16区 (パリ) 16区 (パリ)の概要

16区 (パリ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 18:05 UTC 版)

パリ・16区の位置
パリ・16区の位置

概要

パリの16区は、市の西部にある行政区。「パッシー区 (Arrondissement de Passy)」と呼ばれることもある[2]セーヌ川が南北に蛇行する区域にあり、区の東西はセーヌ川に面している。ペリフェリック(パリ環状道路)が区の中央部を縦断しており、その西側がブローニュの森となっている。20区のうちでは12区に次いで2番目に大きい。人口は、161,773人 (1999年。人口の推移等詳細については後述)。区の名称は、市の中央部から時計回り螺旋を描くようにして各区に付けられた番号を基にしており、当区はその16番目にあたることから「16区」と名づけられた。

セーヌ川を挟んでエッフェル塔の対岸にあたる16区北側地域一帯は「パッシー(PASSY)」と呼ばれ[3]、“貴族街”と呼ばれるアンヴァリッド地区あるいはフォーブール・サンジェルマン界隈(7区)と並び旧貴族や富裕層が住む高級住宅街として有名である[4]

メトロ パッシー駅, ビラケム橋

16区の主要な施設としては、シャイヨ宮、トロカデロ・11月11日広場(トロカデロ広場)、パリ市立近代美術館パルク・デ・プランスなどのほか、8区17区との境界にエトワール凱旋門がある。また、ブローニュの森 には、バガテル庭園ダクリマタシオン遊園地パリロンシャン競馬場スタッド・ローラン・ギャロスなどがある。

なお、セーヌ川に沿った地域のうち、イエナ橋より上流は「パリのセーヌ河岸」として世界遺産に登録されている。

地理

パリ・16区の概略図

16区は、パリの西部に位置している。南北に蛇行するセーヌ川に挟まれた区域にあり、東西でセーヌ川に接している。市内では、セーヌ川の北岸地域にあたり [5]エッフェル塔のあるシャン・ド・マルス公園の対岸にある。ペリフェリック (パリ環状道路)が、区のほぼ中央部を縦断しており、その西側の地域はブローニュの森となっている。面積は16.31 平方キロメートルで、20区のうちでは12区に次いで2番目に大きい。ブローニュの森を除くと7.85 平方キロメートルとなる。

エッフェル塔からパッシーを望む。奥にブローニュの森、下はシャイヨ宮

北は、同じパリの行政区である8区17区に接しているが、ペリフェリック以西はオー=ド=セーヌ県自治体であるヌイイ=シュル=セーヌに接している。南は、同じくオー=ド=セーヌ県のブローニュ=ビヤンクールに接している。東は、セーヌ川を挟んで7区15区に接している。西は、南から蛇行してきたセーヌ川を挟んで、北西はピュトー、西はシュレンヌ、南西はサン=クルーの各自治体に接している。

Rue Agar

地形

  • アンフェリウール湖 (Lac Inférieur) – ブローニュの森東部にある。
  • シュペリウール湖 (Lac Supérieur) – ブローニュの森南東部にある。

隣接する自治体(行政区)

地区(カルチェ)

カルティエ区分図

パリの行政区は、それぞれ4つの地区(カルチェ)に区分されている。16区を構成する4地区のコードと名称は、次のとおりである。

  • 61 - オートゥイユ地区 (Quartier d'Auteuil)
  • 62 - ラ・ミュエット地区 (Quartier de la Muette) -
  • 63 - ポルト=ドーフィーヌ地区 (Quartier de la Porte-Dauphine)
  • 64 - シャイヨ地区 (Quartier de Chaillot)
エッフェル塔から見るシャイヨ地区

住民

人口

16区の人口は、1962年に227,418人となり、ピークに達した。しかし、その後は減少を続け、1999年にはピーク時の7割程度の161,773人となった。2005年の推計では146,900人と見積もられており、人口の更なる減少が見込まれている。

また、人口の減少とともに人口密度も減り続けており、1999年の人口密度(区の面積からブローニュの森を除いて算出)は、ピーク時の7割程度の20,619人となっている。人口の推移の詳細は、次のとおりである。

区人口 市人口 区人口/市人口 区人口密度 市人口密度 備考
1872年 43,332 1,851,792 2.34% 5,523 21,303
1954年 214,042 2,850,189 7.51% 27,280 32,788
1962年 227,418 2,790,091 8.15% 28,985 32,097 人口がピークに達する。
1968年 214,120 2,590,771 8.26% 27,290 29,804
1975年 193,590 2,299,830 8.42% 24,674 26,457
1982年 179,446 2,176,243 8.25% 22,871 25,035
1990年 169,863 2,152,423 7.89% 21,650 24,761
1999年 161,773 2,125,246 7.61% 20,619 24,449
2005年 146,900 2,166,200 6.78% 18,723 24,920 人口は推計。



  1. ^ フランス語の 「16e 」 = 「seizième 」 は、英語の「sixteenth 」 に相当する序数。「第16の」 「16番目の」を意味する。したがって、原語の「16e arrondissement 」を直訳し すると「第16区」となる。
  2. ^ レジフランスLégifrance). “地方自治一般法典 (Code Général des Collectivités Territoriales (CGCT))” R2512-1条. 2008年6月26日閲覧.
  3. ^ 元々、南側地域一帯は「オートゥイユAUTEUIL)」と呼ばれ、「パリ改造」の流れの中で1860年にパッシー及びオートイユの二つのコミューヌが合併して「16区」が設立された。
  4. ^ リセ・ジャンソン=ド=サイイフランス語版英語版記述によると、当校が"パリの最名門校の一校"とされている理由としては、"高級な16区"に居住する上流階級貴族階級の子弟が通っているからだと、社会学者のミシェル・パンソンフランス語版モニーク・パンソン=シャルロフランス語版らは言う。また、フランスの人気お笑いトリオ「レ・ザンコンニュ (Les Inconnus)」は、 ラップ調の曲『Auteuil Neuilly Passy (Rap B.C.B.G.)』(1991年)で、"オートゥイユ ヌイイ パッシー、コレが深窓のお坊ちゃまのゲットー"シニカルウイットたっぷりに表現した。
  5. ^ セーヌ川の右岸にあたる。
  6. ^ ディネ・アン・ブラン 東京
  7. ^ 但し、居住用ではない「フォリー」とは異なる
  8. ^ JTBパブリッシング編 『ワールドガイド ヨーロッパ2・パリ』、JTBパブリッシング、2006年、p.144.
  9. ^ 同通り5番地は,「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972) やジャン=ポール・ベルモンド「プロフェッショナル」(1981) の映画ロケ地。
  10. ^ ラデュレと同グループで、国内外各店あわせて620店舗展開するリールに本社を置くブーランジュリーないしパティスリーのチェーン店。
  11. ^ 山口昌子 『フランスよ、どこへ行く』、産経新聞社、2007年、p.315.
  12. ^ メルヴェイユ (fr) で内外で知られ、パリ4区ヴィエイユ=デュ=タンプル通り (Rue Vieille-du-Temple)、5区モンジュ通り (Rue Monge)、7区サン=ドミニク通り (Rue Saint-Dominique)、その他12区15区17区やブローニュ=ビヤンクールなどパリ市内外、リールボルドー、ロンドンケンジントン在英仏大使館界隈やベルギードイツなど欧州域内でも展開するパティスリーチェーン店。
  13. ^ パッシー通り クラシックとカジュアルが同居するフランス観光開発機構
  14. ^ 共にパリ6区ジャコブ通りや東京の表参道界隈等にブティックを持ち、同じくファッションデザイナーのジェローム・ドレフュス (Jérôme Dreyfuss) は夫。
  15. ^ Larry Collins, Fortitude, Robert Laffont, Paris, 1985, p. 84.
  16. ^ 1986年にフランス学士院付属ティエール財団 (Fondation Thiers) が売りに出し、英政治家の所有クラブを経て、1990年に現在のホテルになった。五つ星の同ホテルは、フォッシュ大通り至近のブジョーとベル=フイユ通り (fr) とに挟まれた場所にある。ベル=フイユ通りにはチャドやコンゴ共和国、ベナン、カメルーンなど旧仏領サブサハラアフリカ諸国の大使館が軒を連ねる。また、1930年代のカルティエの宝飾品(アンティークジュエリー)デザイナーを務めたアンヌ=トゥサン (fr) 等が同ベル=フイユ通りに居住していた。
  17. ^ Emmanuel Rubin, «Ces trente tables qui ont changé le goût de Paris», Le Figaroscope, semaine du mercredi 20 au 26 décembre 2017, p. 10-11.
  18. ^ Jean-Luc Barré, François Mauriac, biographie intime, t. I : 1885-1940, Éditions Fayard, 2009 ISBN 978-2-213-62636-9, p. 219 et 450.
  19. ^ Marie-Dominique Lelièvre, Brigitte Bardot. Plein la vue, Flammarion, 2012, ISBN 978-2081246249, p. 15.
  20. ^ Marie-Dominique Lelièvre, Jacques Attali. Plein la vue, Flammarion, 2012, p. 15.
  21. ^ « 2013 DU 243 Attribution à une voie de la dénomination “allée Irène Némirovsky” (15e) », paris.fr, consulté le 20 juin 2018.
  22. ^ サンジェルマン=デプレ地区界隈のパリ7区バック通り69番地、パリ6区サン=シュルピス通り34番地、ヌイイ=シュル=セーヌシェルなどの他、2018年12月から2019年12月まで東京南青山6丁目でも展開していた、パリ唯一のビントゥバー(豆から板チョコまで)を謳うショコラトリー。
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  24. ^ « Une salle en délire pour la première collection d'Yves Saint Laurent » Le Figaro fr, 1962年1月29日
  25. ^ A 90 ans, Giscard encore courtisé Le Parisien fr 2016年2月2日,
    Entreprise Madame Olivia De Havilland à Paris (75116) Le figaro.fr économie,
    American actress Olivia de Havilland posing in her Paris apartment located 3 rue Bénouville in the 16th arrondissement. c.1969 Alamy (Photo Michael Holtz)
  26. ^ のちに、8区ラブレ通り (Rue Rabelais) 2番地のジョッケクルブ (fr)に統合された。
  27. ^ Pierre Le Goyet, Le mystère Gamelin, 1975.
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    ちなみに、コルビュジエはメトロ10番線に乗り、事務所があるサンジェルマンのセーヴル=バビロヌ駅まで通勤していたとのこと("ル・コルビュジェが生涯を過ごしたアトリエとアパート text : taco". www.vogue.co.jp. 26 April 2014. 2019年2月5日閲覧)。
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