系統解明とは? わかりやすく解説

系統解明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 15:18 UTC 版)

百越語」の記事における「系統解明」の解説

百越言語について知識断片的な文献可能性考えられる他の言語基本的に中国語)への借用語限られている。最も長いものは、BC528年に音声的に漢字転写され5世紀後に劉向編集した説苑中国語版含まれている越人歌(中国語版英語版)である。 百越語系統については合意され見解はなく、現在中南部分布するシナ・チベット語族候補にすれば、プレ・クラ・ダイ語族、プレ・モン・ミエン語族オーストロアジア語族挙げられるクラ・ダイ語族モン・ミエン語族オーストロアジア語族ベトナム語は、中国語同様の声調があり、節構造文法的特徴活用がないことも似ている。しかしこれらは、系統関係反映しているというよりも、接触による拡散考えられる 中国学者はしばし百越語初期クラ・ダイ語族言語であると想定する言語学者Wei Qingwen「越人歌」を標準チワン語英語版)に翻訳した。鄭張尚芳(英語版)は、百越語最も近い利用可能近似言語として、文語タイ語13世紀)で歌を解釈することを提唱したが、これについては論争がある Chamberlain (1998)は、現代ベトナム語祖先となるオーストロアジア系言語が、紅河デルタ北部地域ではなくベトナムゲアン省クアンビン省ラオスボーリカムサイ県カムムアン県起源であるとしている。いっぽうで、Ferlus (2009)は、ドンソン文化主要な特徴であるすりこ木オール餅米調理する平鍋発明が、北部ベト・ムオン語群南部ベト・ムオン語群におけるこれらの発明についての語彙創出一致していることを示した。これらの発明についての新たな語彙は、借用語ではなく既存語彙から派生した現在の北部ベト・ムオン語群分布ドンソン文化のそれと一致している。よって、Ferlusは北部ベト・ムオン語群話者は、ドンソン文化人の最直系継承者であり、紅河デルタ南部北中ベトナム紀元前1世紀から住んでいた、と結論づけた。 Wolfgang Behr (2002) は、古代中国2つフィクション小説穆天子伝(BC4世紀)と越絶書AD1世紀)の文章中に、非シナ系の語彙散在し、それがクラ・ダイ語族語彙比較可能なことを指摘した例えば、中国語表記された呉の語彙: "Good" (善) 表記伊 上中国語 *bq(l)ij; タイ祖語 *ʔdɛiA1、カム・スイ祖語 *ʔdaai1 "good"; "Way" (道) 表記:缓 上古中国語 *awan; タイ祖語 *xronA1、カム・スイ祖語 *khwən "road, way"、 リー祖語 *kuun; cfオーストロネシア祖語 *Zalan (Thurgood 1994:353). Behr (2009) は方言3つの基層言語影響受けていると記しており、その最大のものはクラ・ダイ語族であるが、おそらくオーストロアジア語族モン・ミエン語族からも影響受けているとしている。 中国の歴史書に残され語彙の数は限られているが、古代百越話され言語痕跡は、中国南部方言中に、非漢語基層として見つけることができる。例)呉語粤語客家語閩語など。 Robert Bauer (1987)は、粤語客家語閩語に、クラ・ダイ語族ツールを持つ27語彙認めている。 Bauer (1996)は、広州広東語クラ・ダイ語族の間に29同根語認めることができるとも指摘しており、そのうち9つクラ・ダイ語族起源であると確認されたとしている 。Li Hui (2001)は、上海郊外閔行区呉語において、検証した100上の同根語のうち、126クラ・ダイ語族起源であるとしている。著者によれば、これらの同根語古越語遡るモンシェ語客家語の間に関連があると指摘する研究者もいる。 Ye (2014)は古代方言いくつかのオーストロアジア語族からの借用語があるとしている。 ジェリー・ノーマンMei Tsu-Linは、百越のうち少なくともいくつかは、オーストロアジア語族言語話していたことを示したシナ・チベット語族への有名な借用語k-la(虎) (漢字: 虎; 上古中国語: *laːʔ > 官話ピンイン: hǔ, 漢越語 hổ) であり、オーストロアジア祖語 *kalaʔ (比較: ベト・ムオン語群 *k-haːlʔ > kʰaːlʔ > ベトナム語 khái & Muong khảl) に由来する長江中国語:江;ピンイン:jiāng; 早期中古中国語: kœ:ŋ; 上古中国語: *kroŋ; 広東語: "kong")の古名は、後に、中国南部では、川を意味する一般名詞になったNormanMeiは、この語はベトナム語ng (*krongから) とモン語 kruŋ(「川」の意)と同根であると提唱している。 彼らはまた、閩語語彙オーストロアジア語族基層存在する証拠提出している。 NormanMei仮説広く引用されているが、最近になりローラン・サガールによって批判されている。サガールは、百越語は曇石山文化現代福建省)の言語の子孫であり、オーストロネシア祖語同源だと提唱している。彼はベト・ムオン語群揺籃の地北ベトナムよりもはるか南だと主張している。 「説文解字」(紀元後100年)によると、南越国において、を指す語(中国語: 撓獀; ピンイン: náosōu; 早期中古中国語: nuw-ʂuw)は、おそらくオーストロアジア系言語由来である。現代の中国語で、Sōuは「狩る」を意味する。しかし、「説文解字」では、は獶獀(紀元後100年頃の発音は*ou-souと推定)と記録されており、口蓋化音で始まるオーストロアジア系の単音ベトナム語chó、モン語clüwなどよりも、オーストロネシア祖語の*asu, *u‑asu)とよく似ているNormanMei閩語語彙「捌」(「知る、理解する」の意)(閩祖語 *pat; > 福州語 /paiʔ˨˦/ 、アモイ語 /pat̚˧˨/) をベトナム語biết(「知る、理解する」の意)と比較している。しかし、Sagartは閩語ベトナム語の「知る、理解する」の感覚は、中国語語彙の「別」(「識別する区別する」の意)(官話: bié; 中古中国語: /bˠiɛt̚/; 上古中国語: *bred)の意味拡張であり、ベトナム語biếtは中国語からの借用であるとしており、論争がある。

※この「系統解明」の解説は、「百越語」の解説の一部です。
「系統解明」を含む「百越語」の記事については、「百越語」の概要を参照ください。

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