横浜港での検疫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 21:05 UTC 版)
「クルーズ客船における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「横浜港での検疫」の解説
「日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」も参照 2月3日夜に横浜港の大黒埠頭沖に停泊した。当該客船は2月1日に那覇港で検疫を受けていた、しかし、船内で乗客の発熱が報告されていたことから、2月3日から2月4日にかけて船内で検疫官による健康診断が行われ、船内の有症状者と濃厚接触者からCOVID-19検査に必要な検体が採取された。 2月4日夜、運航会社のプリンセス・クルーズが乗客の下船を延期する旨を公表、加えて次回クルーズの運航中止を顧客に通知した。ダイヤモンド・プリンセスには、56カ国の乗客2666人と1045人の乗務員、計3711人が船内に乗船していた。 ダイヤモンドプリンセス船内で発生した感染者の国籍(乗客2666人、乗務員1045人、計3711人中)国 / 地域感染備考合計 634 日本 270 アメリカ合衆国 88 カナダ 51 オーストラリア 49 アルゼンチン 2 イギリス 8 フィリピン 54 ウクライナ 2 香港 30 うち1人は米国国籍を有する。香港保安局局長・李家超によると53人の香港住民がいる。 台湾 6 うち1人は米国国籍を有する。 ニュージーランド 3 中国大陸 28 うち5人は中国香港国籍を有する。 インド 11 ポルトガル 1 タイ 3 北マケドニア 1 ルーマニア 2 フランス 3 ドイツ 2 キルギス 1 イスラエル 4 チリ 1 イタリア 2 インドネシア 4 コロンビア 1 ロシア 3 マレーシア 2 スロベニア 2 2月5日、ダイヤモンド・プリンセス船内において10人の感染者が確認され、日本の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づき、神奈川県内の医療機関に全員搬送された。また、同日午前7時から、クルーズ船に対して14日間の検疫が開始された。 これ以降、以下の通り2月11日を除く毎日、感染が確認されており、船内での感染者数は2月13日現在で218人となった。河野太郎防衛大臣の2月8日付ツイートによると、アメリカ政府から、船内に留まる方が感染拡大を防ぐための最善の方法であるという米衛生当局の判断に基づく申し出があり、日本はこの提案を受け入れたことが明らかとなっている。防衛省が自衛隊を派遣、長期化する船での生活に備えて、2月6日から乗客乗員へ向けた生活物資や医療などの支援活動を行っている。 2月10日、前日までに乗船者336人のうち感染者70人が確認されたことから、運航会社のプリンセス・クルーズがクルーズ費用の払い戻しを決定した。厚生労働省は乗客乗員全員に対して下船する際のウイルス検査の実施を検討している。 14日間の隔離期間終了間際の2月14日頃から、各国がチャーター機の手配を開始し、16日現在、米国、イスラエル、台湾、香港、カナダなどが申し入れを行っている。また、クルーズ船から下船する予定の乗客乗員らを19日未明から愛知県岡崎市の開院前の藤田医科大学岡崎医療センターに順次移送した。同センターには計128人が搬送された。 2月18日、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授は災害派遣医療チーム (DMAT) の一員としてダイヤモンド・プリンセスに乗船した。岩田は自身のYouTubeチャンネルで船内で安全な場所と安全でない場所を区別できておらず、感染対策がほとんどなされていないと訴え、その日のうちに船外に出されたと主張した。しかし、その翌朝「ご迷惑をおかけした方には心よりお詫び申し上げます」とツイートし、自ら動画を削除した。 2月19日までに船内3011人のウイルス検査が終了した。WHOの健康観察期間(14日間)を発熱等の症状がなく経過し、陰性と判定された乗客の下船が認められ、2月19日から21日にかけてこれに該当する乗客が下船した。下船後は専用バスで複数のターミナル駅まで移動し、それぞれ公共交通機関などで帰宅している。 乗客の下船について厚生労働省は、「14日間に症状がなく検査で陰性であれば下船しても問題ない」という見解を示しており、加えて同省は船内で最初に感染者が確認され検疫が実施された5日以降、船内での感染が広がっていないと判断した。加藤勝信厚生労働相は15日の記者会見で、「基本的にはそうした(感染防止措置をとる)前の段階で感染があり、発症したと我々は見ている」と述べ、検査で感染が確認された乗客はいずれも5日より前に感染したとの見解を示した。一方、防止策が不十分で検疫実施による5日の室内待機以降も感染が続いていた可能性がアメリカ疾病予防管理センター(CDC)や国立感染症研究所などにより指摘されている。厚生労働省は検査が陰性だった人は日常生活に戻っても問題がないと判断した一方で、アメリカやオーストラリアなどは自国に戻った乗客をさらに14日間隔離する措置を取った。 2月22日、船内で業務をしていた厚生労働省の職員のうち、発熱などの症状が無かった職員の多くは終わったあと、ウイルス検査を受けずに職場に復帰していたことが判明したが、同日一転して該当する職員41人の検査を実施した上で2週間の自宅勤務とする方針を明らかにした(翌日にはそれまで無症状で船内業務を継続していた職員1人の体調が悪くなり、感染が確認されている)。また、ウイルス検査で陰性であったため、下船した970人の乗客乗員のうち、23人は下船に必要な検査を行っていなかったことも分かった。 同日、検査で陰性だったため下船した栃木県在住の女性の感染を確認(下船者で初の感染確認)、さらに2月25日、同じく下船した徳島県在住の女性の感染が確認された(いずれも検査漏れのあった23人には含まれない)。下船者の中からは26日以降も感染者が出ており、26日時点で45人に発熱などの症状があり、29日までに計6人の感染が確認されている。 3月になると、7日までにさらに4人の下船者の感染が確認されている。うち秋田県在住の男性は船内で感染が発覚後、東京都内の医療機関に一度入院していたが、2回の検査で陰性となり胸部レントゲン検査でも異常がみられなかったことから退院し、自宅のある秋田県に戻って再度検査を受けたところ再びウイルスの陽性反応が出て同県初の感染者確認となった。
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