生物 生物と地球環境

生物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 20:43 UTC 版)

生物と地球環境

生物が現れる前は、二酸化炭素が多くを占める構成であったと推測されている。その温室効果によって地表の温度も高かった。

今から数十億年前に地球上にシアノバクテリアが出現して光合成を行うようになったことで、はじめて大気中に酸素が放出されるようになった。シアノバクテリアは活動とともに層状の堆積物を残す。それをストロマトライトという。写真はオーストラリア・シャーク湾で今も生きているストロマトライト。

そんな状態だった地球上に、(諸説あるが)今から35~24億年前ころシアノバクテリア藍藻)が登場し、光合成を行うようになり、生み出した酸素を海水中へ放出しはじめ、地球上に大量の酸素が形成されるようになった[20][21]。(地球における大量の酸素の出現は「大酸化イベント」という。開始した時期や活発化した時期に関しては諸説ある。「大酸化イベント」の記事にグラフも掲載。) 

生物が出現し、特に光合成による有機物の生成(炭素固定)とそれに伴う(分子状)酸素の放出、生物由来の石灰岩の生成がなされた結果、今のような酸素が多く含まれた窒素主体の大気組成となった(ただし、大気組成の変化は生物だけによるものではない。地球の大気#地球大気の「進化」も参照のこと)[22]

また、酸素の多い大気になったことによって、オゾン層が形成され、生物にとって有害な宇宙線紫外線の遮断がなされ、生物の陸上進出が可能になった。また、海水中の酸素が増えることによって、海水に溶け込んだ鉄が酸化鉄となって沈降し鉄鉱床を堆積させた[23]

2021年現在の地球の大気組成は、窒素が78%、酸素が21%、アルゴン0.93%、二酸化炭素が0.041%という構成になっている。

地球上の全ての生物の共通の祖先があり(原始生命体共通祖先)、その子孫達が増殖し複製するにつれ遺伝子に様々な変異が生じることで進化がおきたとされている。結果、今日の生物多様性が生まれ、お互いの存在(他者)や地球環境に依存しながら、相互に複雑な関係で結ばれる生物圏を形成するにいたっている。ガイア理論(ガイア仮説)では、このような地球を「自己調節能力を持ったひとつの巨大な生命体」とみなした[24]


注釈

  1. ^ 木星型惑星だけでなく。

出典

  1. ^ a b 世界大百科事典 2007, p. 413.
  2. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 651.
  3. ^ a b c d 日本大百科全書 1987m, p. 428.
  4. ^ 高井 2018, p. 148-149.
  5. ^ 小林 2013, p. 11-12.
  6. ^ a b 亀井 2015, p. 23.
  7. ^ 亀井 2015, p. 4.
  8. ^ 山下修一(編著)『植物ウイルス ―病原ウイルスの性状―』悠書館、2011年6月10日、v頁。ISBN 978-4-903487-47-2 
  9. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 24.
  10. ^ 神谷茂, 錫谷達夫 編『標準微生物学』中込治(監修)(第13版第1刷)、医学書院、2018年3月15日、322頁。ISBN 978-4-260-03456-2 
  11. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 81.
  12. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 15.
  13. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 1087.
  14. ^ 相見 2019, p. 120.
  15. ^ キャンベル 2007, p. 596-597.
  16. ^ T. Cavalier-Smith (1993). “Kingdom protozoa and its 18 phyla”. Microbiology and Molecular Biology Reviews 57 (4): 953-994. doi:10.1128/mr.57.4.953-994.1993. 
  17. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 7.
  18. ^ C. R. Woese; O. Kandler; M. L. Wheelis (1990). “Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya”. Proc Natl Acad Sci U S A 87 (12): 4576–9. doi:10.1073/pnas.87.12.4576. 
  19. ^ [1]
  20. ^ 東北大学総合学術博物館、ストロマトライト
  21. ^ 地層科学研究所、酸素を生み出す石-太古から生き続けるストロマトライトの話-
  22. ^ 阿部豊、田近英一「大気の進化」『天気』第54巻第1号、日本気象学会、2007年、7-8頁。 
  23. ^ 川上 2003, p. 37.
  24. ^ ガイア仮説”. eic.or.jp. 一般財団法人環境イノベーション情報機構 (2009年10月14日). 2012年7月30日閲覧。
  25. ^ a b 亀井 2015, p. 3.
  26. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 5-6.
  27. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 6-7.
  28. ^ 亀井 2015, p. 206.
  29. ^ 浜田祥太郎 (2018年7月26日). “火星、氷床の下に大量の水?「生命生き残れる環境」”. asahi.com. 2021年6月26日閲覧。
  30. ^ W. von Bloh (2007). “The Habitability of Super -Earths in Gliese 581”. Astronomy and Astrophysics 476 (3): 1365–1371. doi:10.1051/0004-6361:20077939. 
  31. ^ Norman R. Pace (2001). “The universal nature of biochemistry”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 98 (3): 805–808. doi:10.1073/pnas.98.3.805. 






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