生物 生物の概要

生物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 06:21 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

定義

ウイルスが生物なのか非生物なのか、生命を持つのか持たないか、については議論がある。(左)正二十面体様 (中)らせん構造 (右)無人探査機のような形状のファージ

「生命現象を示すもの」[1]というのが一応の定義であるが、これ以外の定義も存在し、統一は困難であるとされる[3]。生物が持ち、無生物が持たない能力や特徴としては一応自己増殖能力エネルギー変換能力自己と外界との明確な隔離があるとされる。これに進化する能力を加えることも多い[4]。また、生物は外界とのやりとりを絶やすことのない開放系を取りながら、恒常性(ホメオスタシス)を維持する能力を持ち、常に変化する[5]。生物はすべて細胞を基礎としており、細胞によって構成されていないウイルスなども寄生する細胞がなくては増殖できない[6]

生物と地球環境

2021年現在の地球の大気組成は、窒素が78%、酸素が21%、アルゴン0.93%、二酸化炭素が0.041%という構成になっているが、生物が現れる前は、二酸化炭素が多くを占める構成であったと推測されている。その温室効果によって地表の温度も高かった。ここに生物が出現し、特に光合成による有機物の生成(炭素固定)とそれに伴う(分子状)酸素の放出、生物由来の石灰岩の生成がなされた結果、今のような酸素が多く含まれた窒素主体の大気組成となった(ただし、大気組成の変化は生物だけによるものではない。地球の大気#地球大気の「進化」も参照のこと)[7]。また、酸素の多い大気になったことによって、オゾン層が形成され、生物にとって有害な宇宙線紫外線の遮断がなされ、生物の陸上進出が可能になった。また、海水中の酸素が増えることによって、海水に溶け込んだ鉄が酸化鉄となって沈降し鉄鉱床を堆積させた[8]

地球における酸素の出現は、24億年前の大酸化イベント以降と推定されており、これはシアノバクテリアによる酸素発生型の光合成の進化がきっかけと見られている。一方、現在においては、人類が地球の環境に様々な大きな変化をもたらせていると言える(人新世)。

地球上の全ての生物の共通の祖先があり(原始生命体共通祖先)、その子孫達が増殖し複製するにつれ遺伝子に様々な変異が生じることで進化がおきたとされている。結果、今日の生物多様性が生まれ、お互いの存在(他者)や地球環境に依存しながら、相互に複雑な関係で結ばれる生物圏を形成するにいたっている。ガイア理論(ガイア仮説)では、このような地球は自己調節能力を持ったひとつの巨大な生命体とみなす[9]

生物の分類

現在生きている生物は少なくとも300万種、おそらくは1000万種に達する[10]が、これらをその特徴に応じて大小の分類階級に所属させ、それによって生物を整理し秩序を与えることを分類という[11]。分類階級のうち、次に掲げるものは必ず設置される(基本分類階級)。すなわち大きいほうから順にである[12]

歴史的に最も古くは生物は植物動物からなるとした二界説(植物界、動物界)[13]があり、その後の生物観の進展とともに、三界説、五界説、八界説[14]などが登場した。一般によく知られる五界説ではモネラ界原生生物界、植物界、菌界動物界に分類する[15]。しかし近年では分子系統学の成果を反映して、界よりさらに上位の枠組みとしてドメインが設けられており、細胞特性に従い生物全体を真核生物細菌(バクテリア)、古細菌(アーキア)に分類する三ドメイン説が一般的になってきている[16]。三ドメイン説においては、動物、植物、菌類、原生生物はすべて真核生物という単一のドメインに属する。一方、モネラ界は細菌および古細菌という2つの大きなドメインに分割される。見た目の大きさという点では、細菌および古細菌はすべて微生物であるため、真核生物と違って日常で目にすることはまずないが、生態の多様さという点では細菌および古細菌ドメインは真核生物よりはるかに大きい。

また近年では、真核生物が細菌および古細菌が融合して誕生したとする説が有力となりつつあり(参照: 真核生物#起源)、この場合、地球上には本来2つのドメイン(細菌と古細菌)しか存在しなかったことになる。ちなみに古細菌は、かつて細菌よりも起源が古い可能性が示唆されたため付けられた名前であるが、実際のところは、細菌と古細菌は両者とも同等に古い起源をもっている。


注釈

  1. ^ 木星型惑星だけでなく

出典

  1. ^ a b 世界大百科事典 2007, p. 413.
  2. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 651.
  3. ^ 高井 2018, p. 148-149.
  4. ^ 小林 2013, p. 11-12.
  5. ^ a b 亀井 2015, p. 23.
  6. ^ 亀井 2015, p. 4.
  7. ^ 阿部豊、田近英一「大気の進化」『天気』第54巻第1号、日本気象学会、2007年、 7-8頁。
  8. ^ 川上 2003, p. 37.
  9. ^ ガイア仮説”. eic.or.jp. 一般財団法人環境イノベーション情報機構 (2009年10月14日). 2012年7月30日閲覧。
  10. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 15.
  11. ^ 岩波生物学辞典 1979, p. 1087.
  12. ^ 相見 2019, p. 120.
  13. ^ キャンベル 2007, p. 596-597.
  14. ^ T. Cavalier-Smith (1993). “Kingdom protozoa and its 18 phyla”. Microbiology and Molecular Biology Reviews 57 (4): 953-994. doi:10.1128/mr.57.4.953-994.1993. 
  15. ^ マルグリスetシュヴァルツ 1995, p. 7.
  16. ^ C. R. Woese; O. Kandler; M. L. Wheelis (1990). “Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya”. Proc Natl Acad Sci U S A 87 (12): 4576–9. doi:10.1073/pnas.87.12.4576. 
  17. ^ a b 亀井 2015, p. 3.
  18. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 5-6.
  19. ^ 分子細胞生物学 2019, p. 6-7.
  20. ^ 亀井 2015, p. 206.
  21. ^ 浜田祥太郎 (2018年7月26日). “火星、氷床の下に大量の水? 「生命生き残れる環境」”. asahi.com. 2021年6月26日閲覧。
  22. ^ W. von Bloh (2007). “The Habitability of Super -Earths in Gliese 581”. Astronomy and Astrophysics 476 (3): 1365–1371. doi:10.1051/0004-6361:20077939. 
  23. ^ Norman R. Pace (2001). “The universal nature of biochemistry”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 98 (3): 805–808. doi:10.1073/pnas.98.3.805. 






生物と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「生物」の関連用語

生物のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



生物のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの生物 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS