タラバガニ 日本人との関わり

タラバガニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 02:28 UTC 版)

日本人との関わり

漁獲

日本における主な漁場オホーツク海で、沖合底引き網刺し網漁獲され、かつては蟹工船があり、漁獲したものを海上で缶詰にまで加工していた。かつては、マダラ延縄漁でも混獲されていたが、乱獲によって生息数の減少が危惧されている。

日本では「タラバ」蟹類採捕取締規則(昭和8年農林省令第9号)という命令により、メスの採捕が禁止されているが、販売についての規制は特になく、ロシアからの輸入品が「子持ちタラバ」として流通している。

海外におけるタラバガニの漁場はアメリカ合衆国アラスカ州のベーリング海のブリストル湾、同じくベーリング海のノートンサウンドという名の入り江やカムチャッカ半島近海などが有名である。

その中でもアメリカ産(アラスカ産)が非常に人気があり日本にも毎年輸入されている。

日本への輸入業者としてはアメリカ最大の水産会社であるトライデントシーフードニッスイが代表的である。

流通・食用

塩茹で蒸し蟹として流通することが多く、缶詰(身に含まれる硫黄が缶の鉄と化合して黒く変色するのを防ぐために身を硫酸紙で包む場合もある)にも加工される、いずれもそのまま食べる以外にも様々な料理の材料として、使われる。日本では半透明の生身を刺身で賞味することもあるが、加熱したものより繊維質が強靭で、旨みも薄い。ヤドカリの仲間であることから、ケガニズワイガニとは違い、カニミソは油分・水分が多く生臭さがあり、通常は食用にされない。

アブラガニとの混同

アブラガニはタラバガニとよく似ており、しばしば混同されることもあるが、アブラガニを「タラバガニ」と表示して販売することは、日本では禁止されている。

2004年に「タラバガニ」の原材料偽装(実際はアブラガニ[22])が日本で問題となった[23]。アブラガニは従来北海道ではタラバガニと明確に別の種類として扱われていたが、後に価格も上昇し[要出典]タラバガニの代用魚として利用されるようになった[24]

2004年3月21日の毎日放送系ローカル『Voice』、同年4月25日のTBS系『報道特集』にて、偽装販売問題が放映され、北海道札幌市二条市場への取材により、一部の店舗で偽装を認めたコメントが放映された。

2004年、公正取引委員会の調査により、4月27日付そごう広島店の「初夏の北海道物産展」の折り込みチラシに、アブラガニをタラバガニであるかのように表示していたが,実際にはアブラガニであった事実等が認められ、6月30日、景品表示法の規定に基づき、株式会社そごうほか3社に排除命令を行った[25][26]これらの一連の報道をきっかけに、アブラガニの存在が広く知られるところとなった。[要出典]

また、アブラガニのほかにもイバラガニ(学名:Lithodes turritus)など多くの近縁種を抱えているので、こちらも偽装に使われるのではないかと指摘する関係者も存在する。[要出典]

文学

本来は、タラバガニの漁期は春から夏の間であるが[8]、「タラバガニ」は冬の季語になっている[1][8]。日本では小林多喜二の『蟹工船』でも知られる[8]


注釈

  1. ^ メス1匹あたりの孵化数は、高齢個体ほど多いと考えられる。種苗稚ガニ生産用に育成した個体では、16,000粒から80,000粒程度を抱卵した。[要出典]

出典

  1. ^ a b c d e f g 小学館、『日本国語大辞典』「たらばがに」。JapanKnowledgeにて確認(2020年11月8日)。
  2. ^ a b c d e 公益社団法人日本水産資源保護協会、『わが国の水産業 かに』、「種類と分布」および「代表種」 (PDF) 、2020年11月8日閲覧。
  3. ^ 農林水産省農林水産物輸出入情報(令和2年1月分) (PDF) 、2020年11月8日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 小学館、『日本大百科全書:ニッポニカ』、武田正倫・笹川康雄・三浦汀介、「タラバガニ」、JapanKnowledgeにて確認(2020年11月8日)。
  5. ^ a b c 倉上政幹・著、『水産動植物精義』、杉山書店、1925年。pp.293-299「たらばがに」。(国立国会図書館デジタルコレクション)コマ番号163-166
  6. ^ 旺文社、『生物事典』、「タラバガニ」、JapanKnowledgeにて確認(2020年11月8日)。
  7. ^ a b c 独立行政法人水産総合研究センター、NEWS LETTER、「おさかな瓦版」第12号(2006年8月)、シリーズ:北の海のさかなたち、「第4回 タラバガニ」 (PDF) 。2020年11月8日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 神港魚類株式会社(マルハ株式会社グループ)、「日本の旬・魚の話」、「鱈場蟹(たらばがに)」。2020年11月8日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l 平凡社、『世界大百科事典』、武田正倫、「タラバガニ」。JapanKnowledgeにて確認(2020年11月8日)。
  10. ^ a b 研究社、編者代表・竹林滋、『新英和大辞典』(第6版第10刷)、2015。ISBN 978-4-7674-1016-6
  11. ^ ディスカバリーチャンネルКак камчатский краб оказался в Баренцевом море?。2020年11月8日閲覧。
  12. ^ a b c d Morning Star、2016年8月25日付、Stalin’s crab all set to take over the northern seas。2020年11月8日閲覧。
  13. ^ a b c ノルウェー(ノルウェー王国大使館)、「SEWFOOD FROM NORWAY」(ノルウェー産シーフード)タラバガニ。2020年11月8日閲覧。
  14. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  15. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  16. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  17. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  18. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  19. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  20. ^ 出典 : 水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 底魚生態研究室 (2007年). “SSP-PCR法によるタラバガニ類の種判別方法の確立”. (公式ウェブサイト). 農林水産省 農林水産技術会議事務局. 2010年4月14日閲覧。
  21. ^ 出典 : NHK 地球ドラマチック 「増殖中!タラバガニ 生態系を壊す!海底の王者」2014年10月11日放送分
  22. ^ 朝日新聞社AERA、2007/08/17付、「豚肉→牛肉」だけじゃない食品偽装のカラクリ。2020年11月8日閲覧。
  23. ^ 北海道立総合研究機構 佐々木潤ランチタイムセミナー > 第45回 代用魚
  24. ^ 東京魚市場卸協同組合おさかな普及センター資料館 さかなの知識あれこれ No.32 2006年(2018年9月17日アーカイブ、2024年1月16日閲覧。)
  25. ^ “タラバガニはアブラガニ!?そごうなどに排除命令”. (2004年6月30日). オリジナルの2004年7月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20040701192848/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040630-00000412-yom-soci 2019年4月27日閲覧。 
  26. ^ “機能性表示「解禁」と「規制」 暗転する新市場② 大詰め迎えた調査”. (2017年8月24日). https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=3833 2019年4月27日閲覧。 





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タラバガニ」の関連用語

タラバガニのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タラバガニのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのタラバガニ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS