RQ-4
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/13 05:32 UTC 版)
運用史
アメリカ空軍
前述の通り、アメリカ空軍で使用されている。当初63機の調達を計画していたが、開発遅延と経費高騰により45機に縮小した。このためU-2Sを更新する計画も遅れている。
2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故の際には、被害状況の把握のため、施設上空を短時間飛行した。
2013年3月中旬に、米国政府より北朝鮮への警戒監視強化にともない、米軍三沢基地(青森県)に6-9月頃に暫定配備すると日本政府へ通達。しかし、4月に入り北朝鮮がミサイル発射準備を進めていることが発覚し、米国政府は配備を前倒しする可能性がある。現在のところ、グアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうちの1機を配備する予定である。また、配備する機の飛行計画は、北朝鮮のミサイル発射監視のみに使用され、日本海側のみを飛行する予定である。
2014年5月、グアムのアンダーセン空軍基地より、青森県の三沢基地へRQ-4 2機が10月までの予定で暫定配備された[2]。これは、グアムが台風のシーズンに入るためで、これにより稼働率を7割向上させることができるとしている[3]。
2019年6月20日、ホルムズ海峡上空でイラン軍の国産地対空ミサイルKhordad3によってグローバルホークが撃墜された[4]。詳しくは2019年イランによるアメリカのドローンの撃墜を参照。
2020年に正式にブロック20とブロック30(計24機)を退役させる計画を発表した[5]。
2021年、RQ-4は、台風の影響を避ける為、5月下旬から約5カ月にわたり、米軍横田基地に配備される予定である。
同年7月21日、米軍では現在使用されている20機のブロック30を2022年中に全機退役させ、10機のブロック40は運用していく予定である[6]。理由として、公聴会では「競争の激しい緊迫した状況で運用できる能力がない」として機体の旧式化を指摘。更に、ステルス性などがなく生存性の弱点が露呈した等の理由から、空軍幹部は公聴会で「我々が直面している中国の脅威に対応できる設計になっていない」と証言している。
2022年7月、米空軍保有のRQ-4全機を2027会計年度までに退役させる計画であることが報じられた[7]。
アメリカ海軍
アメリカ海軍は、海上哨戒用にMQ-4C トライトンの名称で採用し、2015年から運用試験が始まっている。
NASA
アメリカ航空宇宙局では、RQ-4で毎日10時間地球温暖化についての調査を行っている。
NATO
MP-RTIPを搭載した戦場監視機・AGS(同盟対地監視)として、RQ-4Bブロック40をベースにした機体の導入計画を進めている。 この機体はNATO RQ-4Dと命名され、5機が導入される。ドイツやイタリア、チェコなどアメリカを含めたNATO15ヵ国での共同運用が行われる予定[8]。 2019年11月21日に最初の機体がイタリアのシゴネラ空軍基地に到着した[9]。
ドイツ
RQ-4Bブロック20にカシーディアン(現エアバス・ディフェンス・アンド・スペース)製のSIGINTシステムを搭載したユーロホークを購入。2010年には最初の機体が配備されテスト飛行を行っていたが、航空交通が過密なヨーロッパ空域での安全性確保が困難だと判明し、2013年5月14日に計画はキャンセルされた。代用としてMQ-4Cを導入する予定であったがそちらも同様理由で頓挫[10]。代わりに有人機であるボンバルディア グローバル・エクスプレス6000を導入予定[11]。
韓国
2012年12月26日、アメリカ政府は4機12億ドルにて韓国に売却可能とすることをアメリカ合衆国議会に報告した[12]。報告は販売までの1ステップであり、販売に至らない可能性がある[13]。 2019年12月23日、グローバルホーク1号機が慶尚南道の泗川空軍基地に到着し、2020年9月までに順次2-4号機までが導入された[14]。システム構築後に実戦配備される予定である[15]。 尚、米空軍が2022年度中に全機退役させる方針のブロック30を韓国と日本では使用するため、機体部品はブロック40と大きく変わらないが、高額な部品である核心的部分の偵察機材がブロック40とブロック30では大きく異なるため、配備早々から早くも部品の枯渇や維持管理費の高騰が懸念されており、既に部品の枯渇や欠陥によって共食い整備等により配備されている全機による運用はできていない状況である[16]。
日本
- 日本国内における米軍の配備については前節#運用機関を参照。
中期防衛力整備計画(平成16~20年度)で、中期防期間中にRQ-4Bの導入に関する研究を行うことが定められ、中期防の期末となる2016年3月末までにRQ-4Bの導入の可否を決定することとされた。2012年12月16日の第46回衆議院議員総選挙で、当該計画を策定した民主党が大敗し、自民党へ政権交代し、第2次安倍内閣が発足。安倍政権は中期防の見直しを決め、本機の導入を前倒しすることとし、本機を早ければ2015年度までに導入したいとしている。 仮に導入するとなると、日本全域の警戒・監視には3機が必要となり、センサー類を除く機体本体は1機約25億円で、司令部機能を持つ地上施設の整備などと合わせて初期費用の総額は数百億円になる予定である[17]。 2015年11月20日、アメリカ政府はグローバルホーク3機を推定12億ドルで日本に売却する方針を決めたと報道された[18]。 2016年12月21日、三沢基地に2019年度末以降、配備すると発表された[19]。この三沢基地では米軍のグローバルホークが配備されていたが2017年5月現在三沢基地の基地改修のため在日米軍の横田基地に配備されている。 2017年、導入経費や維持管理費の増加などから中止が検討された[20]。 2018年6月28日、防衛装備庁はアメリカ合衆国空軍省とRQ-4B取得に関する契約を総額約164億円で締結した[21]。日本が導入するのは3機のRQ-4Bブロック30iと地上操縦装置2基になる。[22] 2021年4月15日、カリフォルニア州バームテールで日本向けRQ-4Bブロック30の初飛行試験に成功したとノースロップ・グラマンが発表した[23]。 2022年3月12日、最初の機体が三沢基地に到着した[24]。臨時偵察航空隊に配備が予定されており、今後順次2機目及び3機目が到着する[25]。 2022年12月15日、三沢基地においてRQ-4Bを運用する偵察航空隊が新編された[26]。
予算額 | |||
---|---|---|---|
予算計上年度 | 調達数 | 機体 | 関連経費 |
平成27年度(2015年) | - | - | 154億円 |
平成28年度(2016年) | - | - | 146億円 |
平成29年度(2017年) | 1機 | 168億円 | 19億円 |
平成30年度(2018年) | 1機 | 147億円 | 42億円 |
平成31年度(2019年) | 1機 | 71億円 | 101億円 |
合計 | 3機 | 386億円 | 462億円 |
- ^ 要出典
- ^ グローバルホーク2機目到着 青森・三沢基地 2014.5.28産経ニュース
- ^ 米無人機「グローバルホーク」を撮影、日本配備へ課題も 2014年5月28日TBS Newsi
- ^ “イランが撃墜した米軍の無人機、その「空飛ぶ監視塔」の恐るべき能力”. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “Air Force makes reductions to B-1s, A-10s, Global Hawk drones and more in FY21 budget request”. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “自衛隊新導入の無人機、対中国で無力? 米軍では退役へ”. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “EXCLUSIVE: Air Force’s RQ-4 Global Hawk drones headed for retirement in FY27”. 2023年2月18日閲覧。
- ^ NATO. “Alliance Ground Surveillance (AGS)” (英語). NATO. 2020年7月2日閲覧。
- ^ NATO. “First NATO AGS remotely piloted aircraft ferries to Main Operating Base in Italy” (英語). NATO. 2020年7月2日閲覧。
- ^ “Germany to buy Triton drone to replace cancelled Euro Hawk - sources” (英語). Reuters. (2017年3月7日)
- ^ Sprenger, Sebastian (2020年1月28日). “Germany walks away from $2.5 billion purchase of US Navy’s Triton spy drones” (英語). Defense News. 2023年11月5日閲覧。
- ^ “米、韓国に偵察機4機売却へ 対北朝鮮、情報収集力強化”. 朝日新聞. (2012年12月26日). オリジナルの2013年5月8日時点におけるアーカイブ。
- ^ “South Korea requests possible Northrop Grumman RQ-4 Global Hawk purchase” (英語). Flight Global. (2012年12月27日)
- ^ 李恩澤 (2020年10月15日). “グローバルホーク4号機、先月韓国内に到着”. 東亜日報
- ^ “한국 공군 글로벌 호크에 ‘US Air Force’ 표식 붙은 이유” (朝鮮語). 중앙일보. 中央日報 (2019年12月24日). 2019年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月24日閲覧。
- ^ “導入10カ月のグローバルホーク、4機のうち2機が故障=韓国”. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “中国・北朝鮮を監視…無人偵察機の導入検討”. 読売新聞. (2010年12月30日). オリジナルの2013年5月1日時点におけるアーカイブ。
- ^ “日本に無人偵察機を売却=3機総額1500億円-米”. 時事通信. (2015年11月21日). オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ “防衛省、グローバルホークの三沢基地配備を決定 2019年度末以降に”. FlyTeam. (2016年12月22日)
- ^ “無人機グローバルホーク導入中止を検討 費用23%増”. 2022年3月26日閲覧。
- ^ 「航空最新ニュース」『航空ファン No.791』、文林堂、2018年11月号、111-121頁。
- ^ “ついに発注!航空自衛隊用グローバルホークは3機で総額4億9000万ドル”. おたくま経済新聞 (2018年11月21日). 2020年6月28日閲覧。
- ^ “Northrop Grumman Completes Successful First Flight of Japan’s RQ-4B Global Hawk”. Northrop Grumman. 2021年4月16日閲覧。
- ^ “米無人偵察機「グローバルホーク」三沢に到着、初配備”. 産経新聞. (2022年3月12日) 2022年3月12日閲覧。
- ^ “空自、グローバルホークを三沢に3機配備へ”. 東奥日報. (2022年3月12日) 2022年3月13日閲覧。
- ^ “偵察航空隊の新編について”. 航空自衛隊. 2022年12月31日閲覧。
固有名詞の分類
- RQ-4のページへのリンク