照会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/05 09:34 UTC 版)
照会によって入手されている個人情報
警察が照会によって入手している情報は多岐にわたり、コンビニエンスストアの防犯カメラの映像、携帯電話の加入状況・通信記録、銀行口座、クレジット・カードの利用状況、戸籍謄本、学校の成績など様々な個人情報が入手可能である[7]。防犯カメラの映像の入手は、裁判所発行の捜索・差押許可状をとらずに、捜査関係事項照会書によって入手する場合が多い[13]。
図書館の自由に関する宣言では令状無しで図書館利用者の情報提供を禁じているが、日本図書館協会では緊急性などを考慮し「図書館側での判断」としており[10]、実際に捜査関係事項照会書による情報提供が多数行われている[2]。
照会件数
刑事訴訟法第197条第2項が定める「照会」は、令状をとらずに犯罪捜査をするための警察にとって都合のよい手段となっており、照会件数は増加傾向にある[2][7]。全国での具体的な総件数は不明だが、平成20年版の警察白書に若干の記述があり、それによると、ある都道府県警本部のある課での照会書の発出件数だけでその概数が2万9千9百件にも及んでいるので、全国での発出件数は極めて膨大な量になっているものと推定される[7]。
2011年に日本図書館協会が行ったアンケートによると、全国の図書館で照会件数は192館あり、そのうち113館が情報を提供したと回答があった[2]
照会の不正使用
刑事訴訟法第197条が定めるように、「照会」は捜査のために行う司法警察作用である。しかし、実際には照会によって警察が得た個人情報が、捜査以外の単なる情報収集に使われたり、警察官の個人的な目的に利用された例が数多く存在する[8]。例えば、次のような事例がある。
自分の妻から、ストーカーまがいのメールが送信されてきた、と相談されたため、同警部補は偽りの「捜査関係事項照会書」4通を作成、それらを携帯電話会社に送付し、メール送信者の住所と氏名を不正に入手した。
同警部補が以前に交際していた女性が当時付き合っていた男性について、2012年12月から翌年3月までの間に、署長名による「捜査関係事項照会書」を作成し、自治体や携帯電話会社に送付、同男性の勤務先や住所などの個人情報を不正に入手していた。
関連項目
- Tポイント - 2019年、会員情報などを令状なく捜査機関に提供したとして問題になった[3]。但し個人情報保護法第27条1項の趣旨からすると法的に問題がある対応とは言えない(他の法令による開示要請は、個人情報保護法に必ず優越する)。[要出典]
- 日本国憲法第35条
- 個人情報保護法
- ^ 原田宏二『警察捜査の正体』講談社現代新書、2016年、92-98頁。ISBN 978-4-06-288352-8。
- ^ a b c d e f “図書館の貸し出し履歴、捜査機関に提供 16年間で急増:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年9月27日閲覧。
- ^ a b “CCC、「Tカード情報、令状なく提供」報道にコメント 「今後、会員規約に明記する」”. ITmedia NEWS. 2020年6月19日閲覧。
- ^ “Tカード情報提供、捜査令状のみ対応 任意提供から変更:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年6月21日閲覧。
- ^ a b 原田『正体』p.93.
- ^ 原文警察庁
- ^ a b c d e f 原田『正体』p.94.
- ^ a b 原田『正体』p.96.
- ^ a b c d 後藤・白取『新・コンメンタール』(2010)p.443.
- ^ a b “捜査機関から「照会」があったとき”. www.jla.or.jp. 2021年9月27日閲覧。
- ^ 原田『正体』p.96-97.
- ^ a b 原田『正体』p.97.
- ^ 原田『正体』p.234.
品詞の分類
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