放射線ホルミシス 放射線ホルミシスの概要

放射線ホルミシス

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ホルミシスとは、何らかの有害性を持つ要因について、有害となる量に達しない量を用いることで有益な刺激がもたらされることであり、その要因は物理的、化学的、生物学的なもののいずれかである[3]。例えば紫外線は浴び過ぎれば皮膚がんの原因となり、また殺菌灯は紫外線の殺傷力によっているが、少量の紫外線は活性ビタミンDを体内で作るために必要であり、この活性ビタミンDは血清中のカルシウム濃度を調整するものであって、もし不足すればクル病の原因となる[4][5]。ホルミシスの語源はホルモンと同様にギリシア語のホルマオ(興奮する、の意味)である[6]

ホルミシスという言葉が最初に用いられたのは菌類の成長を抑制する物質が低濃度では菌類の成長を刺激することを表現するものとしてであり、「少量の毒は刺激作用がある」とするアルント・シュルツの法則の言い直しである[3]。1978年[7]ミズーリ大学トーマス・D・ラッキーは「電離放射線によるホルミシス[8]」において低線量の放射線照射は生物の成長・発育の促進、繁殖力の増進および寿命の延長という効果をもたらしうると主張して注目された。また翌1979年春に東京で開催された国際放射線研究会議において中国では「自然放射線の非常に高い地区に住んでいる住民の肺癌の発生率が低い」ことが発表されると、スリーマイル島原子力発電所事故調査委員長のFabricantが興味を示し、国際調査団Citizen Ambassadorを中国に派遣して以降、放射線ホルミシス研究が盛んになった[9]

概要

放射線ホルミシス効果とは、1980年にミズーリ大学生化学教授のトーマス・D・ラッキーが、一時的な低線量の放射線による生物の各種刺激効果に関する20世紀初頭からの研究者達の研究原著論文をCRC Pressから出版された本[10] の中で紹介、整理することによって使用した言葉であり、アメリカ保健物理学会誌1982年12月号に掲載された総説によって提唱された仮説である[11]。この仮説では、一時的な低線量の放射線照射は、体のさまざまな活動を活性化するとされる[11]。ラッキーは小論文『原爆の健康効用』を発表し、原爆は健康を促進した面があると主張している[12]

国際放射線防護委員会(ICRP)は、1983年より放射線ホルミシスについて検討を開始しており、ICRP1990年勧告では、「今日、ホルミシスと呼ばれるこのような影響に関するほとんどの実験データは、主として低線量における統計解析が困難なため、結論が出ていない」「現在入手しうるホルミシスに関するデータは、放射線防護において考慮に加えるに十分でない」と述べている[13]

核戦争防止国際医師会議のオーストラリア支部メンバーで、核兵器廃絶国際キャンペーンのSue Warehamは、「原子力産業では放射線の危険性を控えめに扱い、ホルミシス概念の普及を続けている」としている[14]

ロシア科学アカデミーアレクセイ・ヤブロコフらは、「ホルミシスの提唱者達は、放射線関連の疾病の増加が隠すことのできない事として明らかとなってきてからは、その放射線由来の疾病は全国的な恐怖の結果であるとの言い逃れを試みるようになり、同時に線形非閾値モデル(LNTモデル)に基づく放射能の影響を否定するキャンペーンが始まり、チェルノブイリ原子力発電所事故以後、ある科学者達は人以外の系における低線量効果に基づいてチェルノブイリのような線量は人間や全ての生物にとってためになるとの主張を始めて、LNTモデルなど現代の放射線生物学のいくつかの概念の改訂を試みる活動が続けられている」としている[15]

米国科学アカデミー「電離放射線の生物学的影響に関する委員会(BEIR)」によるBEIR VII報告(2005年)は、生物学的基礎研究(動物実験や細胞レベルの実験)と人間集団の疫学データをあわせて考慮した上で、低線量域でも放射線の被曝線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つとするLNT仮説は科学的に正しいと結論し、「LNTモデルは低線量放射線の健康影響を過大に考えているという見解も委員会は入手している。リスクはLNTから推計できるものより小さいか存在しないかであり、あるいはむしろ低線量被曝は人体によい影響をもたらすこともある、という考えである。我々はこうした仮説も受け入れることはできない。たとえ低線量であっても何らかのリスクがあるらしいことを示す情報の方が優勢なのである。」と述べている[16][17]

2007年時点では、マサチューセッツ大学のエドワード・キャラブレスらが継承して研究している[18]

近年では、日本の電力中央研究所放射線医学総合研究所東京大学京都大学東北大学大阪大学広島大学長崎大学などの各大学[19][20] で行われていたが、電力中央研究所は、2014年に「人に対する低線量放射線の影響として一般化し、放射線リスクの評価に取り入れることは難しい」との見解を示している[21]

電離放射線の性質を利用する放射線療法においては、放射線ホルミシスの範囲を逸脱する100から150ミリシーベルトという線量での放射線照射を数回全身あるいは半身に対して行うことで生体の免疫機能を高め、癌治療のための局所照射の効果を増強し、治癒率を高めたとする研究がある。局所腫瘍が発見された時点で、すでに他所に転移している可能性の大きい悪性リンパ腫を対象としたもので、他の治療法が試行されていない患者に承諾を得て30余例の治療が行われた[19][22][23]

児玉龍彦は放射線ホルミシスについて、(放射線などを当てると)p38というMAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)とか、NF-κBというシグナル系の分子が動き、これは短期的には様々な効果をもたらし、それを健康にいいとか悪いとかいう議論は様々あるが、こういう状態を長期的に続けると、慢性炎症と呼ぶ状態になり、慢性炎症は例えばガンの前提の条件になったり、様々な病気の原因になるということがよく知られていると述べている[24]

野口邦和(放射線防護学)は、放射線ホルミシスが原子力発電所の立地にともなう住民説得の道具として使われていることを指摘し、「ホルミシス現象が報告されているとおり本当に起こるのか、起こるとした場合、どういうメカニズムで起こるのか、起こるときの線量の範囲はどのくらいか」などを研究することは、放射線生物学的に意味のある重要なことであるが、現在までのところ、放射線ホルミシスは十分に証明され確立された現象ではなく、「放射線にまったく被曝しなかった人よりもちょっと被曝した方が発癌率が低かったり、かえって長生きする」などと主張することは明らかな誤りであり、「無用な放射線被曝はできるだけ避ける」「避けることのできない放射線被曝は、被曝線量をできるだけ低くする」ことが依然として放射線防護の大原則であるとしている[25]

放射線被曝と発ガン抑制のしくみ

放射線による発ガンの機構は十分に解明されているとはいえないが、現時点では「DNA 損傷→染色体異常→突然変異→細胞ガン化」と進む経路(発ガンの突然変異説)が受入れられている[26]。原爆被爆者の調査から一気に被曝した場合100ミリシーベルトで発ガンのリスクが1%高まることがわかっている[27]。電離放射線によるDNA分子の電離が直接にDNAの化学結合を切断するような作用が「直接作用」である[28]。一方「間接作用」とは、電離放射線によって水から反応性の高い・OH(ヒドロキシラジカル)などの活性種(水和ラジカル、Hラジカル、過酸化水素)が生成され、これらがDNAと化学反応することで損傷を引き起こすことである[28]。X線照射の場合、生物学的損傷の約1/3は直接作用、約2/3は間接作用の結果と考えられている[28]活性酸素は日常において運動・呼吸・食事からでも1日に細胞1個あたり約10億個発生している[29]。放射線ホルミシス仮説では、放射線を被曝するとヒドロキシラジカルを消去するグルタチオン (GSH) とスーパーオキシドを消去するスーパーオキシドディスムターゼ (SOD) が増加することで活性酸素処理能力(抗酸化機能)が高まることは細胞レベルの動物実験で証明されたと主張している[23][30]

DNA損傷の数は普段でも細胞1個当たり1日数万から数十万個であり、運動、食べ過ぎ、飲みすぎ、紫外線、タバコ、ストレス、炎症などがあれば活性酸素が増加し、DNA 損傷はさらに増える[31]。放射線を100ミリシーベルト被曝した場合のDNA損傷の数はおよそ200個であり、被曝線量が100ミリシーベルト以下の場合のDNA損傷は自然の変動幅に埋没してしまう程度であるが、放射線だけで生体の防御能力を超えなくてもタバコ+ストレス+放射線というように発ガンの原因が重複して生体の防御能力を越えることもある[32]

放射線ホルミシス研究委員会は、放射線によりDNA修復活動が活性化されることを確認したと主張している[33]

DNA損傷が多いために修復できなかったり、修復にミスが起きたりして異常な遺伝子が残ることで突然変異を持つようになった細胞は自殺させられるが(アポトーシス)、これはp53というガン抑制遺伝子の働きによるものである。中村は、この遺伝子は低線量放射線によって活性化すると主張している[32][34]。人間には2万5千の遺伝子があるが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護に関わる遺伝子があり、普通はこれがやられないと低線量の傷害はだいたい問題なく修復される。しかし、p53のような、DNAを守っていたり、そういうところに関わる遺伝子が壊れるとガンになるということがわかっている。2万5千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的である[24]。放射線は腫瘍抑制遺伝子の不活性化因子として有効に働き、発ガンの後期で進行因子の役割を果たすとする説がある[35]

それでも遺伝子異常をもったまま自爆できない細胞が残って突然変異が蓄積されると発ガンのリスクが増える[32]。突然変異からガン細胞が生まれるためには突然変異が10 数個蓄積されることが必要であるが[32]、突然変異ではない経路で発生するガン細胞もある[36]。ガン細胞は通常でも毎日数千個発生するが免疫細胞は体内を巡り、ガン細胞を見つけては処分しているため(免疫学的監視機構)ガンの発症がない[27]。ホルミシス仮説では、このように働くキラーT細胞などの免疫系細胞が低線量放射線で活性化されることは多くの実験・調査で確かめられている、と主張している[23][36]。マウスに低線量率放射線照射(0.95 mGy/h)を試みたところ、Tリンパ球の増殖応答に一時的な亢進が見られたものの、持続的な亢進やNK細胞の傷害活性の亢進は認められなかったとする報告がある[37]


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  61. ^ ロバート・アーリック『トンデモ科学の見破りかた もしかしたら本当かもしれない9つの奇説』草思社、2004年2月、98-100頁。ISBN 4794212828。"ここで統計的に有意であると主張することの主たる統計的誤りは、統計的に有意とみなすためにどれだけ多くの標準偏差(x±nσ)を選んだかということにではなく、自分が探し求めているまさに当の効果を増幅させるために、全体的なデータのなかから特定の部分データを恣意的に選んで使っていることにある。"。 
  62. ^ ロバート・アーリック『トンデモ科学の見破りかた もしかしたら本当かもしれない9つの奇説』草思社、2004年2月、100頁。ISBN 4794212828。"たとえば、なぜ癌以外の病気の死亡率だけを考慮するのか?なぜ男性だけを考慮するのか?なぜ一九七〇~一九八八年のあいだだけの死亡を考慮するのか?なぜ広島ではなく長崎だけの被爆者を考慮するのか?その答えは、こうした特殊な選択をおこなわないかぎり、そのような効果は見られないからである。実際に、女性に関するデータ、癌による死亡についてのデータ、あるいは一九七〇~一九八八年以外の年における死亡のデータを調べてみれば、五〇~九九センチグレイの線量での相対危険度の減少は存在しない(むしろ増加している)。"。 
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  77. ^ David J. Brenner et al. (2003). “Cancer risks attributable to low doses of ionizing radiation: Assessing what we really know”. PNAS 100 (24): 13761-13766. doi:10.1073/pnas.2235592100. http://www.pnas.org/content/100/24/13761.full. "Second, what is the most appropriate way to extrapolate such cancer risk estimates to still lower doses? Given that it is supported by experimentally grounded, quantifiable, biophysical arguments, a linear extrapolation of cancer risks from intermediate to very low doses currently appears to be the most appropriate methodology. This linearity assumption is not necessarily the most conservative approach, and it is likely that it will result in an underestimate of some radiation-induced cancer risks and an overestimate of others." 
  78. ^ David J. Brenner et al. (2003). “Cancer risks attributable to low doses of ionizing radiation: Assessing what we really know”. PNAS 100 (24): 13761-13766. doi:10.1073/pnas.2235592100. http://www.pnas.org/content/100/24/13761.full. "Fig. 2 shows low-dose risk estimates (2) for solid-cancer mortality in the atomic bomb survivors (1950-1997). The individuals in the dose category from 5 to 125 mSv (mean dose, 34 mSv) show a significant (P = 0.025) increase in solid-cancer-related mortality. It is possible that bias exists in these low-dose cancer-mortality risk estimates; for example, individuals nearer the blast might be more likely to have cancer recorded on their death certificates. Less potential for such bias exists in the cancer incidence studies, and the atomic bomb survivors in the dose range from 5 to 100 mSv (mean dose, 29 mSv) show a significantly increased incidence of solid cancer (P = 0.05) compared with the population who were exposed to <5 mSv (12)." 
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  92. ^ 低線量放射線影響に関する公開シンポジウム, 日本保健物理学会, http://wwwsoc.nii.ac.jp/jhps/j/newsletter/n18/13.html 2012年2月5日閲覧, "主催:「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム」実行委員会 共催:(社)日本機械学会、米国機械学会、仏国原子力学会 後援:米国放射線・科学・健康協会(RSH)、(社)日本原子力学会、日本放射線影響学会、日本保健物理学会、(財)放射線影響協会、(財)原子力安全研究協会、(財)体質研究会、(財)原子力発電技術機構、(社)日本原子力産業会議、(財)日本原子力文化振興財団、(社)日本電機工業会、(財)電力中央研究所 協賛:電気事業連合会" 
  93. ^ シンポジウムの後援は、RSHの他に、日本原子力学会、日本放射線影響学会、日本保健物理学会、放射線影響協会原子力安全研究協会、体質研究会、原子力発電技術機構、日本原子力産業会議日本原子力文化振興財団日本電機工業会電力中央研究所[92]
  94. ^ 低線量放射線影響に関する公開シンポジウム, 日本保健物理学会, http://wwwsoc.nii.ac.jp/jhps/j/newsletter/n18/13.html 2012年2月5日閲覧。 
  95. ^ Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950-2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases





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