神よ、アフリカに祝福を 神よ、アフリカに祝福をの概要

神よ、アフリカに祝福を

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/23 15:07 UTC 版)

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Nkosi sikelel' iAfrika
和訳例:神よ、アフリカに祝福を

国歌の対象
 南アフリカ共和国
タンザニア

作詞 エノック・マンカイ・ソントンガ英語版1897年
作曲 エノック・マンカイ・ソントンガ(1897年
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歴史

ソントンガ
ンカイ
楽譜

この曲は1897年ヨハネスブルク近郊のメソジスト教会のミッションスクールで教師・牧師を務めていた、コサ人のエノック・マンカイ・ソントンガ (Enoch Sontongaによって、賛美歌の一つとして作詞・作曲された。曲については、ウェールズの作曲家ジョセフ・パーリー英語版ヒム・チューン英語版(賛美歌の歌詞を乗せるためのメロディー)「アベリストウィス」"Aberystwyth" がベースとなっている[1]。ソントンガの原曲は変ロ長調の四部合唱曲として作曲され、繰り返しのメロディに「西洋の賛美歌の構成と、土着の南アフリカのメロディーの両方」[2]の特徴を表現していた。その後1927年、詩人サミュエル・ンカイ (Samuel Edward Krune Mqhayiによって、コサ語の詞7節(スタンザ)が加えられた[3]。 現在歌われる歌詞のうち、第一番とコーラスの一部がソントンガによって書かれた部分である。

この曲は南アフリカの教会でポピュラーな曲となり、1900年に黒人自身による初めての教育機関としてイナンダ英語版(現在のクワズール・ナタール州)に設立されたオーランジ高校 (Ohlange High Schoolの合唱団によっても歌われた。オーランジ高校の共同設立者の一人であるジョン・デューベ英語版は、1912年に設立された南アフリカ原住民民族会議(South African Native National Congress、略称: SANNC)、1923年にアフリカ民族会議(略称: ANC)に改称)の初代議長となった人物である。「神よ、アフリカに祝福を」は、1912年にSANNCの会議の閉会に際して歌われた。1925年には、ANCの正式のクロージング・アンセムとなった[4]。"Nkosi Sikelel' iAfrica"は1927年に初めて出版された[4]

この曲は、アパルトヘイトの時代にはANCの公式アンセムであり、また反アパルトヘイト運動のシンボルであった[5]。長いアパルトヘイト体制の時代、この曲は多くの人々によって、抑圧の苦しみを現した南アフリカの「非公式の国歌」とみなされた。1987年に制作された、反アパルトヘイトを主題とする映画『遠い夜明け』では、この曲が印象的に使われている。

この曲とANCとのつながりから、アパルトヘイト時代の南アフリカでは当局によって歌うことを禁止されていた[6]。ただし、南アフリカ共和国が黒人自治区として「独立」させたバントゥースタンのいくつか(トランスカイ[7]シスカイ[8]など[9])では、この曲が「国歌」として採用されている。

現在、国歌として使用している国

南アフリカ共和国

アパルトヘイトが法律上無くなった1994年、南ア初の黒人大統領ネルソン・マンデラは、「神よ、アフリカに祝福を」と従来の国歌であった「南アフリカの呼び声」の双方を同国の国歌として宣言した。マンデラのもとでの新たな政府が、すべての人種や文化を尊重する姿勢のシンボルとされた。1996年には、2つの国歌を短縮・接合した編曲が、南アフリカ共和国の憲法の下での新しい「南アフリカの国歌」として発表された。国歌の第1番・第2番が「神よ、アフリカに祝福を」、第3番・第4番が「南アフリカの呼び声」の部分である。国歌は南アフリカの公用語のいくつかを使用しており、第1番前半2行はコーサ語、後半2行はズールー語、第2番はソト語で歌われている。なお、第3番はアフリカーンス語で、第4番は英語で歌われる。

タンザニア

タンザニアの国歌 Mungu ibariki Afrika は、この曲のスワヒリ語版である。




  1. ^ An Anthem To Ignorance – The Case Of Nkosi Sikelel’ iAfrika”. The Anton Mostert Chair of Intellectual Property [Stellenbosch University] (2012年6月18日). 2014年5月7日閲覧。
  2. ^ Redmond, Shana L. (2014). Anthem: Social Movements and the Sound of Solidarity in the African Diaspora. New York: New York University Press. pp. 225. ISBN 9781243646545. 
  3. ^ Bennetta Jules-Rosette. “Nkosi Sikelel’ iAfrika”. Etudesafricaines.revues.org. doi:10.4000/etudesafricaines.4631. 2013年5月27日閲覧。
  4. ^ a b Enoch Mankayi Sontonga”. South African History Online. 2014年5月7日閲覧。
  5. ^ ENCYCLOPEDIA OF AFRICAN HISTORY AND CULTURE. VOLUME IV - THE COLONIAL ERA (1850 TO 1960)”. Scribd.com. 2011年2月15日閲覧。
  6. ^ http://www.theguardian.com/music/2013/dec/06/nelson-mandela-protest-song-special-aka
  7. ^ http://www.nationalanthems.info/tsk.htm
  8. ^ http://www.nationalanthems.info/cis.htm
  9. ^ http://www.nationalanthems.info/za-97b.htm
  10. ^ National Anthem Act, Cap 7”. Zambia Legal Information Institute (1973年9月14日). 2015年6月29日閲覧。
  11. ^ National Anthem[, Republic of South Africa: Other Versions]”. Kwanzaa Web (1995年). 2014年5月7日閲覧。


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