《ひとまず》の敬語

実用日本語表現辞典

《ひとまず》の敬語

ひとまずの敬語表現

ひとまずは漢字で表現すると「一先ず」となります。この言葉の基本的な意味は、物事のけじめをつけることや、出来事を大まかに良いと判断することです。今後のことは置いて、そこで一区切りつける時などに用いられます。ひとまずには敬語表現が存在しません。なぜならこの言葉自体がとりあえずという言葉の敬語表現に当たるからです。とりあえずは漢字で表現すると「取りあえず」となります。他の事柄を置いておいて、現状を変えるために行動に移す時に使うといいでしょう。ひとまずの正しい使い方としては、「とりあえず」を使いたい時にその場に目上の人や上司がいた場合、失礼にならないように言い換えて表現したいときです。メールでひとまずを使うときにはひらがなで、ビジネスで使う場合は漢字を使うなどしておくと、相手への印象がよくなります。

ひとまずの敬語での誤用表現・注意事項

とりあえずに似た意味の言葉として、「一応」・「多分」・「取り急ぎ」などが挙げられますが、これらの言葉を無意識に使うと相手を嫌な気持ちにさせてしまうことがあります。問題点に注意すれば失礼に当たることもないので、正しい使い方を学んでいきましょう。「一応」を文頭につければ意味は伝わりますが、言葉として敬語表現にはなっていません。もし敬語表現として使用したいのなら、「こちら」・「念の為に」と言い換えるといいでしょう。「多分」を連発すると、無意識に責任逃れをしているという印象を相手に与えてしまいます。同じ意味の表現をしたいときは、「多分」ではなく「恐らく」を使うといいでしょう。「取り急ぎ」を使用したい時は、相手との距離感が重要になるということを忘れないでください。関係が薄い人に対して「取り急ぎ」を使用してしまうと、失礼になってしまうのです。

ひとまずの敬語での言い換え表現

ひとまずという言葉を言い換えたい時は、同じ意味の言葉を持ってきて使用するといいでしょう。ひとまずの類語には「一旦」・「さしあたって」・「差し詰め」などがあります。「一旦」という言葉の意味は他のことを考えず、一段落つくことです。この言葉を実際に使う時は、「一旦考える時間を設ける」というような風に使います。「さしあたって」という言葉の意味は、未来のことは考えないでいまのところやっていくという意味です。この言葉を実際に使う時は、「さしあたって問題はないが、今後は何か出てくるかもしれない」という時に使います。「差し詰め」という言葉は、今後のことはあまり考えないでやっていくという意味です。「差し詰め心配することはない」という文章で使います。

（2022年3月1日更新）