一ツ橋 地理

一ツ橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/22 03:38 UTC 版)

地理

江戸城の北に位置していて、西は清水濠、南は平川濠・大手濠に接している。平川橋も架かっている。かつて町名が神田一ツ橋の時代もあった。1933年東京都多摩地域国立市へ移転するまで東京商科大学(現在の一橋大学)がこの地に存在していた。小学館およびその関連会社(集英社メディアドゥなど)の本社が集中していることから、出版業界ではそれら企業群のことを俗に「一ツ橋グループ」と呼ばれる。神田古書店街で知られる神田神保町とも隣接している。

歴史

「一ツ橋」の由来

「一ツ橋」の地名は中心部よりやや南を南東から北西へ縦断する日本橋川に架かる一ツ橋(一橋)に由来している。

三浦浄心見聞集』の巻1(13)「江戸の川橋にいはれ有事」によると、もともと丸木を一本渡した橋だったため、「ひとつ橋」「まろき橋」と言い習わしていたという[5]

一ツ橋付近はもともと平川(いまの日本橋川)と小石川(現在の白山通り)の合流地点であり、合流点を表す「一つ」がこの地点に架かる橋の名称、さらにこの付近の地名になった。町名の由来となった一ツ橋は後述の一橋御門の築造以前から存在していたと考えられている。

隣の橋

(上流側) - 雉子橋 - 一ツ橋 - 錦橋 - (下流側)

江戸時代

江戸時代初期の1606年慶長11年)以降、この橋の前に江戸城の外郭門が築造され、「一橋御門」と命名された。8代将軍徳川吉宗は、子の宗尹に一橋門内(現在の丸紅本社 - 一橋会館の一画)に屋敷を与えて一橋家を創設、のち御三卿の一つに数えられた(地名が「一ツ橋」と表記されるのに対し、御三卿の家名は一般に「一橋」と表記される)。江戸中期以降、一橋門外は火除明地となり一帯は「護持院原」(ごじいんがはら / 森鷗外の小説で有名)と命名された。

明治時代以降

一ツ橋門(明治期撮影)

江戸幕府終焉後の1873年明治6年)になって一橋門は撤去され、1878年神田区設置に際して一ツ橋は同区に編入された。1889年、一部が麹町区竹平町に分割された(一ツ橋1丁目)。その後1947年現在の千代田区に統合。

こののち一ツ橋および隣接の神田錦町東京大学一橋大学東京外国語大学学習院の前身校が設置されたことで、かつて護持院原と呼ばれたこの一帯は明治時代の一時期には文教地区の観を呈し、各大学の校史において「発祥の地」として位置づけられている(東京商科大学 (旧制)東京外国語学校 (旧制)参照)。また近隣の神田昌平黌跡の湯島聖堂内に設立(1872年)された東京高等師範学校の附属小学校・附属中学校(現在の筑波大学附属小学校中学校・高等学校)も、1890年から1910年まで神田区一ツ橋通町(現在の一ツ橋2丁目、共立女子学園の所在地)に存在していた。これらの教育機関の中でも特に一橋大の場合、前身校である旧制東京商大が国立への移転を経て第二次世界大戦後の新制大学移行に際し、発祥の地名を校名に冠し「一橋大学」と改称、現在に至っている。なお東京商科大学が1933年に移転した後、跡地と建物を本社として取得したのが小学館である。

文教地区としての一ツ橋の雰囲気は、共立女子大キャンパスおよび一橋大の一部施設(一橋講堂・如水会館など)にわずかに残されている。

世帯数と人口

2017年(平成29年)12月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
一ツ橋二丁目 48世帯 65人

  1. ^ a b 町丁別世帯数および人口(住民基本台帳)”. 千代田区 (2017年12月6日). 2018年1月2日閲覧。
  2. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年8月30日閲覧。
  3. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年8月30日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2018年1月2日閲覧。
  5. ^ 花田富二夫(翻刻)『慶長見聞集』『仮名草子集成 第56巻』東京堂出版、2016、222頁
  6. ^ 区立小学校の通学区域”. 千代田区 (2017年8月17日). 2018年1月2日閲覧。
  7. ^ 区立中学校の通学区域と学校選択”. 千代田区 (2017年10月26日). 2018年1月2日閲覧。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「一ツ橋」の関連用語

一ツ橋のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



一ツ橋のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの一ツ橋 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS