なぎなた なぎなたの概要

なぎなた

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 05:19 UTC 版)

なぎなた
使用武器 薙刀(木刀)、競技用なぎなた
発生国 日本
発生年 明治大正
源流 薙刀術
公式サイト 全日本なぎなた連盟
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歴史

薙刀鎌倉時代から南北朝時代を経て室町時代にかけては歩兵の主武器であり、そこから薙刀術が生まれた。やがて戦国時代を迎えて戦術が発達した結果、個人の武勇よりも集団での効率性が重視されて、振り回して使うがゆえに野戦では味方を傷つけるリスクもある薙刀より、穂先が軽量で刺突に特化し部隊ごとの一斉突撃や敵騎兵などに対する防御に向いたに取って代わられた。そのころから戦場では使われなくなったが、さらに江戸時代に入り、戦場での有効性という観点が重要にならなくなると、むしろ平時において家を守るための「女薙刀」が発展し、男性の武術から女性の武術としての地位を確立したとされる。稽古用の防具も製作され、剣術竹刀稽古に相当する試合が行われるようになった。ただし、稽古道具を着用した当時の試合記録は現存しない[1] ため、あくまで推定の域に過ぎない。

昭和時代に入ると、1936年(昭和11年)文部省の通達により、女子の中等学校正課体育に薙刀・弓道を取り入れることが決議され、京都の武徳殿と東京の修徳館で薙刀の教員が養成された[1]1940年(昭和15年)薙刀の教材化を目的として、天道流と直心影流を中心に「薙刀道基本動作」が統一され、1941年(昭和16年)国民学校令の中で女児に対して薙刀を課せられたことも相まって、学校薙刀道が形成された[1]。しかし、敗戦後、戦時下で行われた学校薙刀道は廃止された。1953年(昭和28年)5月4日、戦後第1回「武徳会」において、天道流と直心影流の演舞披露が行われ、翌年「近畿ナギナタ連盟」が発足、その翌年には「全日本薙刀連盟」が発足する[1]。その後、文部省の指導によって平仮名書きの「なぎなた」へと名称を変更、1964年(昭和39年)には全日本なぎなた連盟でも「なぎなた」の名称が決定し、古武術から現代武道へと脱皮を果たす[1]

新しい「なぎなた」は、剣道などと異なり利き手を問わず技が左右対等に行われ、くり出し・くり込み・持ちかえ等の変化に富み、俊敏柔軟な動作で興味深く実施でき、均等的全身運動である点に特徴があるが、あくまでも学校教材であって技術的には武道ではないという指摘がある[2]第二次大戦前まで「剣に対する薙刀」として実施されていたが、現在は「なぎなた対なぎなた」として実施されている。

競技用なぎなたでの上段の構え
全日本なぎなた連盟
全日本なぎなた連盟はなぎなた競技の国内競技連盟。多くの薙刀術流派を統合。段級位制をとっている。日本武道協議会日本スポーツ協会国際なぎなた連盟日本オリンピック委員会に加盟。

参加流派

服装・用具

薙刀を模した、竹刀に似たなぎなた競技用なぎなたとも呼ぶ)、または薙刀の木刀を使う。競技用なぎなたは全長が2.1m - 2.25m、重量が650g以上と定められている。2cm幅の竹を2枚合わせた刃部(50cm+重なり15cm)をカシでできた柄部に白のビニールテープで千段巻きにして固定している。

白の稽古着に黒もしくは紺色の馬乗を着用することが決められている。袴の形状は剣道のものと大きく異なっている。上級者は黒地に白紋付きの上衣を着用することがある。稽古着の袖口は、競技中に相手競技者のなぎなた(切先)が入らないように、腕との隙間が広すぎないものがよいとされる。古流の天道流は袖口にゴムが入り、直心影流はゴムなしの稽古着を使用するといわれる。

防具剣道の防具に似ているが、面の面垂れが剣道のものと比べやや短い、胴の幅が狭い、垂れが短い、甲手の形状が異なる、両下腿に脛当てを着装するといった違いがある[3]


  1. ^ a b c d e 前畠ひとみ『「薙刀 (長刀)」から「なぎなた」へ』2006年12月20日。doi:10.18878/00001787https://doi.org/10.18878/000017872020年4月23日閲覧 
  2. ^ 榊田八重子『薙刀(古武道)の沿革と新しいなぎなたについて』1976年。doi:10.11214/budo1968.9.2_84https://doi.org/10.11214/budo1968.9.2_842020年4月23日閲覧 
  3. ^ なぎなたの服装・防具”. 公益財団法人全日本なぎなた連盟. 2020年4月23日閲覧。
  4. ^ なぎなたの見方”. 公益財団法人全日本なぎなた連盟. 2020年4月23日閲覧。
  5. ^ a b 福田啓子 (2013), 「リズムなぎなた」の発祥から伝播・発展に関する研究, 日本武道学会, doi:10.11214/budo.46.31, https://doi.org/10.11214/budo.46.31 2020年4月23日閲覧。 


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