新進作家へとは? わかりやすく解説

新進作家へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 06:41 UTC 版)

尾崎翠」の記事における「新進作家へ」の解説

1916年大正5年)もたびたび投稿作が掲載され、「新潮十二月号に『夏逝くころ』を発表したのを契機本格的に文学取り組む決心固め始め1917年大正6年1月大岩尋常小学校退職し、はじめての上京を果たした東京帝国大学農科在学中肥料研究していた三兄史郎下宿していた渋谷道玄坂に身を寄せた少女雑誌少女世界」に少女小説発表しはじめる。1919年大正8年)、日本女子大学国文科入学目白春秋寮にて親友松下文子同室になり、以降生涯通じて親友となった1920年大正9年)「新潮一月号に『無風帯から』を発表した。同誌には芥川龍之介志賀直哉佐藤春夫らと著名作家らも名を連ねていたものの、学生ありながら新潮」に創作発表したことが大学咎められ2月退学し帰郷することになった。なお、この翠の退学同情するように松下文子退学している(のち日本大学専門部宗教学科再入学)。同年新潮十二月号にて2作目として短編松林』も発表した1921年大正10年)、再び上京し松下文子宅に同居し出版社勤めるものの、続かず数ヶ月断念している。ふたたび東京生活をも断念することになったが、それでも鳥取東京とを断続的に行き来する生活を続けており、上京時は親友松下文子のもとに身を寄せていた。この頃から頭痛悩まされ鎮痛剤ミグレニン常用するようになっていった。1926年大正15年1月橋浦泰雄白井喬二生田長江生田春月らと鳥取県無産県人会参加在京鳥取県出身者による親睦団体である)。 1927年昭和2年2月松下文子結核のため東大小石川分院入院し、その見舞いをかねて上京し上落合借家にて文子移り住む当時、まだ無名だった林芙美子杉並借家から訪ねてくるようになり、交流重ねた。またこのころ映画梗概琉璃玉の耳輪』を丘路子名義執筆しており、阪東妻三郎プロ採用され推敲頼まれるものの、そのままになり、映画化実現することがなかった。1928年昭和3年)、親友詩人松下文子北海道旭川林学博士松下真孝と結婚し共同生活終わり迎える。しかし友情交友関係生涯わたった1929年昭和4年)、「女人芸術八月号に戯曲アップルパイ午後』を発表する作品発表の場が少しずつ広がってきたものの生活は苦しく、母からの仕送り頼りの生活が続いていた。また、かねてから常用していたミグレニン服用量が増えたため体調崩しがちになったのもこの頃である。1930年昭和5年)、「女人芸術」に映画評映画漫想』を連載し、また秋以降には『第七官界彷徨』の執筆始まったものと思われる12月には、かねてから作品通じて関心寄せていた高橋丈雄との交際深まり、その高橋らの仲間と新雑誌文学党員発刊の話が起こり、翠もその雑誌のために『第七官界彷徨』を執筆することになった。翌1931年昭和6年)、「文学党員」に『第七官界彷徨』の半分強が掲載され6月には板垣鷹穂求められて「新興芸術研究」に全篇掲載した。また9月島津治子主宰の「家庭」に短篇歩行』も発表した1932年昭和7年)、栗原潔子編集「火の鳥」七月号に短篇『こほろぎ嬢』、中河与一主宰「新科学文芸八月号に『地下室アントン一夜発表した。特に『こほろぎ嬢』は太宰治関心抱き高橋丈雄に絶賛伝えたと言われている。作家として交際範囲広がり同業作家である中村地平井伏鱒二作品関心抱いて上落合自宅訪ねてきたのもこのころである。交際範囲着々と広がるもの、この秋以降常用していた薬物により、心身ともにますます変調をきたし、幻覚症状襲われることが多くなり、9月至って高橋丈雄に助け求めるものの、病状悪化篤く、そのただならない様子に、やむを得ず長兄篤郎連絡をつけ、ほぼ強制的に連れ戻されるかたちで鳥取帰郷せざるを得なくなった1933年昭和8年7月、啓堂より『第七官界彷徨』を単行本として出版した当時若い世代として新進文学者であった花田清輝平野謙巖谷大四新鮮な驚きをもって読まれたのもこの時である。そのとき翠はすでに帰郷していたが、鳥取でも出版記念会が催され地元文学関係者新聞関係者とともに郷里で健康を取り戻した本人主役として参加していた。ただ、この帰郷以降、表だった創作活動からは離れてしまい、東京築いた文学活動とも永久に別れることになった

※この「新進作家へ」の解説は、「尾崎翠」の解説の一部です。
「新進作家へ」を含む「尾崎翠」の記事については、「尾崎翠」の概要を参照ください。

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