大気物理学 大気物理学の概要

大気物理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 22:27 UTC 版)

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リモートセンシング

この1960年の気象レーダー画像(Hurricane Abbyのもの)のように、明るさが反射率を示す。レーダーの周波数、パルス形式、アンテナにより観測できる対象が大部分決まる。

リモートセンシングは、物体(航空機宇宙機人工衛星、ブイ、船舶)と物理的もしくは密接に接触していない記録センシング装置やリアルタイムセンシング装置を用いることで、物体や現象の情報の小規模または大規模に取得するものである。実際にはリモートセンシングは、特定の物体もしくは地域に関する情報を収集するために様々な装置を使用する、個々の場所にあるセンサが伝えるよりも多くの情報を提供する孤立(スタンドオフ)の収集である[1]。したがって、地球観測または気象衛星収集プラットフォーム、 海洋および大気観測気象ブイプラットフォーム、超音波MRIPETを用いた妊娠のモニタリング、宇宙探査機は全てリモートセンシングの例である。現代的な用法では、この用語は一般的に航空機および宇宙機に搭載された機器の使用を含むがそれに限定されないイメージングセンサ技術を用いることを指し、医用画像処理などの他のイメージング関連分野とは異なる。

リモートセンシングには2種類ある。パッシブセンサは観測対象の物体もしくは周囲の領域から放出もしくは反射される自然放射線を検出する。反射太陽光はパッシブセンサで測定される最も一般的な放射源である。パッシブリモートセンサの例にはフィルム写真、赤外線、電荷結合デバイス放射計がある。一方、アクティブコレクションは物体と領域をスキャンするためにエネルギーを放出し、その後センサでターゲットから反射もしくは後方散乱された放射線を検出・測定する。レーダーLIDARSODARが大気物理学で使われるアクティブリモートセンシング技術の例であり、これにより放出と帰還の間の時間遅延が測定され、物体の位置、高さ、速度、方向が確立される[2]

リモートセンシングにより危険なエリアやアクセスできないエリアのデータを収集することができる。リモートセンシングの応用には、アマゾン盆地などの地域での森林破壊のモニタリング、氷河や北極・南極地域への気候変動の影響、沿岸および海洋の深いところの測深がある。冷戦中の軍事収集は、危険な国境地域に関するデータの孤立(スタンドオフ)収集を利用した。リモートセンシングは費用と時間のかかる地上でのデータ収集に代わるものでもあり、その途中にエリアや物体が妨害されない。

軌道プラットフォームは、電磁スペクトルの異なる部分からデータを収集し送信する。これは大規模な大気および地上のセンシングや分析と連携して、研究者にエルニーニョや他の長期・短期起こる自然現象などの傾向を監視するのに十分な情報を提供してくれる。その他の用途には、天然自然管理などの地球科学分野、土地利用・保全などの農業分野、国境地帯における国家安全保障と上空・地上・孤立収集などの分野も含まれる[3]

放射

季節の図。入射光の密度に加えて、大気における光の散逸は、浅い角度で当たると大きくなる。

通常、大気物理学者は放射を太陽からの太陽放射と地表および大気からの放射の地球放射に分ける。

太陽放射は様々な波長を含む。可視光の波長は400-700nmである[4]。それより短い波長はスペクトルの紫外線(UV)部分として知られ、それより長い部分はスペクトルの赤外線部分に分けられる[5]。オゾンはUVCが含まれる約250nm付近の放射を吸収するのに最も効果的である[6]。これにより近くにある成層圏の温度が上昇する。雪は紫外線の88%を反射し[6]、砂地は12%を反射し、水は4%しか反射しない[6]。大気と太陽の光線の間の角度が大きくなるほど、エネルギーが大気より反射または吸収される可能性が高くなる[7]

地球放射は、太陽放射よりもはるかに長い波長で放射される。これは地球が太陽よりずっと冷たいためである。放射はプランクの法則で定式化されているように地球から様々な波長にわたり放射される。最大エネルギーの波長は10µmである。




  1. ^ COMET program (1999). Remote Sensing. University Corporation for Atmospheric Research. Retrieved on 2009-04-23.
  2. ^ Glossary of Meteorology (2009). Radar. American Meteorological Society. Retrieved on 2009-24-23.
  3. ^ NASA (2009). Earth. Archived 2006-09-29 at the Wayback Machine. Retrieved on 2009-02-18.
  4. ^ Atmospheric Science Data Center. What Wavelength Goes With a Color? Archived 2011-07-20 at the Wayback Machine. Retrieved on 2008-04-15.
  5. ^ Windows to the Universe. Solar Energy in Earth's Atmosphere. Retrieved on 2008-04-15.
  6. ^ a b c University of Delaware. Geog 474: Energy Interactions with the Atmosphere and at the Surface. Retrieved on 2008-04-15.
  7. ^ Wheeling Jesuit University. Exploring the Environment: UV Menace. Archived August 30, 2007, at the Wayback Machine. Retrieved on 2007-06-01.
  8. ^ Oklahoma Weather Modification Demonstration Program. CLOUD PHYSICS. Archived 2008-07-23 at the Wayback Machine. Retrieved on 2008-04-15.
  9. ^ Dr. Hugh J. Christian and Melanie A. McCook. Lightning Detection From Space: A Lightning Primer. Archived April 30, 2008, at the Wayback Machine. Retrieved on 2008-04-17.
  10. ^ NASA. Flashes in the Sky: Earth's Gamma-Ray Bursts Triggered by Lightning. Retrieved on 2007-06-01.
  11. ^ Fusion Energy Education.Lightning! Sound and Fury. Retrieved on 2008-04-17.
  12. ^ Glossary of Meteorology. Atmospheric Tide. Retrieved on 2008-04-15.
  13. ^ Scientific American. Does the Moon have a tidal effect on the atmosphere as well as the oceans?. Retrieved on 2008-07-08.
  14. ^ Dr James B. Calvert. Tidal Observations. Retrieved on 2008-04-15.
  15. ^ Andrew F. Nagy, p. 1-2 in Comparative Aeronomy, ed. by Andrew F. Nagy et al. (Springer 2008, 978-0-387-87824-9)


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