災害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 00:57 UTC 版)
災害の防止と対応
災害を未然に防止する対応は、被害が生じないようにする被害抑止と、被害が生じてもそれを少なくし、立ち直りがスムーズになるようにする被害軽減に大別される。一方、災害発生後の対応は、救助や避難所の運営などの応急対応と復旧・復興に大別される。これらが防災を構成する[8]。これらに加えて、自然災害のメカニズムやそれを抑止する技術の研究、災害の予測(ハザードアナリシス)、それらの知識の普及(防災教育)なども重要な要素である[5]。
- 災害派遣 - 大規模な災害が発生した場合、主に都道府県知事が自衛隊に対して捜索や救助活動などの支援のために要請する。
- 公衆電話 ‐ 災害時優先電話である公衆電話は停電時でも使える[23]。
- 00000JAPAN ‐ 災害時や通信障害時に開放される公衆無線LAN・Wifi。
- 自動販売機 ‐ 一部の自動販売機は、被災時に被災者に飲み物などを提供する[24][25]。
- 移動郵便局 ‐ 被災地でATM機能などを設けた移動車両に郵便局の機能を持たせ、ゆうパックなども扱える[26]。
- 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律
災害の予測
自然災害は、規模に頻度が反比例する確率的な現象である。つまり、自然災害を起こす外力が大きくなるほど頻度が小さくなるうえ、その上限を理論的に特定することができないという特徴を持っている。歴史記録の中から得られる自然災害の情報で信頼のおけるものは数百年程度であり、それを超える「1,000年に一度」というような低頻度の大きな災害については分からない部分が出てきてしまう。そのため、ハード対策では「設計基準外力」(計画外力)を設定してそれ以下の外力では被害が一切出ないように堤防などの構造物を設計し、ソフト対策では既往最大あるいは予想される一定レベルの外力を設定してハザードマップを作成しその場合における被害想定を行う。ただし、設計基準外力を設定するにあたっては、設定を高くすればするほど費用がかさむため、経済性との兼ね合いや住民の合意などの調整が必要となる[27]。なお、これらの外力の再来間隔を確率年という。
一方で、被害想定はあくまで現段階で考えられうるものに過ぎず、想定を上回る「想定外」の事態が発生する可能性は常に存在する。東日本大震災が従前の被害想定を上回る規模であったように、である。そのため、「想定外」に対応できるようにしておくことも求められる[28]。
災害史
この節の加筆が望まれています。 |
最も被害の大きな自然災害
- 中国大洪水(1931年7月-11月) : 死者14万5,000人–400万人、20世紀以降の洪水災害として最大
- ボーラ・サイクロン(1970年11月7日 - 11月13日) : 死者30万–50万人、サイクロン災害として史上最悪
- 唐山地震(1976年7月28日) : 死者242,000–655,000人、20世紀以降の地震災害として最大
- スマトラ島沖地震 (2004年)(2004年12月26日) : 死者226,566人、津波災害として観測史上最悪
- プレー山噴火(1902年5月8日) : 死者約30,000人、20世紀以降の火山災害として最大
- バルガス災害(1999年12月15日) - 死者10,000 - 50,000人、地滑り災害として史上最大
- イラン吹雪災害(1972年2月) : 死者4,000人、吹雪災害として観測史上最悪(en:1972 Iran blizzard)
- Daulatpur–Saturia竜巻(1989年) : 死者約1,300人、竜巻災害として観測史上最大(en:Daulatpur–Saturia tornado)
注釈
- ^ 原子力緊急事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害を指す(原子力災害対策特別措置法第2条)。
- ^ 法令用語。武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害を指す(国民保護法第2条第4号)。災害対策基本法における災害の概念には、いわゆる武力攻撃やテロによる被害は概念の中に含まれないことから、有事法制の整備に際して設けられた定義(日本は日本国憲法第9条により、政府が戦争をする事、及び交戦権を認めないので、「戦争に備える」とは定義出来ない)。
- ^ 核兵器、生物兵器、化学兵器による災害。
- ^ NBC災害に放射性物質と爆発物による災害を加え、不慮の事故までを含めたもの。
- ^ 法令用語。原子力発電所や原子力施設への攻撃により起きる災害。武力攻撃に伴って原子力事業所外へ放出される放射性物質又は放射線による被害(国民保護法第105条第7号の一)。
出典
- ^ a b 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、134頁。
- ^ a b 後藤・高橋、2014年、19頁。
- ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、101-102頁。
- ^ 水谷、2002年、2 - 3頁。
- ^ a b c 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、134-136頁。
- ^ 水谷、2002年、1 - 2頁。
- ^ 『豪雨・洪水災害の減災に向けて』、77 - 79頁、92頁。
- ^ a b 河田惠昭「危機管理論 -安心/安全な社会を目指して-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、41 - 42頁。
- ^ 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、135 - 137頁。
- ^ a b 堀井秀之・片田敏孝「自主解決の支援」、『安心・安全と地域マネジメント』、102 - 104頁。
- ^ 水谷、2002年、10頁。
- ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、103-105頁、124 - 130頁。
- ^ a b c d e 堀井秀之・片田敏孝「自主解決の支援」、『安心・安全と地域マネジメント』、94 - 108頁。
- ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、99 - 101頁。
- ^ 片田敏孝「これからの津波防災のあり方 -自然と共存する地域社会の構築-」、『安心・安全と地域マネジメント』、50 - 56頁。
- ^ “災害対策基本法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年9月22日閲覧。
- ^ “災害対策基本法施行令”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年9月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 鍵屋一『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』学陽書房、2019年、11頁。
- ^ 後藤・高橋、2014年、20頁。
- ^ 水谷、2002年、5 - 6頁。
- ^ 後藤・高橋、2014年、20 - 21頁。
- ^ 後藤・高橋、2014年、21頁。
- ^ “意外と知らない!公衆電話の探し方・災害時の使い方|記事一覧|くらし×防災メディア「防災ニッポン」読売新聞”. くらし×防災メディア「防災ニッポン」読売新聞. 2023年8月11日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “災害時 飲み物や備蓄の災害対策用品を提供する自販機 赤穂市|NHK 兵庫県のニュース”. NHK NEWS WEB. 2023年8月11日閲覧。
- ^ “災害対応型自動販売機の設置|東大和市公式ホームページ”. 東大和市公式ホームページ. 2023年8月11日閲覧。
- ^ “ATMやゆうパック受け付けも 避難所に移動郵便局”. テレ朝news. 2023年8月11日閲覧。
- ^ 堀井秀之「地域社会の安全・安心を実現するための社会技術」、『安心・安全と地域マネジメント』、214 - 216頁。
- ^ 多々納裕一「大規模災害と防災計画 -総合防災学の挑戦-」、『安心・安全と地域マネジメント』、169 - 182頁。
災害と同じ種類の言葉
- >> 「災害」を含む用語の索引
- 災害のページへのリンク