高木 高木の概要

高木

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/10 04:44 UTC 版)

典型的な高木であるブナ

高木に対する用語は低木である。また高さなどに基づき、高木を超高木や亜高木(小高木)などに細分することもある。ただしこれらの区分はおおよそであり、また定義も一定していないため、同一植物が異なる区分に分類されることもある[4][5]

定義

生物学における高木

高木

生物学においては、一般的に成長した状態で高さ2または3メートル以上であり、また主幹が明瞭である樹木を高木とよぶ[2][5]。狭義には高さ8–30メートルほどのものを指し、森林においては高木層(tree layer)を形成する[1]。高木層がある森林は高木林(forest, woods)とよばれる[6]。日本で見られる高木の例として、アカマツスギ(下図1a)、イチョウクスノキユリノキ(下図1b)、カツラアカメガシワシダレヤナギコナラ(下図1c)、シラカンバヤマザクラケヤキ(下図1d)、ハリエンジュイロハモミジシナノキミズキキリ(下図1e)などがある[7]

高木(狭義)の例

超高木

高さ30メートル以上になる高木は、超高木(emergent, emergent tree)ともよばれる[1]東南アジアアフリカ南米熱帯林では、一部のが超高木として高木層の林冠を突き抜けていることがある[1][8][9](下図1f, g)。またオセアニアにおけるユーカリ属の一部(下図1h)や、北米西海岸のセコイア(下図1i)およびセコイアデンドロンは、超高木からなる純林を形成する[1]

亜高木

広義の高木のうち、高さ8メートル以下のものは亜高木または小高木(subarbor)とよばれることがある[1]。亜高木は、森林では亜高木層を形成する[1]。日本で見られる亜高木の例として、シキミ(下図1j)、マンサクユズリハマサキウメ(下図1k)、ネムノキサルスベリ(下図1l)、ミネカエデヌルデハナミズキヤブツバキ(下図1m)、エゴノキ(下図1n)、ヒイラギなどがある[7]

ラウンケルの生活型

クリステン・ラウンケルChristen C. Raunkiær)は、休眠型に基づいて植物の生活型を類別した (Raunkiaer 1908)[10]。その中で、休眠芽を高さ25センチメートル以上につける植物を地上植物(挺空植物、phanerophyte)とし、さらに以下のように細分している。これらに、大高木・中高木・小高木の訳語を充てることがある[10]

  • macrophanerophyte(大型地上植物、大高木)… 休眠芽の位置が高さ30メートル以上。
  • mesophanerophyte(中型地上植物、中高木)… 休眠芽の位置が高さ8メートルから30メートル。
  • microphanerophyte(小型地上植物、小高木)… 休眠芽の位置が高さ2メートルから8メートル。
  • nanophanerophyte(微小型地上植物、矮形地上植物、低木)… 休眠芽の位置が高さ25センチメートルから2メートル。

管理・植栽における高木

緑地管理などにおける高木の定義は、省庁や自治体によってさまざまなものがある。国土交通省では、高さ3メートル以上の樹木を高木、1から3メートルの樹木を中木、1メートル以下の樹木を低木とすることが多い[11][12]環境省の「かおりの樹木データ一覧表」では、高さ5メートル以上の樹木を高木、2から5メートルの樹木を中木、2メートル以下の樹木を低木としている[13]。高木の定義として他にも、植栽時に2メートル以上で成木では4メートル以上になるもの[14]、植栽時に3メートル以上で成木では5メートル以上になるもの[15]、植栽時に4メートル以上で大きく成長が見込まれるもの[16]、などがある。

林業では、材が利用可能になる4から5メートル以上のものを高木とよぶことが多い[2][17][18]

脚注

出典


  1. ^ a b c d e f g 清水建美 (2001). “高さと形状による分類”. 図説 植物用語事典. 八坂書房. pp. 21–22. ISBN 978-4896944792 
  2. ^ a b c 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “高木”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. pp. 465–466. ISBN 978-4000803144 
  3. ^ デジタル大辞泉. “高木”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年4月10日閲覧。
  4. ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. “高木”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年4月10日閲覧。
  5. ^ a b IAWA(国際木材解剖学者連合)委員会 『広葉樹材の識別 IAWAによる光学顕微鏡的特徴リスト』海青社、1998年、90頁。 
  6. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “高木林”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 466. ISBN 978-4000803144 
  7. ^ a b 馬場多久男 (1999). 葉でわかる樹木 625種の検索. 信濃毎日新聞社. pp. 96–385. ISBN 978-4784098507 
  8. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “熱帯林”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1057. ISBN 978-4000803144 
  9. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “高木層”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 466. ISBN 978-4000803144 
  10. ^ a b 清水建美 (2001). “休眠型による区分”. 図説 植物用語事典. 八坂書房. pp. 7–8. ISBN 978-4896944792 
  11. ^ 都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)”. 国土交通省. 2022年4月9日閲覧。
  12. ^ 公園緑地工事数量算出要領”. 国土交通省. 2022年4月9日閲覧。
  13. ^ かおりの樹木データ一覧表”. 環境省. 2020年1月19日閲覧。
  14. ^ 1-7 敷地内の緑化”. 大津市. 2022年4月9日閲覧。
  15. ^ 5.用語について”. 大田区. 2022年4月10日閲覧。
  16. ^ 2)高木・中木・低木”. 世田谷区. 2022年4月9日閲覧。
  17. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “高木”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年4月10日閲覧。
  18. ^ 百科事典マイペディア. “高木”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年4月10日閲覧。


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