テントウムシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 13:01 UTC 版)
テントウムシ科 | ||||||||||||||||||||||||
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Coccinella septempunctata
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Coccinellidae Latreille, 1807[1] | ||||||||||||||||||||||||
タイプ属 | ||||||||||||||||||||||||
Coccinella Linnaeus, 1758[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
テントウムシ科[3] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Ladybird, ladybug, lady beetle | ||||||||||||||||||||||||
亜科 | ||||||||||||||||||||||||
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和名の由来は枝などの先端に立って行き場がなくなると上に飛び立つ習性なため、それを「お天道様に飛んで行った」と解釈し、太陽神の天道からとられ天道虫と呼ばれるようになったとされる[4][5][6]。和名ではナミテントウ一種を指して単にテントウムシと呼ぶ場合もある。
概要
成虫の体長は数mm - 1cm程度の小型の昆虫である。成虫は半球形の体型で、脚や触角は短い。体は黒・赤・橙・黄・褐色など鮮やかな色で彩られ、体の模様も種類間で変異に富んでいる。日本では赤や黄の地色に黒い水玉模様、あるいは黄に白の水玉模様のものが多く、その多くはそれらの斑点の数で命名されている。
幼虫・成虫とも強い物理刺激を受けると偽死(死んだふり)をし、さらに関節部から体液(黄色の液体)を分泌する。この液体には強い異臭と苦味があり、外敵を撃退する。体色の鮮やかさは異臭とまずさを警告する警戒色といえる。このため鳥などはテントウムシをあまり捕食しないが、それでもクモやカマキリ、菌類などの天敵が存在する。
食性は種類によって大きく異なり、アブラムシやカイガラムシなどを食べる肉食性の種類、うどんこ病菌などを食べる菌食性の種類、ナス科植物などを食べる草食性の種類の3つに分けることができる。このため農作物にとっては益虫と害虫に大きく分かれることとなる。肉食性の種は近年では農作物の無農薬化を行う際、農薬代わりに使用される生物農薬の一つとして活用されている。
俗信においては、しばしば幸福や恋愛に関連した縁起の良い虫であるとされる。
生活環
甲虫の仲間なので、卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。
成虫は交尾のあとに、食物の近くに数十個ほど固めて産卵を行う。孵化した幼虫は翅がなく、腹部が後方へ伸びる。さらに体には突起やとげをもち、成虫とは似つかない体型をしている。
甲虫類の中には幼虫と成虫で食性がちがうものもいるが、テントウムシ類は幼虫も成虫も同じ食物をとることが多い。また卵や幼虫を対象とした共食いをし、草食種もこの性質を残す。
充分に成長した終齢幼虫は植物の葉の裏などで蛹になる。蛹は楕円形で、翅こそ短いものの成虫の形に近い。腹部の先で壁面にくっつき、落下しないようになっている。蛹から羽化したばかりの成虫の翅は黄色だが、翅が固まるにつれ、特徴的な模様が現れる。
成虫は春から秋までよく見られる。トホシテントウなどは幼虫で越冬するが、多くのテントウムシは成虫で越冬する。越冬の際は石や倒木などの物かげで、数匹 - 数十匹の集団を作る。
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テントウムシの幼虫(写真中央 葉の先端付近)
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カメノコテントウの仲間の幼虫
- ^ a b Robertson, J.A., A. Ślipiński, M. Moulton, F.W. Shockley, A. Giorgi, N.P. Lord, D.D. McKenna, W. Tomaszewska, J. Forrester, K.B. Miller, M.F. Whiting and J.V. McHugh, 2015. “Phylogeny and classification of Cucujoidea and the recognition of a new superfamily Coccinelloidea (Coleoptera: Cucujiformia).” Systematic Entomology, 40: 745–778.
- ^ a b Patrice Bouchard, Yves Bousquet, Anthony E. Davies, Miguel A. Alonso-Zarazaga, John F. Lawrence, Chris H. C. Lyal, Alfred F. Newton, Chris A. M. Reid, Michael Schmitt, S. Adam Ślipiński, Andrew B. T. Smith, 2011. “Family-group names in Coleoptera (Insecta).” Zookeys, 88: 1-972.
- ^ a b Hiroyuki Sasaji「テントウムシ科」『日本産甲虫目録』第26号、甲虫談話会、1985年。
- ^ 『日本大百科全書 16』小学館、1994年。
- ^ 吉田金彦『語源辞典 動物編』東京堂出版、2001年、168頁。
- ^ 森上信夫『虫の呼び名事典』世界文化社、2013年、20頁。
- ^ 日本昆虫科学連合『昆虫科学読本』(東海大学出版部)p174-183
- ^ 飛べないテントウムシ期待大 名古屋大、害虫対策に開発
- ^ 名古屋大学の発表 (PDF) [リンク切れ]
- ^ T. Ohde; et al. (2009). “Vestigial and scalloped in the ladybird beetle: a conserved function in wing development and a novel function in pupal ecdysis”. Insect Molecular Biology (Royal Entomological Society) 18 (5): 571–581. doi:10.1111/j.1365-2583.2009.00898.x. ISSN 1365-2583 .
- ^ 飛べなくしたテントウムシの力拝借 害虫駆除アイデア 高校生特許出願へ東京新聞、2013年12月24日 Archived 2013年12月27日, at the Wayback Machine.
- ^ 「飛ばないテントウ虫」で害虫駆除 千葉県立農大が商品化 羽を特殊樹脂で固定産経新聞、2018年2月10日
- ^ 害虫駆除の星、研究飛躍 テントウムシの羽固定、農業大学校で実用化 /千葉県朝日新聞2018年2月15日
- ^ 『昆虫科学読本』p176
- ^ 盛口満『テントウムシの島めぐり』(地人書館)p171-173
- ^ Ladybird Contamination on the RiseThe Drinks Business、2012年2月2日
- ^ テントウムシの襲来swissinfo.ch、2008年10月15日
- ^ 藤山直之・片倉晴雄「日本産およびインドネシア産マダラテントウ類の属名について」『昆蟲(ニューシリーズ)』第21巻 3号、日本昆虫学会、2018年、197-201頁。
- ^ a b Ainsley E. Seago, Jose Adriano Giorgi, Jiahui Li, Adam Ślipiński, “Phylogeny, classification and evolution of ladybird beetles (Coleoptera: Coccinellidae) based on simultaneous analysis of molecular and morphological data,” Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 60, Issue 1, Elsevier, 2011, Pages 137-151.
- ^ Hermes E. Escalona & Adam Ślipiński, “Generic revision and phylogeny of Microweiseinae (Coleoptera: Coccinellidae),” Systematic Entomology, Volume 37, Issue 1, Royal Entomological Society, 2012, Pages 125-171.
- ^ 阪本優介『テントウムシハンドブック』(文一総合出版)p2
- ^ 佐々治寛之『テントウムシの自然史』(東京大学出版会)p194-195
- 1 テントウムシとは
- 2 テントウムシの概要
- 3 人間との関わり
- 4 分類
- 5 おもな種
- 6 参考文献
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