相転移
相転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/13 13:32 UTC 版)
相転移(そうてんい、英語: phase transition)とは、ある系の相(phase)が別の相へ変わることを指す。しばしば相変態(そうへんたい、英語: phase transformation)とも呼ばれる。熱力学または統計力学において、相はある特徴を持った系の安定な状態の集合として定義される。一般には物質の状態(固体、液体、気体)の相互変化として理解されるが、同相の物質中の物性変化(結晶構造や密度、磁性など)や基底状態の変化に対しても用いられる。相転移に現れる現象も単に「相転移」と呼ぶことがある。
注釈
- ^ 英: differential thermal analysis
- ^ 英: phase transition points
- ^ スピングラス以外のガラス転移は相転移とは考えられていない。スピングラスについても,平衡相転移であるかどうかは議論の余地がある。
- ^ 英: phase transition of the first kind
- ^ 英: phase transition of the second kind
- ^ 英: n-th order phase transition
- ^ 英: first-order phase transition
- ^ 英: second-order phase transition
- ^ Schwabl (2006) p.332
- ^ 沸点において液体全体から蒸発が生じる場合は「沸騰」と呼ばれる。
- ^ 凝結と呼ばれる場合がある。特に固体表面での凝縮は「結露」と呼ばれる。
- ^ 英: heat of transition
- ^ 英: latent heat
- ^ 英: sensible heat
出典
相転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 14:14 UTC 版)
低温の体心立方格子からオーステナイトの面心立方格子に変態(構造相転移)する911 °CをA3点、変態することをA3変態と呼ぶ。 体心立方格子の原子の空間充填率は68 %、面心立方格子のそれは74 %で、面心立方格子のほうが高い。すなわち原子間の隙間が少ないため、A3変態を起こす際、体積は加熱する時は減少し、冷却する時は増加する。 実際には冷却する際と加熱する際でA3点は少し異なり、加熱する際は911 °Cより少し高い温度で、冷却する際は911 °Cより少し低い温度で変態を起こす。そのため加熱する際と冷却する際とで温度を区別する際は、加熱する際のA3変態(オーステナイト変態)する温度をAc3点、冷却する際のA3変態(フェライト変態)する温度をAr3点と記述する。 オーステナイト状態にある鉄を急速に冷却することで鉄はマルテンサイト状態になる。この、加熱後急冷してマルテンサイト状にする(マルテンサイト変態)行為を焼入れと呼ぶ。すなわち鉄を焼入れする時は、オーステナイトになるA3変態点を超えるまで加熱しなければならない。 純度100 %の鉄のオーステナイトをさらに熱して1392 °Cを超えると、デルタフェライト(δ鉄)に変化する。この温度をA4点という。
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相転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 03:21 UTC 版)
固体酸素には全部で6種の異なる相が知られている。様々な色を示す。 α相:薄青色 - 1 atmでは、−249.35 °C 以下で生成。単斜晶。 β相:淡青色から桃色 - 1 atmでは、-229.35 °C以下で生成。三方晶。室温、高圧条件で四酸素に変化。 γ相:淡青色 - 1 atmでは、−218.79 °C 以下で生成。立方晶。 δ相:橙色 - 室温条件では、9 GPaで生成。 ε相:深赤色から黒色 - 室温条件では、10 GPaで生成。 ζ相:金属状態 - 全ての温度条件で、96 GPa以上で生成。 室温条件で加圧することによりβ相と呼ばれる状態に凝固することが知られ、さらに加圧すると相転移が起こり9 GPaでδ相、10 GPaでε相に変化(分子間相互作用に依存)し、色は桃色、橙色、赤色(八酸素状態)に変化する。さらに加圧すると色が暗くなり黒色に近くなる。さらに加圧すると金属性のζ相が96 GPaで見られる。
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相転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 09:57 UTC 版)
沸点未満の温度では、どんな液相の物体も平衡状態になるまで蒸発する。平衡状態に達すると液体の蒸発と気体の凝縮が同じ速度で起きるようになる。したがって、蒸発した気体を継続的に取り去ると液体は最終的には全て蒸発してしまう。沸点に達すると液体はさらに急速に蒸発するようになる。沸点に達した液体は沸騰するのが普通だが、条件によっては過熱状態になる。 凝固点以下の温度では、液体は凝固し固体となる。蒸発と凝縮の場合とは異なり、常圧下では平衡状態にはならない。過冷却がおきない限り、液体は最終的には完全に固体となる。ただし常圧でない場合は必ずしもそうではなく、例えば水と氷を密閉された圧力容器に入れると、固相と液相が混在した平衡状態となることもある。
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相転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 06:14 UTC 版)
理想気体はどんな条件下でも相転移しない。これは理想気体が以下の性質を持つと仮定しているためである。 理想気体の体積中で気体分子の占める体積は無視できるほど小さい。実在気体では、圧力を一定に保ったまま温度を下げていくと、液体か固体に相転移する。あるいは、温度を一定に保ったまま圧力を上げても、液体か固体に相転移する。それに対して理想気体では、圧力を一定に保ったまま温度を下げていくと、気体の体積が際限なく小さくなる。温度を一定に保ったまま圧力を上げても同様である。理論上は、絶対零度または圧力無限大の極限で理想気体の体積は 0 になる。理想気体では実在気体の相転移現象を再現できない。 理想気体を拡張したモデルに剛体球モデル(英語版)がある。このモデルでは、気体分子は、分子と同程度の大きさの剛体球で表される。剛体球モデルでは、適度な低温または適度な高圧で、気体が固体に相転移する(アルダー転移)。このことから、理想気体で相転移が起こらないのは気体の分子の体積を無視したためであることが分かる。剛体球モデルでは平均自由行程を求めることができるので、粘度などの輸送係数について議論することができる。また、密度が低くて連続体とみなすことができない希薄気体を扱うこともできる。 理想気体には気体分子間の引力が作用しない。剛体球モデルでは、気体から液体への相転移が起きない。それに対して理想気体の別の拡張モデルであるファンデルワールス気体では、気液相転移が起こる。ファンデルワールス気体は、気体分子間の引力を考慮した理論モデルである。このことから、理想気体や剛体球モデルで気液相転移が起こらないのは気体分子間の引力を無視したためであることが分かる。
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