事八日 事八日の概要

事八日

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 07:07 UTC 版)

鮮斎永濯 (1884) 『温古年中行事』。2月8日の「事納」に目籠を掲げている。

概要

例外もあるが原則として、2月8日12月8日の年2回またはいずれかに行われる、2月8日と12月8日のどちらかを「事始め」、他方を「事納め」と呼ぶことがある。「事」を年間の祭事あるいは農作業と解釈し、2月を事始め・12月を事納めとするのが主流だが、関東の一部では「事」を新年の祝い事(正月行事)と解釈し、12月が事始め・2月が事納めとなる[3][4]

行事の内容は地域差が大きい。戦後徐々に行われなくなりつつある。

日付

地域によっては、2月8日12月8日の片方のみ行う。中部地方以東では両日行うが、北陸地方から西日本では、12月が主。特に近畿中国地方では、旧暦3月ごろの春事(はるごと)に吸収され、12月のみ行うことが多い[3][1]

本来は日付は旧暦で、青森県青森市浪岡平川市平賀地域山形県朝日町宮宿、河北町谷地、村山市稲下、福島県須賀川市などでは旧暦で行われる(ただし1970年代ごろの情報であり現状は不明)[5]

2月と12月以外に行われる地域もある。埼玉県蕨市戸田市では、2月8日と11月8日に行われる[5]。埼玉県さいたま市浦和区東京都大島町 伊豆大島)では、2月8日・4月8日・12月8日の年3回行われる[5]。そのほか、埼玉県草加市では1月8日・2月8日・3月8日4月8日・12月8日、三郷市では2月8日・4月8日7月8日10月8日・12月8日に行われることがある(必ずしもこれらの全ての日に行うということではない)[5]

福島県矢祭町では、各月の8日または10日に行われる[5]。福島県塙町では、8日に目籠(後述)を掲げ10日にしまうなど、8日と10日に分けて行われる[5]

行事

妖怪や悪神(地域によって異なり、一つ目小僧箕借り婆疫病神・ダイマナコ など)が家を訪れ、害をなすという。それを防ぐため、目籠・ハリセンボンの巣・ヨモギ山椒唐辛子ニンニク柊に刺した鰯の頭などを、戸口や軒下に掲げ魔除けとする。

あるいは、恵比寿薬師如来大黒田の神山の神などが訪れるといい、赤飯団子などを家に供えて歓迎する。

栃木県南部と茨城県南西部の一帯ではを束ねた「笹神様」を庭に掲げる風習がみられ「北関東のササガミ習俗」として国の文化財に選択されている[4]

針供養、すなわち、縫い針供養される。関西では12月8日、関東では2月8日が多い[6]

農作業をしてはならない、山に入ってはいけないなどの物忌がある。


  1. ^ a b c d e f 小川直之「事八日」『日本大百科全書』小学館 
  2. ^ 広辞苑』事八日
  3. ^ a b 田中宣一「事八日」『日本民俗事典』1972年。 
  4. ^ a b とちぎの慣習・ことば集 栃木県、2021年1月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 曹圭憲『「コト八日」の祭祀論的研究 : 神去来思想による稲作一元論・祖霊一元論を超えて』早稲田大学〈博士(人間科学) 甲第2473号〉、2007年。 NAID 500000435230https://id.ndl.go.jp/bib/000009364502 
  6. ^ 『国民百科事典』平凡社 6巻 pp.198–199


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