代表的な用途
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:19 UTC 版)
原料 - アンモニアの製造(ハーバー・ボッシュ法)のほか、塩素ガスと混合し光を当てて反応させる塩酸の製造、油脂に添加して炭素同士の二重結合数を減らし固体化する改質(トウモロコシ油や綿実油のマーガリン化など)、脱硫など、多方面に利用されている。 還元剤 - 金属鉱石(酸化物)の還元、ニトロベンゼンを還元しアニリンの製造、ナイロン66製造におけるベンゼンの触媒還元、一酸化炭素を還元するメチルアルコール合成などに使われる。 燃料 - 燃やしても水以外の排出物(粒子状物質や二酸化炭素などの排ガス)を出さないことから、代替エネルギーとして期待されている。ただし、燃焼条件により窒素酸化物が生成することは不可避である。内燃機関の燃料として水素燃料エンジンを積んだ水素自動車が発売されているほか、ロケットの燃料や燃料電池に使用されている。おもに燃料電池自動車向けの「水素ステーション」の設置が始まっている。 食品添加物。 上記で述べたように、水素ガスの生産は原料を化石燃料に依存しており、水蒸気改質により発生する一酸化炭素などのうち化成品に利用されない過剰分や燃料として利用される炭化水素は二酸化炭素として環境中に放出される。水素の原料が化石燃料である限りにおいては、水素を化石燃料の代替として利用してもそのまま化石燃料の消費量が削減されたり二酸化炭素の発生が抑えられたりすることにはならない。 浮揚ガス - 1 Lの水素を詰めた風船は1.2 gの質量を浮揚させる。この性質から気球や飛行船などに用いられていたが、ヒンデンブルク号爆発事故が起きて以来、危険性の少ないヘリウムで代用されるようになった。なお、この事故の直接的原因は外皮の塗料への引火とされている。 冷却剤 - 液体水素は超伝導現象を含む低温学の調査に使用される。また、一部の発電所では、水素ガスを冷却媒体として用いている発電機もある。これは空気よりも熱伝導率が7倍と高く風損が少ないためである。水素ガスが漏れないようにするため、水素ガス圧力よりも高い圧力の油を流し遮蔽しなければならないという作業が発生する。 洗浄 - 工業分野では、半導体の洗浄はRCA洗浄が主流で、アンモニアや塩酸フッ化物が用いられるが、その代替として水素を水に溶かし込んだ水溶液は排水処理の面で環境負荷が低く、半導体の基板表面の微粒子除去・洗浄に用いられる。 溶接 - 水素分子をいったん2つの水素原子に解離させ、それを再結合させると多量の熱を発生する。これを利用した金属溶接法がある。 その他 - テクニカルダイビングや軍隊などで大深度潜水時の使用が試みられたが、同時に酸素も用いられるために爆発の可能性が使用中につきまとうなど、危険であるため使用されていない。 標準水素電極が標準電極電位の基準として用いられている。
※この「代表的な用途」の解説は、「水素」の解説の一部です。
「代表的な用途」を含む「水素」の記事については、「水素」の概要を参照ください。
- 代表的な用途のページへのリンク