生物 生物を成り立たせる生体物質

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 表現 > 生物 > 生物の解説 > 生物を成り立たせる生体物質 

生物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 20:43 UTC 版)

生物を成り立たせる生体物質

タンパク質脂質多糖核酸は生物の主要な構成成分である[25]。生きているという状態は、無数の化学反応の総和であるという見方もできる。これら化学反応がおこる場を提供しているのがである。生物は水の特殊な物性に多くの事を依存しており、極めて重要でかつ主要な構成成分である。どの生物でも、体の約70%は水であり、その他の物質が30%ほどを占める[25]

タンパク質は量の上で多数を占める生体高分子である。20種類のアミノ酸が通常100 - 1000個重合してタンパク質となる。あるものは細胞を支える骨格となり、あるものは生体内化学反応の触媒となる(酵素[26]

必要なタンパク質を必要な場所で産生するための情報を記録する生体高分子が核酸である。この情報は遺伝によって次の世代に引き継がれる[27]

ロバート・フックがコルクを顕微鏡観察して見出した小さな区画に小部屋(cell=細胞)と名付けたように、細胞とはある区画化された空間を指す。この区画をしているのが細胞膜であり、脂質がその主要な成分である。脂質はエネルギーとして効率が良く[28]、また貯蔵するのによい物質でもある。

生物は区画された空間ではあるが、完全に外界から遮断されているわけではない。外部からエネルギーを取り入れ内部で消費し、化学反応で物質を作り出す[6]。生物間でのエネルギーの流通に炭水化物(糖)は重要であり、主に植物光合成によって生産している。

地球外生命体

地球以外の天体に生物が発見された事例は記録されていない。しかし、地球のそれと同様の生物あるいは全く異なった性質の生物が地球以外の場所に存在する可能性は否定できない。太陽系内においても、火星には生命が存在する可能性が指摘されている。2018年7月には、イタリア国立宇宙物理学研究所などからなる国際天文学チームがマーズ・エクスプレスの観測データに基づき、「火星の南極の厚さ1.5kmの氷床の下に幅20kmにわたって水とみられる層が存在する」との論文を発表した。この地底湖は、液体の状態が維持されていると推測されている。研究チームは、「生命にとって厳しい環境ながら単細胞生物が生存している可能性がある」と述べている[29]

系外惑星としては、2007年に発見されたグリーゼ581cに生物が生存可能な環境の存在が期待されたことがある(その後の研究によるとこの天体はハビタブルゾーンの外にある)[30]。2008年現在、太陽系外における[注釈 1]地球型惑星の観測成果も少しずつあがってきている。

有機物以外を構成要素とする生物も想定される。このような仮想理論は「代わりの生化学」と呼ばれている。とくにケイ素は、炭素と同じ族に含まれ化学的性質も似ていることから、「代わりの生化学」のベースとして比較的頻繁に言及される(ケイ素生物[31]

サイエンス・フィクションの世界では、ガス・電磁波から成る生物などが登場する。他に純粋知性、精神あるいは物質によらない意識が登場するが、現在のところ物質的な実体に依拠しない意識は確認されていない。また多くの宗教でと呼ばれる形態の生物の存在を想定している。

ギャラリー


注釈

  1. ^ 木星型惑星だけでなく。

出典

  1. ^ a b 世界大百科事典 2007, p. 413.
  2. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 651.
  3. ^ a b c d 日本大百科全書 1987m, p. 428.
  4. ^ 高井 2018, p. 148-149.
  5. ^ 小林 2013, p. 11-12.
  6. ^ a b 亀井 2015, p. 23.
  7. ^ 亀井 2015, p. 4.
  8. ^ 山下修一(編著)『植物ウイルス ―病原ウイルスの性状―』悠書館、2011年6月10日、v頁。ISBN 978-4-903487-47-2 
  9. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 24.
  10. ^ 神谷茂, 錫谷達夫 編『標準微生物学』中込治(監修)(第13版第1刷)、医学書院、2018年3月15日、322頁。ISBN 978-4-260-03456-2 
  11. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 81.
  12. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 15.
  13. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 1087.
  14. ^ 相見 2019, p. 120.
  15. ^ キャンベル 2007, p. 596-597.
  16. ^ T. Cavalier-Smith (1993). “Kingdom protozoa and its 18 phyla”. Microbiology and Molecular Biology Reviews 57 (4): 953-994. doi:10.1128/mr.57.4.953-994.1993. 
  17. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 7.
  18. ^ C. R. Woese; O. Kandler; M. L. Wheelis (1990). “Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya”. Proc Natl Acad Sci U S A 87 (12): 4576–9. doi:10.1073/pnas.87.12.4576. 
  19. ^ [1]
  20. ^ 東北大学総合学術博物館、ストロマトライト
  21. ^ 地層科学研究所、酸素を生み出す石-太古から生き続けるストロマトライトの話-
  22. ^ 阿部豊、田近英一「大気の進化」『天気』第54巻第1号、日本気象学会、2007年、7-8頁。 
  23. ^ 川上 2003, p. 37.
  24. ^ ガイア仮説”. eic.or.jp. 一般財団法人環境イノベーション情報機構 (2009年10月14日). 2012年7月30日閲覧。
  25. ^ a b 亀井 2015, p. 3.
  26. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 5-6.
  27. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 6-7.
  28. ^ 亀井 2015, p. 206.
  29. ^ 浜田祥太郎 (2018年7月26日). “火星、氷床の下に大量の水?「生命生き残れる環境」”. asahi.com. 2021年6月26日閲覧。
  30. ^ W. von Bloh (2007). “The Habitability of Super -Earths in Gliese 581”. Astronomy and Astrophysics 476 (3): 1365–1371. doi:10.1051/0004-6361:20077939. 
  31. ^ Norman R. Pace (2001). “The universal nature of biochemistry”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 98 (3): 805–808. doi:10.1073/pnas.98.3.805. 


「生物」の続きの解説一覧




生物と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「生物」の関連用語

生物のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



生物のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの生物 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS