論評・研究とは? わかりやすく解説

論評・研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 23:31 UTC 版)

小林清親」の記事における「論評・研究」の解説

清親作品を「古典」として論評した最初期著述者として木下杢太郎挙げられる錦絵5・60入手し1913年大正2年)に清親論を記したのがきっかけで、清親二度面会し昔話聞き写生帖5冊を貸して貰った太郎は『東京名所図』シリーズを、「古東京」を描いたとし、「当時市街情調画くもの、他に国輝あり、三代広重あり、芳年あり、芳虎あり、国政あり、孰れ清親及ばず。唯外像を模写する知り毫も時人心情せざりしを以てなり。思ふ清親の画を喜ぶ所以平民詩境を喜ぶなり(略)清親が画は明に時期に画せる一太平時代、明治幾年前後社会情緒を現はす(以下略正字新字改めた。以下同じ。)」と述べる。 太郎の論を受け、永井荷風は、「当時都下平民が新に皇城門外建てられたこの西洋造仰ぎ見て、いかなる新奇の念とまた崇拝の情に打れたか。それ等感情新し画工の云はゞ稚気帯びた画風古めかしい木版摺の技術相俟つて遺憾なく紙面躍如としてゐる(略)小林翁の東京風景画は(略)明治初年東京を窺ひ知るべき無上資料である(略)然し小林翁の版物に描かれ新し当時東京も、僅か二三十年とは経たぬ中、更に更に新し第二東京なるものゝ発達するに従つて、漸次跡方もなく消滅して行きつゝある。」と語る。 また高橋誠一郎は、明治20年代尋常小学校時代から錦絵蒐集をしていた経験から、清親を「日本版画にこれまでなかった」「木版技術表現され西洋画」と評し、「一番思い出の深いのは、小林清親月岡芳年二人である。」と語る。 そして複数論者が、歌川広重清親比較するうになる例え森口多里は、「広重旅愁に対して明治名所絵画家小林清親飽くまで都会情調生きてゐる。清親人工自然と美妙結合多く興味寄せてゐる。両国の川開きの絵に於ては花火強烈な光輝が夜の闇に作用するときの美観描いてゐる(略)広重も亦両国の花火描いてゐるけれども、清親のとは反対に大自然中の人間の所業といふ感じに誘うて行く(略)彼の版画には、人工の光の効果を現はしたものが多い。彼は、人工の光の美観から画因を捉へたる最初日本画家である。」と述べる。 竹内原風は「一立齋広広ママ)重を江戸末期代表的風景画家と云ひ得るならば、小林清親明治初期代表的風景画家と云つて宜しからう。彼等両人試みた風景版画は、芸術的価値豊かなもので、我が版画史上特筆大書に値ひするものであるが、更に懐古乃至風俗史的意味の上から云つても、亦好個のドキユーメントとして尊重せざるを得ない。/仮に、私共東海道旅するとする、どこに広重五十三次に見るやうな俤があるか。また東京市内を歩いて見るとする。広重江戸名所はおろか、どこに清親東京名所に見るやうな情趣が残つて在るか。それはいともありがたい『文明開化』のおかげで殆んど目に破壊されてしまつたのである(略)明治新時代入り小林清親試みた風景版画のそれを見るに、彼が流浪の旅より戻つて東京に居を定め多年造詣情熱とを傾倒して製作に従事し佳作頻発したのは九年頃より十四年頃へかけてのことで、馬車人力車、練瓦造、瓦斯燈鉄橋岡蒸汽蒸汽船、バツテーラ、山高シヤツポトンビ、フロツクコート、ステツキ、蝙蝠傘写真、饅重時計夜会巻、フアンシーボール等々斯うしたボキヤブラリーの蕪雑羅列そのまゝ。文明史家の所謂猿芝居時代』なる過渡、新様相社会生活を綯ひ交ぜて伝へたのが、彼の新風版画そのものほかならない。/清親も亦広重劣らぬ美的と、尖鋭且つ繊細な感覚生きた詩人肌の人であつた。」(「/」は段落変え。)と、広重清親等価とらえている。 この二人等の比較を基に、清親は「明治広重」と呼ばれるうになる1970年代以降は、静岡時代動向暁斎との繋がり作品にみる開化期の交通機関風刺画研究アメリカ版画からの影響戦争画肖像画版木など、多様な研究なされている。 清親は「最後浮世絵師と言われることがある。ただし、同様に呼ばれる浮世絵師複数いる。それに対して内藤正人は、明治浮世絵師一括して最後浮世絵、あるいは、新たな表現可能性模索した絵師」としている。 鈴木重三は、清親を「洋画専攻した画家」として、輪郭線に頼らない光線画」を評価し、彼を「浮世絵師」と見なしていない

※この「論評・研究」の解説は、「小林清親」の解説の一部です。
「論評・研究」を含む「小林清親」の記事については、「小林清親」の概要を参照ください。

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