横須賀海軍工廠 横須賀海軍工廠の概要

横須賀海軍工廠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 23:57 UTC 版)

横須賀海軍工廠

明治初期には唯一の官営造船所として軍艦を建造、昭和期では航空母艦建造の責任工廠でもあった。現在は在日米軍横須賀海軍施設(通称横須賀基地)となっている。

沿革

小林清親『横須賀造船所』(1896年・明治29年)
関東大震災直後の横須賀海軍工廠ガントリークレーン付近
横須賀海軍工廠、1944年から1945年頃の航空写真

戦前

1865年慶応元年)、江戸幕府が横須賀製鉄所を建設する。明治維新後は明治政府に引き継がれ、1871年明治4年)に帝国海軍所管「横須賀造船所」となる。1884年(明治17年)に横須賀鎮守府が設置されるとその直轄造船所となり、1903年(明治36年)の組織改編で横須賀海軍工廠が誕生、呉海軍工廠と共に多くの艦艇を建造した。

戦後

終戦後は米軍が接収し、横須賀海軍施設(通称横須賀基地)となる。艦艇建造はなく、艦艇の修理等がなされている。米第7艦隊所属艦の事実上の母港として機能している。

工廠の象徴であったガントリークレーンを含む第2船台は1959年昭和34年)に日本へ返還、住友機械工業(現:住友重機械工業)へ払い下げられ横須賀分工場となった。しかし設備老朽化、オイルショックによる不況などから1975年(昭和50年)にガントリークレーンは解体され、工場も後に閉鎖された。跡地にはショッパーズプラザ横須賀(現:コースカベイサイドストアーズ)が建設された。

年表

戦前
  • 1865年(慶応元年) 幕府が「横須賀製鉄所」建設開始
  • 1868年(明治元年) 明治政府が接収、建設を引き継ぐ
  • 1870年(明治 3年) 工部省所管となる
  • 1871年(明治 4年) 海軍所管の「横須賀造船所」と改称、1号ドック完成(現在も現役)
  • 1876年(明治 9年) 初の国産軍艦「清輝」が竣工
  • 1884年(明治17年)横須賀鎮守府設置。造船所は鎮守府直轄となる
  • 1886年(明治19年)「横須賀海軍造船所」と改称
  • 1889年(明治22年) 5月28日「横須賀鎮守府造船部」と改称[1]
  • 1897年(明治30年) 9月 3日「横須賀海軍造船廠」と改称[2]
  • 1903年(明治36年)11月 6日「横須賀兵器廠」と合併し「横須賀海軍工廠」となる
  • 1905年(明治38年) 3月30日日本初の潜水艇を進水
  • 1906年(明治39年)10月女子労働者の使用を初認可
  • 1909年(明治42年) 初の国産の戦艦「薩摩」が竣工
  • 1913年(大正 2年) 第2船台上にガントリークレーン完成
  • 1932年(昭和 7年) 4月1日、航空機部門が「海軍航空廠」として独立
戦中・戦後
  • 1942年(昭和17年)4月18日 ドーリットル空襲で米軍機による空襲を受ける。この後、終戦まで数度の空襲を受けた(横須賀空襲
  • 1945年(昭和20年)9月 米軍が接収
    • 10月15日 横須賀海軍工廠廃止
  • 1947年(昭和22年) 米海軍艦船修理廠 (SRF) 設立、多くの設備が現在も米軍管理下にある
戦後のガントリークレーン
  • 1959年(昭和34年) 第2船台(ガントリークレーン)は日本政府に返還
  • 1960年(昭和35年) 住友機械工業に払い下げ、横須賀分工場となる
  • 1975年(昭和50年) ガントリークレーン解体
  • 1978年(昭和53年) 工場集約のため横須賀分工場閉鎖

設備

船渠

  • 第一船渠
  • 第二船渠
船渠は当初より3つを築造する予定だったが、第二船渠は予算の都合から後回しとされていた[3]。第一船渠、第三船渠の2船渠では修理などに遅延が目立ち、1878年 (明治11年) 1月23日に横須加造船所は第二船渠の築造を上申、6月26日に予算は3年間で244,329で築造に着手する旨、海軍省から指令された[3]
  • 第三船渠
第一船渠竣工に次いで明治4年6月 (1871年7月から8月)に起工、1874年 (明治7年) 1月竣工[4]。細目は以下の通り[4]
  • 長さ:上部94m、下部88.3m。
  • 幅:上部13.8m、下部11.3m。
  • 深さ:地平から渠内7.6m、渠口6.9m、満潮面から渠内5.65mから5.45m、渠口5.15m。
  • 盤木の高さ:0.9m。
  • 傾斜:1/100強。
  • 排水時間:4時間。
  • 第四船渠
  • 第五船渠
  • 第六船渠

船台

  • 第一船台
  • 第二船台
  • 第三船台



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