竹林
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/13 03:43 UTC 版)
竹林(たけばやし、ちくりん)は、 竹で構成された林である。竹藪(竹薮、竹籔、たけやぶ、たかやぶ)とも言う。
概要
竹は地下茎がよく横に這い、随所から地上に茎を伸ばすため、多くの場合、ほぼ単独種からなる群落を作る。これを一般に竹林と言う。竹は一般の樹木とはその姿も性質も異なる。竹の幹は丈夫ではあるが肥大成長はせず、せいぜい両手に収まる程度の太さのものが一面に並ぶ。竹は繁殖力が強いうえ、成長が速く地表への日光入射を妨げるため竹藪には他の植物が生えにくく[1]、竹が密生した独自の景観を作る。林床には竹の葉だけが一面に広がるが、一般の樹木の葉のように黒っぽくならないため、竹林全体がほの明るい印象となることが多い。
- 特有の生物相
竹林は独特の生物相を持つことでも知られる。一部の腐生植物のラン科のもの(ヤツシロランなど)には、往々にして竹林に出現するものがある。キノコ類でも、キヌガサタケなどがよく竹林に出現するものとして知られている。一方で前述のように、他の樹木や草の生育を妨げがちである。動物では、イノシシがタケノコ(筍)を食べるために現れる[1]。
- 資源採取場所としての竹林
アジアの多くの国々で竹は貴重な天然素材としてさまざまに活用されているので、竹林は資源が大量に得られる場所でもある。
- 竹林の防災機能の有無
竹林は資源として人が伐採を適度に行いつつ管理を行うと、地震の際には地滑りを抑止する機能を持つ。だが集中豪雨などでは、地すべり抑止とならないことがあるという。#竹林の防災機能
竹林の世界分布
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日本の竹林
2019年時点で、日本の竹林総面積は約16万7000ヘクタールと、2017年までの10年間で約8000ヘクタール増えた(林野庁による)[1]。このように竹は日本でごく普通に見られるが、ほぼ全ての種が帰化植物と考えられる。一部の種には日本野生説もあるが、ほとんどは中国大陸原産である。笹は日本産のものが多くあり、地方変異も数多い。モウソウチクを除く種の多くは、その地域でしか生育しないことが多いが、その理由は不明である。
- 日本での歴史
竹林は日本古来の植生ではない。
ただし『古事記』や『万葉集』には竹に関する記述があり、日本でもこうした書物が書かれた時代ころには一応書物に登場するようになってはいた。ただし当時の書物に登場する「竹」というのは多くはチシマザサ類を指すものであった。マダケのような現在親しまれている竹類については、一部に自生していたとの説もあるが、仮にそうであっても極めて珍しく、現在のような竹林はほとんどがそれ以降の中国大陸からの持ち込み、栽培を元にしたものであると考えられている。
マダケ類は8世紀頃に持ち込まれ、当時はおそらく貴族の間だけで栽培され、貴族の儀礼等と関係を持っていた。
日本で竹林が一般に広く見られるようになったのは16世紀以降と考えられている。
(8世紀以降、あるいは16世紀以降は)竹林は日本人の生活・産業・芸術などに深い関わりを持っている。
- 天然素材が得られる場所
現在でも郊外などで、平地と里山を結ぶ緩衝地帯などに多くの竹林を見ることができる。日本でも(アジア諸国同様に)竹は貴重な天然素材として多用されており、竹林は竹が大量に得られる場所である。
マダケはその真っ直ぐでしなやかな特性を生かして竹細工、建材、家具、釣竿などに最も多く利用されてきた。大分県のマダケは面積、生産量とも全国一のシェアを占めており[2]、別府市周辺の別府竹細工や日田市の竹箸など、大分県では豊富な竹材を利用した竹工芸が歴史的に盛んである。
なお日本の竹林は世界的な発明にも影響を与えた。京都府八幡市の石清水八幡宮境内の竹林のマダケは、エジソンが1882年白熱電球のフィラメントとして利用したことで知られる。この竹林からは電球発明の翌年から10数年もの永い間、多くの竹がアメリカのエジソン工場に輸出され、炭素白熱電球の生産に利用された。境内にはエジソンの記念碑が建つ。記念碑は中央にエジソンのリレーフを、向かって右側には「The memory of Thomas Alva Edison 1947-1931」と書かれている。
- 竹林と日本の文化
日本では庭園を構成する要素の一つとしても重宝されるなど、竹林の織り成す景観は日本の風土を象徴するものの一つとなっており、特に京都の寺院や郊外の景観を形づくる要素の一つとして大きな比重を担ってきた。春には竹林に入り、筍を掘るのは日本の風物詩の一つである。また、日本画、水墨画のモチーフとしてもしばしば用いられ、多くの文人墨客が竹林の持つ独自の繊細なイメージから多くのインスピレーションを受けてきた。
また、視覚のみならず、風が竹林を通り抜ける際のざわめきは日本人の耳には心地よく響き、風情を感じさせるものとして俳句や和歌などに歌われ、多くの文学者、画家などの想像力を刺激してきた。旧環境庁の「残したい日本の音風景100選」(京の竹林)にも選ばれるなど、日本人の「音風景」「心象風景」の一つとも言える。
竹林の防災機能
竹林は条件によって通常の森林以上の防災機能を持つ場合もあるし、そうでない場合もある。ただし、災害の種類によっては研究がいまだに十分であるとは言えない。
竹林と土砂崩れ
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以下の内容は竹害#土砂崩れへの影響からの抜粋です。
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降雨による竹林斜面の土砂崩れへの影響については2000年代までにも複数の研究がなされてきたが、数式を使った分析が不十分である、竹が地表面と水平に広げた根の崩壊防止効果が十分に考慮されていないといった課題があった[3][注釈 1]。このため2017年に出版された宮城昭博と三好岩生による論文では竹の根の崩壊防止効果を見直したうえで竹林斜面の崩壊条件を示す数式を提案している[3]。
このモデルでは不安定土層厚の大きい谷地形や大規模な斜面ほど竹林の侵入により斜面が不安定化すると予測されるため、谷地形の大規模な竹林に優先的に対処すべきであると考えられる[5]。なお当然ながらこのモデルはさらなる検証が必要であるほか、この研究では竹林の管理や侵入からの年数が竹林斜面の安定性に与える影響の評価は扱われておらず、今後研究が進むことが望まれる[3][注釈 2]。
なお、竹の一種ホウライチクは根を地面に垂直に深く張るため、むしろ斜面の崩壊を防止することが知られている[7]。
竹林と地震
上田弘一郎氏は経験則をもとに竹林は地震に強いと述べているが、定量的な評価は行っていない[8]。
なお、地震が原因の土砂崩れの起こりやすさについての現時点での[注釈 3]知見は、竹林どころか森林全般に関しても不十分であり[9]、今後の研究の進展が待たれる。
竹林の保水力
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以下の内容は竹害#保水力への影響からの抜粋です。
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竹林の拡大は森林の保水力(水源かん養保安林などに求められるいわゆる緑のダム機能)に影響を与えている可能性が否定できない[10]。このことは藤原洋一らの2016年の論文で明らかにされた。
藤原らは拡大竹林(竹が森林など他の植生を置き換えた土地)において竹の根が増加するほど土壌の保水性が低下していること、地表に達した水の移動の多くが竹の根(枯死したものも含む)や地中の亀裂に沿っていること[注釈 4]を明らかにした[10]。
これ以前の研究では、竹林土壌の浸透能が比較的大きいこと、地表流が少ないこと、竹林からの水の蒸発散量が針葉樹の人工林と大きく変わらないことなどが明らかになっていたが、竹林の地表に到達した水の移動の多くは竹の根や地中の亀裂に沿っていることを考えると、これらの研究だけで竹林の拡大が川の水量に与える影響を評価することはできない[10]。今後は地表に達した水の移動経路別の割合の測定や、流域レベルでの水量への影響の推定といった研究が求められる[10]。
管理不足の竹林で起きること、その対策
現代では、竹に代わる素材(プラスチックなど)の普及、外国産の安い竹材・筍の輸入、地方の過疎化・高齢化などにより、日本の竹林の資源としての利用が減り、結果として適正に管理されない竹林の割合が増えている。こうした放置竹林の拡大は他の植物を圧迫するうえ(生物多様性の低下)、前述のように地滑り被害にもつながりかねない[1](「竹害」参照)。このため、竹を伐採して樹木(クヌギやイチョウなど)に植え替えたり、竹を竹炭や竹紙、バイオマス発電燃料などに加工したりする取り組みが行われている地域もある[11]。
その他
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 「荒れる竹林 迫る地滑り/過疎化で放置 急拡大」『読売新聞』夕刊2019年1月10日(社会面)。
- ^ ひらまつもりひこ分権文化論 第27話 竹の共通性-アジア各国の協力テーマに-(平松守彦、2008年4月25日閲覧)によれば、約42%(2001年時点)。
- ^ a b c d e 宮城 昭博; 三好 岩生 (2017). “斜面安定に対する竹林地下部の力学的効果”. 砂防学会誌 (砂防学会) 70 (1): 3–9. doi:10.11475/sabo.70.1_3.
- ^ a b c 上田弘一郎 (1979). 竹と日本人. NHKブックス. 日本放送出版協会. pp. 123-126
- ^ 宮城 昭博; 三好 岩生 (2016). 竹林の拡大と斜面安定 (PDF) (Report). 砂防学会. 2025年6月29日閲覧.
- ^ 小泉圭吾、谷本親伯「竹林の表層地盤特性について」『Bamboo Journal』第25号、一般社団法人竹文化振興協会、2008年、8-16頁。
- ^ 久米啓介 (2006). “斜面崩壊に対する直根型特竹(ホウライ竹)の補強効果”. 豊田工業高等専門学校研究紀要 (39): 79-80. doi:10.20692/toyotakosenkiyo.KJ00004687314. オリジナルの2022-03-31時点におけるアーカイブ。 2024年10月28日閲覧。.
- ^ 上田弘一郎『竹と日本人』日本放送出版協会〈NHKブックス〉、1979年、130-132頁。
- ^ 田中宣多、中村満太、上田恭平、渦岡良介「樹木を有する斜面の地震時応答特性・安定性」『土木学会論文集a1(構造・地震工学)』第77巻第4号、土木学会、I_689–I_696、doi:10.2208/jscejseee.77.4_I_689。
- ^ a b c d 藤原洋一、両角圭祐、高瀬恵次、百瀬年彦、長野峻介、一恩英二「竹林拡大が土壌物理性および積雪・融雪に及ぼす影響」『農業農村工学会論文集』第84巻第3号、農業農村工学会、2016年、II_87-II_94、 ISSN 18822789。
- ^ 地域・企業 対策急ぐ/竹炭に加工「有効利用」『読売新聞』夕刊2019年1月10日(社会面)。
参考文献
- 『植物の世界』岩槻邦男他監修、朝日新聞社〈朝日百科〉、1997年10月。 ISBN 4-02-380010-4。
関連項目
外部リンク
竹林(たけばやし)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/29 19:35 UTC 版)
「High球!いんぷれっしょん」の記事における「竹林(たけばやし)」の解説
女子バレーボール部顧問。実績のない女子バレーボール部に対してあまりやる気を見せていない。ある日顧問に無断で体育館を使用して事故が起こったのを切っ掛けに廃部を宣告した。
※この「竹林(たけばやし)」の解説は、「High球!いんぷれっしょん」の解説の一部です。
「竹林(たけばやし)」を含む「High球!いんぷれっしょん」の記事については、「High球!いんぷれっしょん」の概要を参照ください。
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