ちょう‐でんどう〔テウデンダウ〕【超伝導/超電導】
超伝導
別名:超電導
【英】superconductivity
超伝導とは、物質の温度を摂氏マイナス273度付近まで冷却した時に、電気抵抗がゼロになる現象のことである。
超伝導現象は磁気浮上列車、電力システム(発電、送電、貯蔵)、核融合、超高速コンピュータ素子、超高度センサーなど幅広い分野への応用が研究されている。
超伝導現象を発見したのはヘリウムの液化に成功したオランダ人の物理学者ヘイケ・カメルリング・オネス(Heike Kamerlingh Onnes)で、1911年に液体ヘリウムで水銀を冷却する作業中、水銀の電気抵抗が温度4.2K(ケルビン)で突然ゼロに近づくことを発見した。
超伝導体は今日までに、単体元素や合金、金属間化合物等々、多数存在することが知られているが、最近では、超伝導セラミックスに注目が集まっており、高温超伝導セラミックスの研究も盛んである。
参照リンク
超伝導体文献データベース - (独立行政法人産業技術総合研究所、国際超電導産業技術研究センター)
超伝導体文献データベース・英語版
超伝導(超電導)
金属、化合物、半導体などの物質を、絶対零度に近い低い温度に冷却すると、電気抵抗がほとんどなくなる現象である。この現象は物質内の電子活動の変化から生じるもので、電気エネルギーを消費することなく、電子が自由に運動できる状況が生まれるためと考えられている。中空円筒にした超伝導体を、弱い磁界中で遷移温度(超伝導に変化する超低温度)以下に冷却すると、磁束が円筒内に閉じこめられ、印加電圧を止めても循環する超電流によって磁束が一定に保たれる。より常温に近い遷移温度の物質を開発すれは冷却剤として高価なヘリウムの代わりに廉価な液体窒素を使えるようになるので、セラミック材料などの開発が行われている。
超伝導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 14:26 UTC 版)
超伝導(ちょうでんどう、英: superconductivity)とは、電気伝導性物質(金属や化合物など)が、低温度下で、電気抵抗が0へ転移する現象・状態を指す(この転移温度を超伝導転移温度と呼ぶ)。1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オンネスが実験で発見した。
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超伝導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:12 UTC 版)
詳細は「超伝導」を参照 超伝導体は、電気抵抗が0であり、完全な導電性を持った物質である。これらは磁場も完全に排除するため、マイスナー効果や反磁性のような現象を起こす。超伝導電磁石は核磁気共鳴画像法に用いられている。 超伝導現象は1911年に発見され、その後75年間は30K以下のいくつかの金属や合金のみでしか知られていなかった。1986年にある種の酸化セラミックでいわゆる高温超伝導が発見され、現在では164Kで超伝導を示す物質まで見つかっている。
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超伝導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 07:49 UTC 版)
「ヘイケ・カメルリング・オネス」の記事における「超伝導」の解説
1911年に純金属(水銀、スズ、鉛)を冷却し、超低温での電気的性質の分析を行った。ウィリアム・トムソン(ケルビン卿)らは、絶対零度では電気伝導体の電子が流れなくなる、つまり金属の比抵抗が無限大になると信じていた。一方オネスらは温度が低くなるに従って電気抵抗が小さくなり、絶対零度では0になると考えていた。これはイギリスのマーティセン (en) が温度が低くなると金属の伝導率が高まり、抵抗値が小さくなると示したことに基づいている。 4.2Kで、水銀の電気抵抗が突然消滅した。当初オネスは試料の電極がショートしたと思ったが、その後で現実に電気抵抗がゼロになったのだと気づいた。これが超伝導現象を発見した瞬間だった。オネスは「水銀は新たな状態へと遷移した。この状態の特異な電気的特性から、これを超伝導状態 (superconductive state) とでも呼ぼう」と記している。その後、スズ、鉛などでも超伝導現象が起こることを発見した。また、超伝導状態の物質に磁場を加えると、超伝導が消失することを発見した。なお、オネスは元々 "superconductivity" ではなく "supraconductivity" という語を使っていた。 低温物理学への貢献により、1912年にランフォード・メダル、1913年にはノーベル物理学賞が授与された。1916には王立協会外国人会員に選出。
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超伝導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/27 08:01 UTC 版)
「フレーリッヒ相互作用」の記事における「超伝導」の解説
超伝導においてはフレーリッヒ相互作用によって電子間に引力が働くことが示され、その後のBCS理論へと繋がった。
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超伝導
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「二ホウ化マグネシウム」の記事における「超伝導」の解説
2001年1月に青山学院大学の秋光純らのグループが、ごくありふれた物質として市販もされていた MgB2 が、実は 39 K(ケルビン)で超伝導を示すことを発見した。転移温度は銅酸化物を中心とした高温超伝導物質よりはるかに低いが、金属間化合物(あるいは金属)ではNb3Ge(転移温度 23 K)以来の更新であった。 MgB2 における多重超伝導ギャップの起源 (The origin of multiple superconducting gaps in MgB2) についての論文が2003年に出版されている。
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超伝導
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 00:28 UTC 版)
「ボース=アインシュタイン凝縮」の記事における「超伝導」の解説
BCS理論で記述できる超伝導現象では、電子の対であるクーパー対をボース粒子として、厳密な言い方ではないがボース=アインシュタイン凝縮が起きているとみなすことができる。クーパー対は電子対なので、電子対凝縮(単に対凝縮とも)と言うことがある。 ボース=アインシュタイン凝縮を起源とする超伝導は長らく観測されていなかったが、2020年11月に東京大学・京都大学の共同研究チームが鉄系超伝導体FeSe0.79S0.21において超伝導状態にある電子を直接観測することにより、この超伝導体における超伝導がクーパー対のボース=アインシュタイン凝縮により発現していることの確証を得た、と発表した。研究グループが開発した極低温超高分解能レーザー角度分解光電子分光装置によりエネルギーバンドの分散関係を観測した結果、BCS理論に基づく超伝導状態ではなく、ボース=アインシュタイン凝縮を起源とする超伝導状態に対応するバンド分散になっていることが確かめられた。
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