韓国車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 16:08 UTC 版)
概要
韓国における自動車生産は1955年、米軍から払い下げられた中古軍用車の部品を流用して製作されたジープ型乗用車「始発(시발、シバル)」(1962年まで製造)が初めてであるが、本格的な自動車生産は、日産自動車と技術提携したセナラ自動車が、日産・ブルーバードのノックダウン生産を開始した1962年8月以降といえる[2]。1988年に自動車の輸入が自由化されるまでは日米欧メーカーのモデルをノックダウン生産するケースが非常に多かった。
自動車会社 | 提携企業 | 元の車種 | ノックダウン 生産車種 |
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セナラ[3] 自動車☆(새나라자동차) | 日産 | ブルーバード | セナラ(새나라) |
新進自動車工業(신진자동차공업)[4]☆ | トヨタ[5] | トヨペット・コロナ | コロナ(코로나) |
トヨタ・クラウン | クラウン(크라운) | ||
パブリカ | パブリカ(퍼블리카) | ||
GMコリア(GM코리아)[6]☆ | GM | ホールデン・トラナ | シボレー1700(시보레1700) |
レコルト | レコード1900(레코드1900) | ||
亜細亜自動車(아시아자동차)[7] | フィアット | フィアット・124 | フィアット124(피아트 124) |
起亞産業(기아산업)[8] | マツダ | マツダ・K360 | K-360 |
マツダ・T600 | T-600 | ||
ファミリア | ブリサ(브리사) | ||
フィアット | フィアット132 | フィアット132(피아트 132) | |
セハン[9] 自動車(새한자동차)[10]☆ | いすゞ | いすゞジェミニ | セハン・ジェミニ(새한 제미니 ) |
現代自動車(현대자동차) | フォード | フォード・コルチナ | ヒュンダイ・フォードコルチナ (현대 포드 코티나) |
注:☆の付いている会社はいずれも現在の大宇自動車→GM大宇→韓国GMの前身
(自動車の輸入が)自由化された1988年の時点で30%であった乗用車の関税率は漸減され、1995年以降は8%となっている。一方で、「輸入先多辺化(輸入先多角化)制度」と呼ばれる事実上の対日輸入禁止品目において自動車が指定されていたために、日本車の輸入・販売は1998年7月に至るまで禁止されていた[11][12]。しかし、米韓FTAが2012年3月15日より発効されることとなり、アメリカ車への関税率が発効直後は4%、数年後に撤廃されることとなったため、アメリカで生産される日本車に関しても同様に関税が減少・撤廃されることとなった。これに合わせてトヨタ・カムリの韓国向け輸出は、2012年以降アメリカから行われることとなった。
韓国車はヨーロッパや北アメリカを始めとした、世界各国で販売されている。中国、インドなどの巨大新興市場での現代自動車の販売台数はトヨタを上回っている[13]。今までは価格の安さで売れていた。最大手の現代自動車でも、最大の国外市場であるアメリカ合衆国ではこれまで、自身の商品を「日本車の安価な代用品」と位置付けてビジネスを行っていた[14]。しかし、ウォン高の進行によって価格が高騰し、セールスポイントである「安さ」が失われ、逆に日本車が円安や低価格車戦略などによって韓国車より価格が下回るケースが出ている。発展途上国でもさらに価格の安い中国車にシェアを奪われつつある。そのような状況でも売上が好調な理由としては、品質面での信頼性向上もさることながら、メーカーがブランド戦略を行ったことによる、韓国車に対するユーザーのイメージの改善が好影響を及ぼしたとも考えられる。 品質面ではJDパワー社の調査によると、2006年に初期品質調査で、現代自動車の「ヒュンダイ」ブランドがポルシェ、レクサスに並んで3位になったが、[15])。同社による耐久性調査では業界平均を下回る評価に留まる[16]。しかし2016、2017年と起亜が米国の初期品質調査で1位、ジェネシスが2位を獲得するなど、近年は従来の評価を覆しつつある[17]。
しかしこのようにアメリカでの品質・信頼性への評価が全体的に向上しているにも関わらず、依然同国における現代自動車の販売は販売店への多額のインセンティブ(販売報償金)やレンタカー会社への大量販売に頼っているのが現状[14] である。同社のアラバマ工場では2007年の第4四半期に、生産調整のため2週間の操業停止を行った。これは在庫過剰にともなう措置であったが、開業間もない工場では極めて稀な事態[14] という。
韓国車のデザインは2000年代前半頃までは日本車の影響が強かったが、2000年代後半からその影響を脱し飛躍的に向上[誰?]している。これは現代自動車グループが、生産効率よりもデザイン優先に経営方針を定め、起亜がアウディのチーフデザイナーだったペーター・シュライヤーを獲得して最高デザイン責任者に据え、現代がBMWのチーフデザイナーだったクリストファー・チャップマンを獲得してデザイン責任者に据えたことが影響している[18]。流体の彫刻をコンセプトにしたデザインコンセプトが世界で受け、現代自動車グループの立役者となったペーター・シュライヤーは、2012年12月に起亜自動車社長 兼 現代自動車グループの最高デザイン責任者に就任した。
韓国車は小型車から高級車、大型トラック・バスまで車種がフルラインナップされているが、スポーツカーやスーパーカー、ピックアップトラックといった趣味性の強い車種がほとんど存在しなかった[19]。これは、韓国内でモータースポーツ文化が大衆には根付いていないことや、メーカー自体も海外レース参戦(によるブランドイメージ向上)に消極的であることが理由として挙げられる。その点は韓国メーカー側も自認しており、2010年代以降はモータースポーツへの参戦や、高級車・高性能ブランドの立ち上げに努めている。
- ^ 2021年1月 - 9月期限定のランキングが3位であり、2021年間ランキングは4位。2021年上半期(1月 - 6月)は4位。2021年下半期(6月 - 12月)は4位。
- ^ “[単独]現代車販売量史上初の「世界3位」”. Steam Charts. 2022年1月17日閲覧。
- ^ 特集 韓国自動車市場と産業・経済 韓国自動車産業の現状と今後の課題-社団法人日本自動車工業会 の雑誌「JAMAGAZINE」、2004年11月4日号
- ^ 1962年設立、セナラの日本語訳は「新しい国」(“새”が「新しい」の意味で、“나라”が「国」を意味している)を意味。
- ^ セナラ自動車を買収して1965年設立
- ^ これ以外にもトヨエースなどの車種をノックダウン生産したが、反共国家やその国の会社と取引関係をしている企業とは貿易をしない「周四原則」により、当時、中国への参入を模索していたトヨタ自動車は1972年に韓国から撤退した。
- ^ 新進自動車とGM[要曖昧さ回避](ゼネラルエレクトリック)が50:50の出資による合資会社
- ^ 後に起亞産業に吸収
- ^ 起亜自動車の前身
- ^ セハンの日本語訳は「新しい韓国」の意味。
- ^ 1976年にGMコリアから社名変更
- ^ 韓国の自動車産業及び市場動向とその将来展望 - 呉 在[火亘] (JAMAGAZINE 2001年3月号)
- ^ 海外生産車は対象外のため、アメリカ製のトヨタ・アバロンが少量輸入されていたことがあった。
- ^ asahi.com:現代自動車、日本の「壁」に挑む - 経済を読む - ビジネス (2007.06.22)
- ^ a b c d Hyundai bets new sedan is a luxury it can afford 『ウォールストリート・ジャーナル』 2008年1月8日
- ^ NIKKEI NET:米新車品質調査で「トヨタ」6位に後退 (2007.06.07)
- ^ 【韓国車の品質】新車満足度は上々、耐久性はイマイチ | Chosun Online | 朝鮮日報 (2005.11.30)
- ^ 米国における新車の初期品質が過去最高になったことが明らかに
- ^ 現代自、デザインと品質向上努力が実り躍進、日本経済新聞 2012年5月8日
- ^ 実際に発売されたものでは、2代目ロータス・エランを起亜自動車がライセンス生産したキア・ビガート、イギリスのパンサー・ウェストウインズを雙龍自動車が買収し、同社の「リマ」を改良したオープンカー「カリスタ」等があるが、いずれも生産台数は少数にとどまっている。他にもオウリムモータースによる韓国初のスーパーカー「スピーラ」が2010年に発表され、翌2011年から生産を開始したが2012年には生産中止となっており、会社自体の消息も明らかになっていない。
- ^ a b http://www.chosunonline.com/article/20071124000008
- ^ http://www.chosunonline.com/article/20071114000009
- ^ http://www.chosunonline.com/article/20071121000007
- ^ http://www.chosunonline.com/article/20051027000046
- ^ グッドデザインファインダー:2005年度受賞「ヒュンダイ ソナタ」(グッドデザイン賞公式サイト)
- ^ 例えばソナタの場合、2010年12月現在においても韓国ではタクシー用途に限定してNF系とYF系が併売されている。そのため、その区別の意味もあってか例外的にヒュンダイが公式に「NFソナタ」「YFソナタ」と呼称している。
- ^ 「ゲッツ」の名称はヒュンダイが日本国内での商標権を持っている。欧州ではヴィッツは「ヤリス」と呼ばれるためこの問題は発生しない。
- ^ 日産・スカイライン(R31型)で使われていたグレード名「エクセル」があったため。
- ^ ヒュンダイ・サンタフェは2001年に申請したため、この問題に引っかかっていない。
- ^ 「外車そっくりの国産モデル」 求められる韓国式デザイン 『朝鮮日報JNS』 2004年12月12日
- ^ 起亜自動車の新型車『レイ』が日本車『キューブ』『タント』と酷似 デザインパクリ疑惑が浮上 『ガジェット通信』 2011年12月3日
- ^ BMW「現代自動車見下さないが…10年の技術格差」 『中央日報』 2012年3月14日
- ^ a b 現代自「ジェネシス」はトヨタ「カムリ」とそっくり!? 『朝鮮日報JNS』 2007年3月16日
- ^ Genesis: Hyundai`s blue light special? 『ニューヨーク・タイムス』 2007年4月5日
- ^ http://www.worldcarfans.com/9071204.001/new-hyundai-genesis-emblem-revealed-and-v8-confirmed
- ^ 日本自動車輸入組合 (JAIA)調べ
- ^ “全国に先駆け導入した大型EVバス、5年でひっそり運行終了 故障が多発 車体価格は8700万円”. 南日本新聞. (2022年9月26日). オリジナルの2022年10月2日時点におけるアーカイブ。
- ^ 同クラスの日本車と韓国車を性能面で比較すると「エンジン出力」「排出ガスのクリーン化」「燃費」の3項目で大きな差がある。また、品質面での比較では「耐久性」「信頼性」(故障率)ともに日本車に大きく劣るとの指摘が実際に韓国車を購入したユーザーから出ている。
- ^ https://www.recordchina.co.jp/b668347-s0-c20-d0144.html
- ^ 「ユーロ6」を契機に韓国市場奪還を狙う日本車(1)中央日報2015年2月27日(2015年4月14日 閲覧)
- ^ 起亜自とルノーサムスン、新車めぐり舌戦朝鮮日報オンライン 2013年6月21日(2013年6月22日 閲覧) 尚、文中ではSM5は192PSと表記されているが、190PSが正解である。
- ^ その後、2015年1月にチボリを出したため、双竜も同クラスの車種をラインナップすることとなる。
- ^ 双竜車社長「QM3をスペインで生産するルノーサムスンは輸入商」中央日報2014年3月6日(2015年5月7日 閲覧)
- ^ “20~30代会社員の64%が「輸入車を買いたい」”. 東亜日報. (2015年2月7日) 2015年2月8日閲覧。
- ^ 現代自労組「ストはもういやだ」 『朝鮮日報JNS』 2007年9月5日
- ^ 【社説】経営権を放棄した現代車の労使合意 『中央日報』 2007年9月6日
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