かが (護衛艦) 艦歴

かが (護衛艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/30 20:39 UTC 版)

艦歴

「かが」は、しらね型護衛艦2番艦「くらま」の代替艦として計画され、23中期防に基づく平成24年度計画19,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(24DDH)として、ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2013年10月7日に起工され、2015年8月27日に命名・進水、2016年8月5日に公試開始となった[6]

2017年3月22日に就役し[7][8]第2護衛隊群佐世保基地)に編成替えとなった「いせ」に替わり、第4護衛隊群第4護衛隊に編入された。定係港はとなり[9]、同年4月3日に同港へ初度入港した[10]

同年7月14日から17日にかけて艦名ゆかりの石川県金沢港に寄港[11][12]。15日の一般公開には15,000人が来艦し[11]、高い関心を集めた。なおこの一般公開の際に招待客が昇降機の開口部から転落しけがを負う事故が起き、2018年7月3日に業務上過失傷害の疑いで当時の艦長と副長が書類送検された[13]

2018年7月13日から7月20日まで平成30年7月豪雨を受けて、呉で被災者への入浴支援を行った[14]

同年8月26日から10月30日までのインド太平洋方面派遣訓練に護衛艦「いなづま」「すずつき」とともに参加し、インドインドネシア共和国シンガポール共和国スリランカ民主社会主義共和国フィリピン共和国を訪問[15]。9月13日には南シナ海で潜水艦「くろしお」と合流し、対潜戦の訓練を実施した[16][17]。 9月26日にはスマトラ島西方海空域において「いなづま」とともに南シナ海へ向かうイギリス海軍フリゲート艦アーガイル」と日英共同訓練を実施した[18]。10月11日から10月15日にかけてインド海軍との共同訓練「JIMEX 18」を実施した[19][20]。同月18日、訓練最後の寄港地となるシンガポールに入港した[21]。同月23日まで寄港し、シンガポール海軍と訓練を行う予定と報道された[22]

その後は再び南シナ海に入り、中国人民解放軍海軍駆逐艦蘭州」の追尾を受けつつ行動し、10月25日に米海軍補給艦ペコス」から「いなづま」とともに洋上補給を受けた[23]

2019年5月28日に海上自衛隊横須賀基地にて、来日中のドナルド・トランプ米大統領と安倍晋三首相が乗艦し視察を行った[24]

同年9月26日から10月4日にかけて日米印共同訓練(マラバール2019)に参加。訓練は佐世保から関東南方に至る海空域において実施され、海自からは他に護衛艦「さみだれ」「ちょうかい」、補給艦おうみ」、P-1哨戒機 が加わった。米海軍からは駆逐艦「マッキャンベル」、P-8A潜水艦インド海軍からはフリゲートサヒャドゥリ」、 コルベットキルタン」、 P-8I が参加し、対抗訓練、対潜戦訓練、対空戦訓練、対水上射撃訓練、対空射撃訓練、洋上補給訓練を実施した[25]

令和元年の観艦式に参加予定であったが、令和元年東日本台風(台風19号)により観艦式は中止となり、10月13日より「かが」は救援活動の統合任務部隊に組み込まれて、福島県沖でヘリコプターの洋上基地など任務を担った[26]。10月14日、観艦式の代わりに横須賀・木更津にて「いずも」など16隻の艦艇が一般公開された。10月16日、「いずも」が救援物資と搭載して横須賀を出港し、「かが」と交代して救援活動の統合任務部隊に加わった[27][28]

2020年9月7日から10月17日にかけて護衛艦「いかづち」とともに令和2年度インド太平洋方面派遣訓練に参加し、インド太平洋地域の各国海軍等との共同訓練等を実施した[29]。9月13日から17日の間は南シナ海においてオーストラリア海軍駆逐艦「ホバート」、補給艦「シリウス」と日豪共同訓練を実施[30]。9月24日にはコロンボ港周辺海空域においてスリランカ海軍哨戒艦ガジャバフ」と日スリランカ共同訓練(JA-LAN EX)を[31]、9月26日から28日の間はインド西方海空域においてインド海軍駆逐艦「チェンナイ」、フリゲート「タルカシュ」、補給艦「ディパック」及び航空機と日印共同訓練(JIMEX)を実施した[32]。10月9日には南シナ海において潜水艦「しょうりゅう」と対潜戦訓練を[33]、10月12日には同海域において米海軍駆逐艦「ジョン・S・マケイン」、補給艦「ティピカヌー」と日米共同訓練を実施した[34]

2021年8月20日から11月25日にかけて護衛艦「むらさめ」「しらぬい」及び搭載航空機4機とともに令和3年度インド太平洋方面派遣訓練に参加した。海自からは他に潜水艦1隻、第1航空隊第11飛行隊所属のP-1哨戒機1機が参加し、インド太平洋地域の各国や同地域に艦艇を派遣している欧州主要国の海軍等との共同訓練等を実施した[35]8月26日から29日にかけて、西太平洋フィリピン海)において実施された日米印豪共同訓練(マラバール2021)に参加した[36]。米海軍からは駆逐艦「バリー」、補給艦「ユーコン」、P-8A哨戒機が、インド海軍からはフリゲート「シヴァリク」、コルベット「カドマット」、P-8Iが、オーストラリア海軍からはフリゲート「ワラマンガ」が参加し、対潜戦訓練、防空戦訓練、洋上補給訓練等を実施した[36]。9月1日、パラオ周辺海空域において、パラオ共和国海上保安局巡視船「ケダム」「レメリークII」と日パラオ親善訓練を実施した[37]。9月18日にはオーストラリア北方海空域においてオーストラリア海軍哨戒艇マイトランド」と共同訓練を実施した[38]。同月24日、インド洋東方海空域において、ドイツ海軍フリゲート「バイエルン」と日独共同訓練[39]を、29日には米海軍補給艦「ユーコン」と日米共同訓練を実施した[40]。同年10月4日、コロンボ周辺海空域スリランカ海軍哨戒艦「サガラ」と日スリランカ共同訓練(JA-LAN EX)を実施し[41]、10月6日から8日にかけてインド西方海空域においてインド海軍駆逐艦「コチ」、フリゲート「テグ」などと日印共同訓練(JIMEX)を実施した[42]

同年10月11日から14日にかけて、「むらさめ」とともに日米印豪共同訓練(マラバール2021)フェーズ2に参加した。米海軍空母「カール・ヴィンソン」他、米海軍、印海軍、豪海軍の艦艇、航空機と対潜戦訓練、対水上訓練射撃、洋上補給訓練等を実施する[43]。10月15日から18日には空母「カール・ヴィンソン」他、米海軍、豪海軍の艦艇、英海軍空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英国空母打撃群(CSG21英語版)と日米豪英共同訓練を実施した[44]

同年10月29日から11月4日にかけて、南シナ海において米海軍空母「カール・ヴィンソン」、巡洋艦「レイク・シャンプレーン」「シャイロー」、駆逐艦「ミリウス」と日米共同訓練を実施した[45]。11月7日にはカムラン沖において、ベトナム海軍フリゲート「ディン・ティエン・ホアン」と日越親善訓練を実施した[46]。11月8日から12日にかけて、南シナ海において駆逐艦「ミリウス」と日米共同訓練を[47]、11月14日にはフィリピン海軍フリゲート「ホセ・リサール」と日比親善訓練を[48]、11月16日には海自潜水艦、P-1哨戒機、米海軍駆逐艦「ミリウス」、P-8Aと日米共同対潜訓練を実施した[49]

2022年3月から、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)呉事業所において、第1回特別改造工事が開始され、同工事は2024年3月29日に計画どおり完了したことが海上自衛隊から発表された[50]


  1. ^ a b c 月刊『世界の艦船』2015年5月号(通巻816号)p.2
  2. ^ 海外メディアではしばしば「ヘリ空母」と表現される。例:JMSDF helicopter carrier JS Kaga in India for joint ASW drill’, navaltoday.com(2018年10月8日)2019年9月19日閲覧。
  3. ^ “石川ゆかりの名護衛艦「かが」紹介”. 北國新聞社. (2016年11月15日) 
  4. ^ 平成24年度予算の概要 防衛省、2頁
  5. ^ 平成24年度防衛関係予算のポイント 財務省、10頁
  6. ^ “護衛艦「かが」初公試、完成秒読みに 海自ヘリ空母、4隻体制化の大きな意味、浮き彫りになる課題”. オリジナルの2016年8月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160817150336/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00010002-norimono-bus_all 
  7. ^ “海自最大の護衛艦「かが」就役 248mのヘリ空母型”. 朝日新聞デジタル. (2017年3月22日). http://www.asahi.com/articles/ASK3P61MXK3PUTIL05M.html 
  8. ^ 海自最大の護衛艦「かが」が就役 - YouTube(朝日新聞社提供、2017年7月6日公開)
  9. ^ 海自最大のヘリ護衛艦「かが」、母港の呉に初入港 - YouTube(朝日新聞社提供、2017年7月6日公開)
  10. ^ 浜村満大、見田崇志「護衛艦かが呉初入港 海自最大級反対派は抗議」『中国新聞日刊』第44133号、中国新聞社広島県広島市中区、2017年4月4日、社会第17版、25面。2020年7月25日閲覧。
  11. ^ a b “護衛艦「かが」公開に1万5000人 金沢港、見学者でにぎわう”. 北國新聞. (2017年7月16日) 
  12. ^ “護衛艦かが 金沢港に寄港!一般公開 現地レポート 【前編】”. 金沢まちゲーション. (2017年7月17日). http://kanazawamachigation.com/photo/15440/ 2018年6月21日閲覧。 
  13. ^ “海自護衛艦艦長ら2人書類送検 招待客の転落事故容疑 金沢”. 産経新聞. (2018年7月3日). https://www.sankei.com/west/news/180703/wst1807030055-n1.html 2019年12月1日閲覧。 
  14. ^ “平成30年7月豪雨に係る自衛隊の災害派遣について(11:00現在)” (pdf). 防衛省. (2018年7月21日). https://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/07/21a.pdf 2018年8月19日閲覧。 
  15. ^ 平成30年度インド太平洋方面派遣訓練の実施について (PDF)
  16. ^ “中国をけん制、南シナ海で潜水艦訓練…海自公表”. 読売新聞. (2018年9月18日). https://www.yomiuri.co.jp/politics/20180917-OYT1T50081.html 2018年9月18日閲覧。 
  17. ^ 対潜戦訓練の実施について (PDF)
  18. ^ 日英共同訓練の実施について (PDF)
  19. ^ かがといなづま、インド海軍と共同訓練「JIMEX 18」を実施” (2018年10月15日). 2018年10月16日閲覧。
  20. ^ インド海軍との親善行事及び共同訓練の実施について” (PDF) (2018年10月15日). 2018年10月16日閲覧。
  21. ^ “海自護衛艦「かが」がシンガポールに寄港 中国を牽制”. 産経新聞. (2018年10月18日). https://www.sankei.com/article/20181018-SMM6T2QSQFNFTODT3WDW4PNWQA/ 2018年10月19日閲覧。 
  22. ^ “海自護衛艦、シンガポールに寄港 最新鋭の「かが」、共同訓練で”. 中日新聞. (2018年10月18日). https://web.archive.org/web/20181019040931/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018101801002020.html 2018年10月19日閲覧。 
  23. ^ “日米の洋上給油「監視」する中国艦 南シナ海”. 朝日新聞. (2018年10月26日). https://www.asahi.com/articles/ASLBT53HMLBTUTIL02M.html 2018年10月29日閲覧。 
  24. ^ “トランプ大統領、海自護衛艦「かが」乗艦 日米同盟アピール”. 毎日新聞. (2019年5月28日) 
  25. ^ 日米印共同訓練(マラバール2019)について (PDF)
  26. ^ modjapan_saigaiのツイート(1183295135615860736)
  27. ^ jmsdf_yrhのツイート(1184399828442218497)
  28. ^ JMSDF_PAOのツイート(1184337003061506048)
  29. ^ 令和2年度インド太平洋方面派遣訓練の実施について (PDF)
  30. ^ 日豪共同訓練について (PDF)
  31. ^ 日スリランカ共同訓練(JA-LAN EX)について (PDF)
  32. ^ 日印共同訓練(JIMEX)について (PDF)
  33. ^ 対潜戦訓練について (PDF)
  34. ^ 日米共同訓練について (PDF)
  35. ^ 令和3年度インド太平洋方面派遣訓練について (PDF)
  36. ^ a b 日米印豪共同訓練(マラバール2021)について
  37. ^ 日パラオ親善訓練の実施について (PDF)
  38. ^ 日豪共同訓練について (PDF)
  39. ^ 日独共同訓練の実施について (PDF)
  40. ^ 日米共同訓練について (PDF)
  41. ^ 日スリランカ共同訓練(JA-LAN EX)について (PDF)
  42. ^ 日印共同訓練(JIMEX)の実施について (PDF)
  43. ^ 日米印豪共同訓練(マラバール2021)の一部変更について (PDF)
  44. ^ 日米豪英共同訓練(Maritime Partnership Exercise)の実施について (PDF)
  45. ^ 日米共同訓練について 海上幕僚監部(2021年11月5日) (PDF)
  46. ^ 日越親善訓練について 海上幕僚監部(2021年11月8日) (PDF)
  47. ^ 日米共同訓練について 海上幕僚監部(2021年11月13日) (PDF)
  48. ^ 日比親善訓練について 海上幕僚監部(2021年11月15日) (PDF)
  49. ^ 日米共同対潜訓練について 海上幕僚監部(2021年11月16日) (PDF)
  50. ^ 防衛省 海上自衛隊 [@JMSDF_PAO] (2024年4月6日). "護衛艦「かが」の第1回特別改造工事が令和6年3月29日に計画どおり完了しました。". X(旧Twitter)より2024年4月6日閲覧
  51. ^ 海上自衛隊:護衛艦「かが」ロゴマーク決定
  52. ^ 護衛艦「いずも」、正真正銘の空母へ。F35Bの発着艦に必要な改修費31億円を計上”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2019年12月20日閲覧。
  53. ^ a b c 護衛艦「かが」、「いずも」に続いて空母へ。F35B搭載の改修費231億円を要求。カタパルトは設置せず”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月30日閲覧。
  54. ^ a b 高橋浩祐 (2021年8月31日). “護衛艦「いずも」と「かが」の軽空母化、F35B搭載の改修費67億円を概算要求”. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/326a366a266a6cd99f4366142a931819a54b1020 2021年8月31日閲覧。 
  55. ^ 護衛艦「いずも」と「かが」の軽空母化、F35B搭載の改修費61億円を予算計上”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2021年12月24日閲覧。
  56. ^ 海上自衛隊の護衛艦かが、艦首が長方形になった姿で初めて出渠 F35B搭載に向けて軽空母化改修着々と(高橋浩祐) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年6月28日閲覧。
  57. ^ 護衛艦「かが」ついに“空母化”達成! 乗員ツートップが艦名&番号筆入れ”. 乗りものニュース (2023年10月12日). 2023年10月12日閲覧。
  58. ^ 海上自衛隊 第4護衛隊群 [@JMSDF_4EL_HQ] (2023年10月10日). "おはようございます。本日の投稿は「かが」の艦名・艦番号の筆入れの様子です。". X(旧Twitter)より2023年10月22日閲覧
  59. ^ おかえり!空母になった巨艦「かが」基地に初帰還 奇しくも空母「加賀」の進水日と同日”. 乗りものニュース (2023年11月20日). 2023年11月20日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「かが (護衛艦)」の関連用語

かが (護衛艦)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



かが (護衛艦)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのかが (護衛艦) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS