新島 生物相

新島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/20 00:02 UTC 版)

生物相

2011年に出現した最も希少な大型鯨類の一種であるセミクジラ[注 1]

黒潮に乗って多くの海洋生物が島周囲には集まり、ミナミハンドウイルカ御蔵島周辺の個体らが本島や利島等伊豆諸島周辺海域や本州沿岸に定着を始めたと思われる)やウミガメ等が見られ、鯨類は捕鯨時代以前と比べ非常に数も種類も少ないが、黒潮に乗ってきたマッコウクジラザトウクジラマンタなどが近海で見られる事もある。

非常に貴重な動物が観察される事もあり、1989年には、国内で初めてキタゾウアザラシが確認された[4][5]

セミクジラやアジア系のコククジラ[6]という危機的な状況に置かれている絶滅危惧の大型鯨類も近年に確認されている。

また、かつては本島や式根島鵜渡根島などにニホンアシカの繁殖地が存在していた[7]

歴史・文化

流人墓地

縄文時代から人が暮らしていた可能性があるとされており、出土品も存在する。また、現在でも島特有の方言題目が残っていたり、冠婚葬祭時には、都心部ではすでに消滅しているような伝統的な儀式を今でも行うなど、旧来の文化が島民の生活に色濃く残っている。

平安時代838年神津島で起きた火山噴火に際し、新島島民が神津島の島民全滅を朝廷に報告した記録があり(『続日本後紀』)、その50年後である886年には新島自体が火山噴火によって、島民が全滅しているが、報告するものがいなかったとされる[8]

新島は江戸時代から1871年まで代表的な流刑地の一つとして利用されていた。上平主税十津川郷士)や相馬主計(元新撰組隊士)など、政治犯を中心とした流人が多く流されてきており、島で再度重い罪を犯した者は、絞首刑とされた。総勢で1,333人が流されたが、島人は彼らに暖かく接したという伝記が残されている。今でも島内の墓地の中には一段低い場所に流人墓地が存在するが、新島特有の白砂が敷き詰められていて、サイコロ型や酒樽型の墓石などもあり、村人が日々花をたむけるため温かい雰囲気がある。

また、流人の刑場であった向畑刑場跡へと続く道には柳が生えており、刑が執行される直前、罪人が現世を懐かしんで振り返った場所であったことから「見返り柳」と呼び、今でも供養の花や酒が供えられている。

長い歴史を裏付けるように、島には今でも数多くの物語・民話が残っている。「山ん婆」や「よべーむん(呼ぶ者、の意)」、海坊主魔物(まむん)、人魚など妖怪の類の話なども多くあるが、中でも海難法師の話は漫画地獄先生ぬ〜べ〜』などにも引用されるなど、非常に有名である。海難法師は伊豆諸島の島ごとに少しストーリーが異なっており、リンク先の話とは異なるが、ここでは新島の例の概要を紹介する。

かつて伊豆諸島を視察して回っていた悪代官がいた。こんな人間が各島を回っては迷惑がかかり気の毒だ、と考えた伊豆大島は泉津の若者たちが、船の栓を抜いて沈没させ、悪代官ともども溺死した。この亡霊が村を徘徊し、見た者には不幸が訪れると言う。溺死した代官の亡霊を見た物は発狂するととも失明するとも言われており、実際にそうなった人がいると言ういくつもの逸話が村にある。

今でもその話を信じる習慣は残っていて、1月24日は「かんなんぼーし」と呼び、漁業を控え、夜は外出せず静かに過ごし、扉にはトベラの小枝を挿して早寝する。代官の宿であった者の自宅では祠を設けて霊を祀り、現在でも当日の深夜に海岸へ向かう等の無言の行を行う。その翌日は子だまり、と言われており、子供を中心に同じことが行われるが、そうして親子2回に分けて催行される経緯は不明。

交通

海路

貨客船(大型客船)が就航。基本的には新島港[注 2]発着であるが、海況によっては寄港地が若郷(東海汽船は「渡浮根港」と呼称)や羽伏浦漁港などに変更されることがある。大型客船は橘丸またはさるびあ丸が就航している(配船は東海汽船に確認のこと)。その他に、竹芝桟橋 - 新島港を2時間半で結ぶ超高速ジェット船(ジェットフォイル)のセブンアイランドが就航している。セブンアイランドは巡航速度が80 km/hと早く、通常は揺れもさほど無い。大型貨客船しか無かった頃に比べてアクセスの利便性が非常に高まった。但し貨物輸送能力は低く、貨客船が数日欠航すると生鮮品不足となる状況の改善には至っていない。
【東京(竹芝桟橋)あるいは熱海港~伊豆大島利島新島(新島港)~式根島神津島
新島港
下田 - 利島 - 新島(新島港) - 式根島 - 神津島 - 下田(水曜日運休)
  • 村営連絡船にしき
新島(新島港) - 式根島(野伏港)を一日3往復。
  • 港湾
    • 新島港
    • 若郷漁港
    • 羽伏漁港

航空路

西方上空より
現行機種はドルニエ 228 (Do-228) 一種類のみ。座席数は19で、新島~調布間の所要時間は30分。通常新島空港調布飛行場まで一日数便運航されている。真夏などの繁盛期は一日8便程度まで増発されるが、お盆などの便は1ヶ月前でも予約が取りづらくなる。
Do-228のパイロットは2名。1999年に新規購入、2000年3月より使用された新型の機材で、現在新中央航空では5機を保有している。中央に通路を挟んで1名ずつ着席する配置で座席もリクライニング可能であり、旧機材のアイランダーよりも快適性が向上している。

島内交通

道路


注釈

  1. ^ 本種の越冬海域や育児海域は過去の記録でも一切判明していない
  2. ^ 東海汽船は「前浜港」と呼称している。
  3. ^ 芋の他に麦や米も使用する。
  4. ^ 過去には式根島神津島でも採掘されていた。

出典

  1. ^ 貝塚ほか 2000, p. 275.
  2. ^ 火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. 2016年2月25日閲覧。
  3. ^ 新島 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年2月14日閲覧。
  4. ^ 藤田健一郎, キタゾウアザラシ
  5. ^ 科博登録ID:1320”. 国立科学博物館. 2024年1月21日閲覧。
  6. ^ 科博登録ID:8894”. 国立科学博物館. 2024年1月19日閲覧。
  7. ^ 武田幸有『新島炉ばなし』(増補改訂版)新島観光協会、1974年。ASIN B000J9GLI2http://haraq.inumoarukeba.biz/ashika/niijima.htm 
  8. ^ 山崎晴雄 久保純子 『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』 講談社 2017年 ISBN 978-4-06-502000-5 p.169.
  9. ^ 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p64
  10. ^ 新島観光協会のサイト
  11. ^ ちなみにNTTはADSL接続を「フレッツ光」が未提供エリアであっても2023年1月31日を以ってサービスを終了する。


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