チェリモヤ チェリモヤの概要

チェリモヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:30 UTC 版)

チェリモヤ
1. チェリモヤの果実
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : モクレン類 magnoliids
: モクレン目 Magnoliales
: バンレイシ科 Annonaceae
亜科 : バンレイシ亜科 Annonoideae
: バンレイシ連 Annoneae
: バンレイシ属 Annona
: チェリモヤ A. cherimola
学名
Annona cherimola Mill. (1768)[1]
シノニム
和名
チェリモヤ、チェリモア[2]
カスタードアップル[3][注 1]
英名
cherimoya, custard apple[注 1]

特徴

半落葉性の低木から小高木であり、枝は開張して樹高3–10メートル (m) になる[3][7][10](下図2a)。若木は全体に灰色の軟毛がある[11]。冬がはっきりした地域では、低温期に落葉する[7]は長さ1.5–6ミリメートル (mm) ほどの葉柄をもち、葉身は卵形から卵状披針形で長さ7.5–20センチメートル (cm)、全縁、暗緑色で表面に毛が散在、裏面には褐色毛が密生する[3][7][9][10](下図2b)。

はふつう長さ約 2.5 cm、葉に対生して単生または2、3個まとまってつき、芳香がある[3][9][10][11](下図2c)。花弁は6枚、3枚ずつ2輪につき、外花弁は黄緑色で長さ約 3 cm、内花弁は非常に小さくピンク色を帯びる[3][9][10]。多数の雄しべがらせん状に密集し、雌しべも多数[9]

2a. 全体
2b. 葉
2c. 花

多数の雌しべに由来する多数の液果が合着した集合果となる[3][7][9](下図2d, e)。果実は球形から心臓形、表面は鱗状で最初は灰緑色だが黄緑色に熟し、長径 10–20 cm、重さはふつう150-500グラム (g) だが大きなものは2.7キログラム (kg) 以上になる[3][7][9][10]。果肉は白くクリーム状、褐色から黒色で光沢がある長さ 1.25–2 cm の種子を多数含む[3][7][9](下図2f)。染色体数は 2n = 14, 16[7][9]

2d. 果実
2e. 果実
2f. 果実断面

分布・生態

3. 自生地のチェリモヤ(エクアドル

原産地は南アメリカペルーエクアドルのアンデス山脈、標高1,500から2,000メートルの地域であると考えられているが(図3)、古くから栽培され、メキシコや中南米に分布を広げた[10][9]。その後アフリカ地中海沿岸、東南アジアオセアニアなどにも運ばれ、現在では世界中の熱帯域の高地から亜熱帯域で広く栽培され、一部では野生化している[9][10]

米国カリフォルニアで栽培されているものでは、花期は春から変動しながら3–6ヶ月以上続く[10]。花は雌性先熟、午前7–9時頃に開花し、条件が良ければ午後3–4時頃に花粉を放出する[10]。主にケシキスイ類によって送粉される[10]。栽培下では人工授粉することもある[10]

果実は可食性で芳香があるため、コウモリなど哺乳類によって食べられ種子散布されると考えられている[9]


注釈

  1. ^ a b c custard apple は、狭義にはバンレイシ属ギュウシンリAnnona reticulata)またはその果実のことであるが、広義にはチェリモヤなどバンレイシ属の他種や、ポポーなどその他の類似した果実をつける木やその果実のことを意味する[4][5]
  2. ^ 3つの組み合わせは出典によって異なる。

出典

  1. ^ a b Annona cherimola”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年8月16日閲覧。
  2. ^ "トロピカルフルーツのニューフェイス". 食の医学館. コトバンクより2022年8月16日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o チェリモヤ. コトバンクより2022年8月17日閲覧
  4. ^ custard apple”. Collins English Dictionary. HarperCollins Publishers. 2022年8月19日閲覧。
  5. ^ custard apple”. Dictionary, Merriam-Webster. Merriam-Webster.com. 2022年8月19日閲覧。
  6. ^ a b c d 植田邦彦 (1997). “バンレイシ科”. 週刊朝日百科 植物の世界 9. pp. 100–107. ISBN 9784023800106 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m 岸本修 (1989). “Annona”. In 堀田満ほか. 世界有用植物事典. 平凡社. pp. 92–93. ISBN 9784582115055 
  8. ^ a b “Cherimoya”. The Visual Food Encyclopedia. QA International. (1996). p. 237. ISBN 9782764408988 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Annona cherimola”. Invasive Species Compendium. CABI. 2022年8月18日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Janick, J. & Paull, R. E., ed (2008). “Annona cherimola”. The Encyclopedia of Fruit & Nuts. CABI. pp. 37–41. ISBN 9780851996387 
  11. ^ a b 中村三八夫 (1978). “チェリモヤ”. 世界果樹図説. 農業図書. pp. 63–64. ASIN B000J8K81E 
  12. ^ チェリモヤ”. 食品成分データベース. 文部科学省. 2022年8月16日閲覧。
  13. ^ チェリモヤのランキング”. 果物ナビ. 2022年8月16日閲覧。
  14. ^ Cherimoya”. ScienceDirect. Elsevier B.V.. 2022年8月16日閲覧。
  15. ^ a b 五明紀春 (2005). “チェリモヤ”. 食材健康大事典. 時事通信出版局. p. 184. ISBN 9784788705616 


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