「聖者の子孫」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/15 04:02 UTC 版)
「ニザームッディーン廟」の記事における「「聖者の子孫」」の解説
参詣者はそれぞれ、聖者に対してさまざまな祈願を個人的に行うが、より良い結果があらわれることを期待して、「聖者の子孫」と称される人を自身と聖者のあいだに介在させることがある。「聖者の子孫」とは字義からすれば「導師」を意味するが、一般的には聖者廟やモスクをはじめとする宗教施設の管理者のことである。ニザームッディーン廟には、インド政府から任命されて聖者廟の精神的・宗教的機能をつかさどる官の役割をになうサッジャーダ・ナシーンを頂点として、約200人もの老若男女より構成される「聖者の子孫」がおり、聖者廟の南側の一画に住んで廟の管理運営にたずさわっている。 参詣者と「聖者の子孫」の関係は、ある場合には「ワキール・メヘマーン」つまり<代弁者―顧客>の関係にあり、ある場合には「ピーリー・ムリィーディー」つまり<導師―弟子>の関係をとる。参詣者が、祈願によって願いごとがかなった場合、お礼参りをおこない「聖者の子孫」に礼金を支払う習慣となっているが、この場合は、「聖者の子孫」に託された役割はワキール(代弁者)であり、参詣者と聖者のあいだの仲立ちが期待されている。いっぽう、参詣者のなかには執務室を訪ねて「聖者の子孫」に悩み事や願い事の相談をおこなう人もおり、ここでは、「聖者の子孫」はピール(導師)として参詣者と唯一神アッラーとの仲立ちをおこなう。つまり、ここで「聖者の子孫」は、参詣者に対し聖者そのものとして対するのである。 「聖者の子孫」約200人のうち、女性は概して廟の敷地内に現れることが少ない。年少の男子は廟の運営管理にかかわる雑務に従事し、ようやく青年になってワキールの仕事を託されるようになる。ピールの役割は年配になってはじめて可能となる。ただし、ワキールの仕事にたずさわる人びとは墓の周辺に待機するのに対し、ピールの仕事を担う者は執務室のなかに控えて、相談者の来訪を待つこととなる。 「聖者の子孫」は、「子孫」と呼ばれながらも実際には聖者の直系子孫ではなく、聖者とは親族関係ないし師弟関係もしくはその両方にあった人びとの子孫であることを主張する人びとである。その系統には3つの家系があり、たがいに聖者との関係の深さをきそっている。
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