大気物理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 22:27 UTC 版)
雲物理学
雲物理学は雲の形成、成長、降水にいたるまでの物理過程の研究である。雲は微小な水滴(暖かい雲)、小さな氷の結晶、もしくはその両方(相が混ざった雲)からなる。適切な条件下においては、液滴は結合して降水を作り出し、そこから地面へ落下する[8]。雲の形成と成長の正確なメカニズムは完全にはわかっていないが、科学者たちによりそれぞれの液滴の微物理学を研究することにより雲の構造を説明する理論が開発されている。レーダーおよび衛星技術の進歩により、大規模な雲の正確な研究も可能となった。
大気電気学(atomospheric electricity)
大気電気学は、大気(もっと広く言うとあらゆる惑星の大気)の静電気と電気力学に与えられる用語である。地表、電離層、および大気はグローバル大気電気回路(global atmospheric electrical circuit)として知られている[9]。雷は最大1億ボルトで30,000アンペアを放電し、光、電波、X線、さらにはガンマ線まで放射する[10]。雷のプラズマ温度は28,000ケルビンに達し、電子密度は1024/m³を超えることもある[11]。
大気潮汐
最も振幅の大きい大気潮汐は、日中に水蒸気とオゾンが太陽放射を吸収するため、対流圏と成層圏で大気が周期的に加熱されるときにほとんど生じる。生じた潮汐は、その後生じた領域から離れて伝搬し、中間圏と熱圏に上ることができる。大気潮汐は、風、温度、密度、圧力における規則的な海洋潮汐は多くの共通点を持っているが2つの重要な分け隔てる特徴がある。
1) 大気潮汐は主に太陽による大気の過熱により起こるが、海洋潮汐は主に月による重力場により起こる。このことは、ほとんどの大気潮汐が太陽日の24時間に関連する振動周期を持つが、海洋潮汐は約24時間51分の太陰日(連続する月の通過間の時間)に関連するより長い振動周期を持つ[12]。
2) 大気潮汐は高さにより密度が大きく変化する大気中を伝搬する。この結果として、潮汐が徐々に大気の薄い領域に上昇するため振幅が自然に指数関数的に増加する(この現象の説明については以下参照)。対照的に海洋の密度は深さによりわずかしか変化しないため、潮汐は必ずしも深さによって振幅が変化するわけではない。
(注)太陽による過熱は最大振幅の大気潮汐の原因であるが、太陽と月の重力場も大気における潮汐を引き起こし月の重力大気潮汐効果は太陽のものよりもずっと大きい[13]。
地表の高度では、大気潮汐は24時間および12時間の周期的ではあるが小さい表面圧力の振動として検出できる。最大気圧はその地の午前10時と午後10時に起き、最小はその地の午前4時と午後4時に起こる[14]。しかし、高さが高くなると潮汐の振幅が非常に大きくなることがある。中間圏(高さ約50~100km)では、大気潮汐が50 m/sを超える振幅に達することがあり、しばしば大気の運動の最も重要な部分となる。
超高層学(aeronomy)
超高層学は、解離とイオン化が重要な大気の上層領域の科学である。aeronomyという用語は1960年にSydney Chapmanにより導入された[15]。今日、この用語には他の惑星の大気の領域に対応する科学も含まれる。超高層学における研究には、大気のこの領域に関する貴重なデータを提供してくれる気球、衛星、観測ロケットへのアクセスが必要である。大気潮汐は低層と高層の大気両方の相互作用において重要な役割をする。研究されている現象には、レッドスプライト、スプライトハロー、ブルージェット、エルフと呼ばれる高層大気雷放電がある。
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