ふ‐はつ【不発】
【不発】(ふはつ)
装薬や爆薬、もしくはその点火装置に何らかの問題が発生し、発射・起爆できなくなる事。
不時発射の対義語。
主要な発生原因は以下の通り。
いずれにせよ、不発を完全に防ぐ事は不可能であり、いくらかは確率的に必ず起こり得る。
このため、陸軍では予備の武器と人員を確保し、航空機ではミサイルや爆弾を複数搭載する。
装薬の不発
銃砲の装薬で不発が生じた場合、その兵器はほぼ確実に使用不能となる。
そうした場合、不発が生じた弾薬を薬室から除去するなどの復帰動作が必要となる。
武器によっては特殊かつ危険な方法を取らなければならない事がある。
例えば、迫撃砲の不発弾は、静かに発射口を下に向けて特殊な器具で砲弾を取り出す必要がある。
戦車砲ではいつ破裂してもおかしくない砲弾を車外に運び出さなければならない。
しかし一方、再び引き金を引くだけで容易に復帰できる回転式拳銃のように信頼性の高い兵器もある。
軍用機に搭載する機関砲はこの点において特に深刻である。
戦闘機のコックピットから機関砲の点検修理を行うのは困難、もしくは不可能であるからだ。
多くの戦闘機はこの理由から複数の機関砲を搭載する。
また、この理由から不発に強いチェーンガンやガトリングガンが航空機向け機関砲として重要視される。
爆薬の不発
爆薬はその性質上きわめて厳重に管理されるため、作戦開始時点ですでに不発になっている事は滅多にない。
このため、爆薬の不発はその多くが、投下・発射された際の衝撃によって発生する。
投下・発射の過程で何かにぶつかった時、信管などの部品の噛み合わせが狂って機械的な故障を引き起こす事がある。
また、落下傘が樹木などに引っかかったために接触信管が作動しないまま放置される事もある。
こうして生じた不発弾が放置された場合、後日、工事・地震・日常生活などの振動で起爆する事がある。
特に爆撃では不発弾の確認・回収が極めて困難であるため、浅い地中に不発弾が埋まっている事は珍しくなく、投下されてから数年後~数十年後に何らかの形で存在が発覚し、一般市民に危険と厄介事をもたらす事もままある。
爆弾に使われる爆薬は普通、容器の内部に密閉されているため、年単位で放置されても破壊力を保ち続ける事がある。
もちろんそれは可能性の問題であり、数十年も経過すれば劣化しきって無害化している可能性も高い。
とはいえ、不発弾の爆薬がどのような状態にあるかは、実際に容器を開けてみて分析するまで判断できない。
不発弾
(不発 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/13 17:16 UTC 版)
不発弾(ふはつだん)は、起爆に関する機構に何らかの不具合があって爆発せずにある砲弾、ロケット弾、誘導弾などの弾薬類の総称である[1][2]。
注釈
- ^ 弾頭仮栓とも。日本軍では弾頭換栓とも表記
- ^ 雷管内の爆薬の劣化や、火器側の撃針の打撃強度不足に起因する不発火など
- ^ 81mm迫撃砲 L16では不可能だが、120mm迫撃砲 RTではりゅう縄と呼ばれる綱を引くことで撃針を操作し不発の時点で当該操作を行い発射を試みることが多い
- ^ 120mm迫撃砲RTの場合は底板付近の操作で弾が取り出せる構造になっており、創立記念などでは、この機能を用いて擬製弾を砲口から落とした後に下から回収し、再び副砲手に弾薬を渡すといった様子が確認できる
- ^ 標的やバックストップ(安土)がある方向で、着弾点の安全が確認可能かつ跳弾が発生しない場所
- ^ SKB工業製12番自動散弾銃を改造したソードオフ・ショットガン
- ^ 多量の放水と催涙ガスを浴びて湿った状態
- ^ 姫路城天守の最上階に落ち、奇跡的に発火しなかったため焼失を免れた例など
出典
- ^ 那覇市. “不発弾”. 2016年8月8日閲覧。
- ^ a b 日本物理探鑛株式会社. “不発弾とはどういうもの?”. 2016年8月8日閲覧。
- ^ a b c “防衛省規格 NDS Y0001D 弾薬用語” (PDF). 防衛省 (2009年5月13日). 2012年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月22日閲覧。
- ^ 『狩猟読本』 社団法人大日本猟友会、2010年、192頁
- ^ 『猟銃等取り扱いの知識と実際』 社団法人全日本指定射撃場協会、2010年、80頁
- ^ a b 伊藤眞吉 「鉄砲の安全(その3)」『銃砲年鑑』08-09年版、180-181頁、2008年
- ^ 『TM 9-1990: Small-Arms Ammunition--September 1947』 US War Department、1948年、37頁
- ^ “第一次世界大戦:不発弾1億発、処理に700年…フランス”. 毎日新聞. (2014年8月2日). オリジナルの2014年8月3日時点におけるアーカイブ。 2014年8月2日閲覧。
- ^ “山火事で第2次大戦の不発弾が多数爆発 ベルリン近郊”. CNN (2018年8月25日). 2018年8月25日閲覧。
- ^ 沖縄県 (2014年8月27日). “不発弾発見時の事故防止に対する周知について”. 沖縄県. 2016年8月8日閲覧。
- ^ 警察庁生活安全局保安課長 (2014年12月25日). “不発弾等の取扱いについて(通達) 警察庁丁保発第205号” (PDF). 警察庁. 2016年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月8日閲覧。
- ^ 沖縄タイムス (2011年6月17日). “修学旅行生が不発弾らしき金属物所持 那覇空港で発見”. 47NEWS. 2011年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月5日閲覧。
- ^ 不発弾か 修学旅行生が銃弾所持 - 琉球朝日放送、2011年6月17日
- ^ 「海岸で拾った不発銃弾は危険」 那覇空港が機内持ち込みで「異例の放送」 - J-CASTニュース、2011年7月11日
- ^ 聖マタイ幼稚園の不発弾爆発40年 負の記憶、後世に - 琉球新報、2014年3月2日
- ^ 薩摩川内市 (2014年3月). “不発弾処理マニュアル”. 薩摩川内市. 2016年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月8日閲覧。
- ^ 沖縄県 (2012年). “不発弾” (PDF). 沖縄県. 2016年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月8日閲覧。
- ^ “住宅の建築予定地から不発弾が見つかったらどうなる”. Yahoo!不動産 おうちマガジン (2016年10月17日). 2018年12月10日閲覧。
- ^ “沖縄不発弾等対策協議会 専門部会 ワーキングチーム 報告書(案)《抜粋》”. 内閣府沖縄総合事務局 (2015年). 2020年3月10日閲覧。
- ^ “「ドンッ」沖縄戦の不発弾、民家敷地で爆破処理 住民7時間避難”. 沖縄タイムスプラス (2018年12月10日). 2018年12月10日閲覧。
- ^ 大阪・浪速区の不発弾 撤去「支払い不当」 地主、返還求め市を提訴 毎日新聞 2016年5月26日
- ^ 大阪・浪速区の不発弾訴訟 国も提訴 処理費負担で土地所有者ら 毎日新聞 2016年12月9日
- ^ “不発弾処理、所有者ら敗訴 大阪市と国の負担認めず 大阪地裁”. 産経新聞. (2018年2月26日) 2018年8月3日閲覧。
「不発」の例文・使い方・用例・文例
- その銃は不発だった
- 彼は撃とうと試みたが全部不発に終わった。
- 彼は銃を撃とうとしたが、不発になった。
- 不発弾の危険性もあることから警察に通報し、現場にテープを張って立ち入りを防いでいる。
- 戦場に赴くカメラマンが不発弾の危険性を知らないのは不思議だ、新聞社は教育を怠ってる。
- 不発弾処理班.
- 実爆弾; 不発弾.
- その計画は始めはうまくいきそうに見えたが, 結局不発に終わった.
- 現在西欧の首脳の間で行なわれている統合に関する話し合いは不発に終わるかもしれない.
- はて不思議だ、この銃の不発は無いことだ
- はて変だ、この銃の不発は無いことだ
- 銃が発せぬ(不発)
- この銃の不発は試しの無いことだ
- 銃は不発に終った
- 不発弾
- 彼は、不発の地雷を踏んだ
- 不発の小型爆弾
- ラオスで‘ボンビー‘として知られる不発の小型爆弾によって、農業者は農地を耕すことを恐れている
- シューと音を立てて破裂する(不発の爆竹のような)火薬がつまった管でできた花火
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