円高不況 歴史

円高不況

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/25 08:28 UTC 版)

歴史

対ドル為替レート(1950年以降)
実効為替レート(1970年以降)
数字が大きいほど円高
1970年代

変動相場制移行後最初の円高不況は1971年(昭和46年)8月、ニクソン・ショック(ドル・ショック、ニクソン不況、第一次円高不況とも呼ばれる)の影響で引き起こされた。およそ4半世紀の間1ドル=360円の固定レートが使われていたため収支計算には勿論その固定レートが用いられていたが、同年12月、スミソニアン協定により急なレートの変更(1ドル=308円)が日本の輸出産業に与えた打撃は大きく、赤字を計上する企業が続出した。その後1973年(昭和48年)2月までの1年間は再び固定相場体制が採られたが、不安定かつ暫定的な体制であったため数次にわたる通貨危機が発生し、1973年(昭和48年)2月、遂には完全に変動相場制に移行することとなった。これにより日本円は信用の低下していた米ドルに対して急速に切り上げられ、一時1ドル=260円台となり、再び輸出産業は大きな損害を被った。その後、同年10月に発生した第一次オイルショックをきっかけに、1ドル=300円台にまで円安になったものの、1976年(昭和51年)から1978年(昭和53年)にかけて再び円高(ミニ不況、第二次円高不況)へ進行、1978年(昭和53年)には1ドル=200円を切る状態となった。

1980年代

カーターショックがきっかけで、1979年(昭和54年)から、円安ドル高が進行している状態になり、1985年(昭和60年)初頭には、1ドル=250円台となったが、ドル高による国際競争力の喪失を恐れたアメリカは、同年にG5を招集し、ニューヨークのプラザホテルにて会議を開き、諸国にドル安誘導を要請し各国はそれを承認した(プラザ合意)。1985年(昭和60年)9月時点で1ドル=240円台で推移していた円相場は同年末には1ドル=200円まで修正され、日本銀行による高目放置路線などの影響もあり、その後も一貫して円高ドル安状況が継続した[注 1]

1990年代

バブル景気時の1989年(昭和64/平成元年)には、円安傾向になったが、バブル崩壊時の1991年(平成3年)から再び円高傾向となり、1994年(平成6年)には、1ドル=100円を突破、1995年(平成7年)3月からさらに加速し、4月19日には瞬間的に79円25銭を記録した。

2000年代

ITバブルまで円高が続いたものの、その後は小泉構造改革米住宅・不動産バブルで円安になり、1ドル=100円以上にまで推移し、1ドルが3桁円の状態が続き、2004年(平成16年) - 2007年(平成19年)前半まで円安期だった。しかし、2007年(平成19年)夏にサブプライムローン問題などで、円高が進行し、1ドル=100円を再び突破した。その後も円高傾向は続き、2008年(平成20年)以降1ドル=80円台後半から90円台あたりで上下するようになった。円安方向へ進んでいた実効為替レートも再び円高方向へとシフトした。

2010年代

2007年(平成19年)後半から円高状態となったが、連邦準備制度理事会が金融緩和策などを実施したことや欧州債務危機の影響、東日本大震災による円資金需要の強まりなどからより円高が進み、2011年(平成23年)3月17日には一時76円25銭をつけて最高値を更新した。1ドル=80円台前半あたりで上下するようになった、円高傾向は進んでいたが、アメリカの財政問題が浮上すると、さらに円高が進行し、1ドル=70円台後半あたりで上下するようになった(第四次円高不況)。これらの円高により、日本の製造業は再び大きな影響を受けている。その後は2013年(平成25年)、アベノミクスによる金融緩和政策により、1ドル=80円台後半から一時は1ドル120円台にまで為替が変動した。




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