、怒りを歌ってください…」という一節から物語が展開していく。 また、人間の持つ強い感情的態度を理解する上で、スローターダイクは精神分析学が果たしてきた役割を高く評価している。スローターダイクの解釈によれば、ユダヤ/キリスト教における神理解とは、結局のところ憤怒や怨念といった感情に「便乗」したものに過ぎず、いわば「報復感情に対する形而上の防波堤」のように機能しているという。神は「かくして解消されることのない怒りと報復の感情をひたすらに蓄積する墳墓の所在地」となる。
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