柏市 概要

柏市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 08:56 UTC 版)

概要

首都圏の代表的なベッドタウン柏駅を中心とした商圏を形成し、商圏人口は市調査で16市3町の237万人(2016年度調査)[1]、県調査で6市144万人(2018年度調査、茨城県からの統計を含まず)[2]に及び、千葉県屈指の商業都市である。環境未来都市[3]、総合特区[4]、新産業創造都市に指定され、つくばエクスプレス沿線の柏の葉エリアはスマートシティの先駆けともなっている。東京都へ通勤・通学する15歳以上就業者・通学者(いわゆる「千葉都民」)の割合は28.6%である(2015年度)[5]

江戸時代には水戸街道宿場町である小金宿我孫子宿の中間に位置する小さな集落であった。1896年常磐線柏駅開業により柏の発展が始まった。ただし本格的な住宅地開発が始まるのは常磐線が電化された戦後からである。大正時代の北総鉄道(現在の東武野田線)開通により、大宮駅船橋駅方面からのアクセスが向上し、柏駅交通の結節点となった。

1960年代より東京ベッドタウンとして開発が進み、多くの森や農地が大規模な団地などへと転用され、人口は急激に増加した。乗降客数の増加に対応するため、国鉄通勤五方面作戦にて常磐線の複々線化を行った。柏駅70年代に日本初のペデストリアンデッキが建設されたことで知られ、そごう髙島屋丸井などの百貨店をはじめ多くの商業施設が進出し、遠く茨城県埼玉県からも買い物客を集めた。1980年代以降は柏駅周辺に若者向けの商業施設が次々と開店し、千葉県の商都船橋市と並ぶ東葛地域(旧:東葛飾郡北部)随一の商業拠点となった。その賑わいから、「東の渋谷と称されることもあるほどである[6]。現在、中心市街地の柏駅周辺は、イオンモール、モラージュ柏、流山おおたかの森柏の葉キャンパスアリオ柏など周辺に大型SCが林立しており、柏駅前の商業にも柏そごう2016年に閉店するなど競争激化による影響が出ており、駅前の市街地再開発の構想が進んでいる。JR柏駅の乗降客数は、常磐線のバイパス路線であるつくばエクスプレスが開業するまで千葉県内で第1位であった。

つくばエクスプレス沿線のほか、東武アーバンパークライン(東武野田線)沿線などでは、新興住宅地の開発が加速し、東京都区部へのアクセスの良さからも、大規模マンション住宅街が林立し、商業施設の充実、整備された公共施設、自然豊富な住環境が整っている[7]。買って住みたい街[8] においても、首都圏第7位を記録するなど定住を目的としたファミリー層を中心に支持を受けている。特に柏の葉キャンパスは千葉県の住みここち(駅)ランキング(2021年度版)で「海浜幕張駅」や「印西牧の原駅」を押さえて3年連続で1位の人気となっている。柏の葉キャンパス駅周辺には研究教育施設が集約し、公共団体企業大学が連携して国際学術都市、次世代環境都市構想が進行している[9]。英国の名門パブリックスクール「ラグビー校」の日本校も開校。

市中央部は東武アーバンパークライン(東武野田線)・JR常磐線、国道6号国道16号が交差する交通の要衝となっている。市北部はつくばエクスプレスが通り、大学、研究所、産学連携施設などが置かれ、文教地区としての顔を持つ柏の葉地域が中心となっている。また、高齢化率が40%を超える豊四季台団地では柏市と東京大学UR都市機構の三者による共同プロジェクトが始まり、これを皮切りにした超高齢化・長寿社会に対する一連の対策は「柏プロジェクト」としてしばしば話題となっている[注釈 3]健康都市連合加盟都市[10]




注釈

  1. ^ 根戸・宿連寺・布施・布施下・弁天下・布施新町・根戸新田・松ヶ崎新田
  2. ^ 呼塚新田・柏堀之内新田・柏下・柏中村下・戸張新田
  3. ^ 例として、2017年12月に参議院事務局で開かれた勉強会「超高齢社会のまちづくり『柏プロジェクト』」。
  4. ^ 一方、従来の常磐線国電は中距離列車と併せて全列車快速運転となり、市内各駅から南千住駅上野駅方面へは松戸駅北千住駅での乗り換えが必要になった。
  5. ^ 当時のJリーグは1部制(1998年まで)。
  6. ^ 従来は松戸駅や我孫子駅にも停車していた。
  7. ^ 大阪府大阪市住吉区我孫子の川の対岸には日本書紀にある柏渡に比定される場所がある。
  8. ^ ただし、柏市の統計では2020年10月1日時点で常住人口が432,806人であり[14]、国勢調査による人口はこれよりも6,254人少ないものとなっている。
  9. ^ 人口40万人以上の日本の都市で周産期母子医療センターが存在しないのは、柏市の他に八王子市東京都)と市川市千葉県)のみである。なお、八王子市の近隣には総合周産期母子医療センターである東京都立小児総合医療センターが、市川市の近隣には地域周産期母子医療センターである順天堂大学医学部附属浦安病院が、それぞれ存在する[24]
  10. ^ かつては特急ときわにも柏通過の列車があったが、2023年度のダイヤ改正により全列車停車となった。
  11. ^ かつては東武バスイーストが市内に本社を置き路線バスを運行していたが、2021年10月1日付で東武バスセントラルに吸収合併された。

出典

  1. ^ 平成 28 年度 柏市商業実態調査[概要版]”. www.city.kashiwa.lg.jp. 2021年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月28日閲覧。
  2. ^ 第4章 主要商圏の構造 - 千葉県”. www.pref.chiba.lg.jp. 2021年10月28日閲覧。
  3. ^ 選定都市のご紹介|「環境未来都市」構想”. future-city.jp. 2021年10月28日閲覧。
  4. ^ 総合特区一覧”. www.kantei.go.jp. 2021年10月28日閲覧。
  5. ^ 千葉県. “指標で知る千葉県2018”. 千葉県. 2023年2月19日閲覧。
  6. ^ 市北部に人気を奪われた「東の渋谷」…「柏」の20年後は?”. 幻冬舎ゴールドオンライン. 2023年2月21日閲覧。
  7. ^ Category:千葉県のニュータウン各項目を参照
  8. ^ 2021年LIFULL HOME’S住みたい街ランキング”. 住まいのお役立ち情報【LIFULL HOME'S】. 2021年10月28日閲覧。
  9. ^ 柏の葉国際キャンパスタウンから始まる次世代環境都市・柏ー低炭素型都市を目指してて”. www.mayors.or.jp/. 2021年10月28日閲覧。
  10. ^ 日本支部会員名簿 - 健康都市連合日本支部”. japanchapter.alliance-healthycities.com. 2021年10月28日閲覧。
  11. ^ 柏市資料「柏市史」より
  12. ^ 「下総旧事考」より
  13. ^  1954年(昭和29年)10月14日総理府告示第850号『市の境界変更 (昭和29年総理府告示第850号)』。ウィキソースより閲覧。 
  14. ^ 毎月常住人口過去データ(令和2年)”. 2021年10月19日閲覧。
  15. ^ 歴代市長の一覧”. 柏市役所 (2021年2月26日). 2021年3月4日閲覧。
  16. ^ a b 防災行政無線の定時放送 - 柏市ホームページより
  17. ^ やさい通信” (PDF). 柏市役所. 2019年4月27日閲覧。
  18. ^ 中国野菜栽培創草の地”. 発祥の地コレクション. 2021年9月9日閲覧。
  19. ^ 三井不、旧そごう柏店本館解体へ市と協議/スカイプラザは大成に譲渡”. 建設通信新聞. 2022年5月24日閲覧。[リンク切れ]
  20. ^ セブン&アイ・ホールディングス最大の商業施設が誕生 ショッピングと遊びがひとつになった、新体験「PARK」 SEVENPARK ARIO KASHIWA 2016年春、千葉県柏市にグランドオープン!』(プレスリリース)セブン&アイ・ホールディングス、2015年10月23日http://www.7andi.com/company/news/release/001941.html2015年12月10日閲覧 
  21. ^ 柏市のまちづくり | 柏市役所”. www.city.kashiwa.lg.jp. 2019年6月25日閲覧。
  22. ^ a b 千葉県. “千葉県保健医療計画(平成30年度~平成35年度)”. 千葉県. 2019年6月14日閲覧。
  23. ^ 千葉県. “災害拠点病院の指定について”. 千葉県. 2019年6月14日閲覧。
  24. ^ 周産期母子医療センター一覧”. 厚生労働省. 2021年8月20日閲覧。
  25. ^ プログラミング教育―市立小学校全校で開始します』(プレスリリース)柏市、2017年9月1日http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/270100/p038654.html2017年9月30日閲覧 
  26. ^ “柏市が市内全小学校でプログラミング授業を始められた理由”. ICT教育ニュース. (2017年6月20日). http://ict-enews.net/zoomin/kashiwa/ 2017年9月30日閲覧。 
  27. ^ JR東日本 各駅の乗車人員(2017年度)
  28. ^ 2023年度ダイヤ改正の概要
  29. ^ 日本経済新聞社・日経BP社. “柏、大人の街に変身 「裏カシ」世代が新風|旅行・レジャー|NIKKEI STYLE”. NIKKEI STYLE. 2019年6月25日閲覧。
  30. ^ 千葉県. “柏市の国・県指定および国登録文化財”. 千葉県. 2019年6月25日閲覧。
  31. ^ “初の柏市民特別功労賞 谷沢元中日選手に 「市の名を高めた」”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 25. (1987年9月14日) 






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