ゴールデン・ハムスターとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 哺乳類 > ネズミ > ゴールデン・ハムスターの意味・解説 

ゴールデンハムスター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/09 02:37 UTC 版)

ゴールデンハムスター
ノーマルカラーのゴールデン ハムスター
保全状況評価[1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
: キヌゲネズミ科 Cricetidae
亜科 : キヌゲネズミ亜科 Cricetinae
: ゴールデンハムスター属 Mesocricetus
: ゴールデンハムスター M. auratus
学名
Mesocricetus auratus
(Waterhouse, 1839)[1]
和名
ゴールデンハムスター[2][3]
英名
Golden hamster[1][2]

ゴールデンハムスター (Mesocricetus auratus) は、キヌゲネズミ科ゴールデンハムスター属に分類される齧歯類。別名シリアン ハムスター[2]

分布

シリアトルコ[1]レバノンイスラエルなどに分布[4]。これらの地域の乾燥した草原や耕作地、半砂漠地帯などに生息。

形態

体長14 - 17センチメートル[2]体重は約100-200グラム。ショーが行われているスウェーデンでは200グラムがスタンダードとされているが、日本のゴールデンハムスターは150グラム前後の個体が多い。180〜200g以上が肥満とされる。

ゴールデンハムスター(ノーマル)の背面は黄褐色、腹面は褐色がかった白[2]。種小名auratusは「金色の」の意。漫画アニメに登場する、白にオレンジのよく見られるハムスターはゴールデンハムスターの野生色がモデルとなっている。

キンクマ、シルバー、チョコレートなど、カラーバリエーションが豊富である。

寿命は2 - 3年である[4]

生態

乾燥した岩場や砂地に生息する[2]。野生状態では地面に他の動物が掘った巣穴を間借りする習性がある。ほとんどの場合、特定の巣穴を持たず朝まで餌を探して約10〜20kmを移動しながら生活している。

成体は縄張り意識が強く、基本的に単独行動を行なう。夜行性の動物であり、昼間はほとんど寝ているが、夜になると活発に動き出す。視力が弱く明るい場所ではほとんど周りは見えていないが、暗闇ではわりとよく見ることができる。飼育下では生活リズムを正しくするため、直射日光の当たらないところで、かつ、昼夜の変化が分かる場所で飼育することが望ましい。なお、日光浴や野外の散歩をさせる必要はない。

植物の種子などを食べる[2]。草食寄りの雑食性で、植物の葉、、種、果実昆虫類、自分より小さい動物を食べることもある。これは乾燥地帯で生活していたために何でも食べるようになったと言われる。

以下は主に飼育下の知見に基づく。妊娠期間は15 - 16日[2]。1回に約15頭の幼獣を産む[2]。生後7週間で性成熟する[2]。寿命は2 - 3年と考えられている[2]。生後2 - 3か月で性成熟し、子供は大体4 - 17匹生まれる。ジャンガリアンハムスターより多産である。臭腺は背中の腰付近に2対ある。性格は全体としておっとりしており、性格の個体差が大きいジャンガリアンやロボロフスキーハムスターとは違って自分から寄ってきて人を噛むような好戦的な個体は少ない。(ただし、これは飼育しやすい個体を人為淘汰によって増やした結果とも言われる)。反面、同種同士の縄張り意識は強いため複数での飼育は避けるべきである。生まれた時から同居飼育されていた姉妹などは、まれに喧嘩をせずに天寿を全うすることもあるが、ほとんどの個体は成獣となると縄張り争いで喧嘩を始め、相手を殺傷・捕食する。

キヌゲネズミ亜科の例にもれず、目が悪い。反面、鼻と耳は効くため、それらによって環境を認識する。また単独行動をする。鳴き声はドワーフハムスターの「ジッ」「キッキッ」というものとは違い、モルモットに近い「ビヒッ」というものである。鳴くことは他のハムスター以上に少なく、この種が鳴くことはよっぽどのストレスを感じている時や、生命の異常事態であると言える。ただ、寝言で鳴くことはある。

ドワーフハムスターよりもほお袋を使う個体が多く、一度食物をほお袋に詰めたのち、巣に持って帰って吐き出して貯蔵する。また、ドワーフより大型で力が強く、脳容積も広いためか[要出典]、記憶力・集中力があり、脱走してしまった場合もたいてい帰巣できる。反面、ドワーフより工夫(回し車と壁の隙間を利用して登るなど)を凝らしてケージから脱走してしまうことも多い。ジャンプ力も強く、20〜30cm程度の高さまでジャンプすることができる。

ゴールデンハムスターの臭腺は左右の脇腹にひとつずつあり、縄張りに臭腺をこすりつけてにおい付けを行う。

人間との関係

農作物を食害する害獣とみなされることもある[1]。農地開発による生息地の破壊、害獣としての駆除などにより生息数は減少している[1]

分布域はシリアとトルコの国境周辺と限定的で、生息密度も少なくまれな種だと考えられている[1]。1797年に初めて文献に登場し、1839年に初めての実物標本が学会に提示されたが、その後は1930年までに標本は1頭のみしか採集例がなかった[3][5]どこかに雌のつがいがいたのは間違いなく、捕獲時点ですでに絶滅寸前だったのか今となってはわからないが発見当初から野生のハムスターはほとんどいないと言われており、発見されることは極めてまれである。上記の通り1930年に捕獲されて繁殖に成功するまで、「幻の動物」とまで言われていた。[要出典]

飼育下におけるゴールデンハムスターに関しては、1930年にシリアで捕獲された母親とその12頭の幼獣が起源となっている[2][3][4]当初の12匹のうち8匹が大学に送られ研究・繁殖が開始されたが、そのうち4匹が脱走、1匹が個体間での争いのなかで死に[要出典]、残った2匹の雌と1匹の雄の間で繁殖が行われた[5]。1年で約150匹ほどまで増えた後、1931年に母子の子孫の一部がイギリスに持ち込まれ、1938年にロンドン動物学協会が家畜化に成功[5]。以後はペットや実験動物として飼育されるようになった[2][5]。日本には1939年頃、歯の研究に関する実験動物としてアメリカから持ち込まれ、1965年頃にエキゾチックアニマルとして定着した[5]


飼育時の主食としては、ハムスター用の固形飼料(ペレット)を中心に与え、副菜として野菜(ニンジン、キャベツ、サツマイモ、ブロッコリー、小松菜、チンゲンサイ)の水気を切ったものを与えるのが望ましい。アク抜きが必要な野菜は必ずアクを抜いてから与える必要がある。ヒマワリの種やナッツ類、チーズなどは高カロリーな為、おやつとしてたまに与えることが望ましい。

縄張り意識が強い種なのでなるべく広いケージで飼うことが必要とされる。テリトリーとしての空間認識能力が高くケージ全体を縄張りと認識する個体がほとんどで、ドワーフハムスターのような小屋「寝ぐら」は必要ないとされている。

習性としては、床材などを山のように積み上げて潜る事を好む種類になる。

一転してドワーフハムスター(ジャンガリアン・キャンベル・ロボロフスキー)は安心して休める小屋「寝ぐら」が必要とされている。

映像作品やキャラクター商品も多数存在する。

ゴールデンハムスターのキャラクター

品種

他のハムスターに比べてペットとしての歴史も長いため、毛色や毛柄も一番種類が豊富である。基本的には、異なる毛色・毛質のゴールデンハムスター同士を交配させることが可能。

キンクマハムスター

毛色

  • 黒目クリーム(通称:キンクマ。オレンジ色っぽいものはアプリコットと呼ばれることもある)
  • シナモン(赤目またはブドウ目なのでクリームと区別できる)
  • ライトグレー・シルバーグレー・ダークグレー(日本ではいずれも、シルバーという名称で売られている)
  • ブラック・ディンジーブラック
  • チョコレート
  • アイボリー
  • 錆色
  • イエロー
  • アンブロウス
  • 黒目ホワイト(シルバー+黒目クリーム)
  • アルビノ(シナモン+黒目ホワイト。便宜上アルビノと呼ばれるが、一般的な色素のないアルビノではない。マウス等のアルビノとは違い、目が赤く、体毛が白いだけ)
  • バイオレット(ブラック+シナモン、ダークグレー+シナモン)
  • トリコロール(イエロー+原種)

※ その他、様々な色のコンビネーションが存在する。名称はあくまでも通称や愛称であり、明確に定められた正式名称ではない。

柄模様

  • バンデッド - 体の中央に白い帯(バンド)がある
  • ドミナントスポット - ランダムな斑点(スポット)がある
  • ローン - 霜降り状に色が混ざる

毛質

  • サテン - 光沢のある毛質
  • 長毛 - 頭の部分以外の毛が長い毛質
  • レックス - 縮れ毛の毛質
  • 無毛

出典

  1. ^ a b c d e f g Yigit, N. & Kryštufek, B. 2008. Mesocricetus auratus. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T13219A3421173. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T13219A3421173.en, Downloaded on 22 February 2018.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 遠藤秀紀 「ゴールデン ハムスター」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年、172頁。
  3. ^ a b c Julie Feaver 「ハムスター」柴内俊次訳『動物大百科 5 小型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、86-87頁。
  4. ^ a b c 学校飼育動物の診療ハンドブック”. 日本獣医師会. 2019年11月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e 『小学生でも安心! はじめてのハムスター 正しい飼い方・育て方』大庭秀一監修、メイツ出版2017年、26 - 27頁。

関連項目


ゴールデンハムスター(学名:Mesocricetus auratus)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 03:26 UTC 版)

ハムスター」の記事における「ゴールデンハムスター(学名:Mesocricetus auratus)」の解説

ペットハムスターとしては大型知能高く、人になれやすい。多少のことでは噛むことはない。ただし人間を敵であると認識する積極的に攻撃してくるほど気が強いところがある。ゴールデンパールホワイトダルメシアンロングコートなどの品種がある。特にアプリコット色の個体はキンクマハムスターと呼ばれることもある。

※この「ゴールデンハムスター(学名:Mesocricetus auratus)」の解説は、「ハムスター」の解説の一部です。
「ゴールデンハムスター(学名:Mesocricetus auratus)」を含む「ハムスター」の記事については、「ハムスター」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ゴールデン・ハムスター」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ゴールデンハムスター」の例文・使い方・用例・文例

  • ゴールデンハムスター類
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ゴールデン・ハムスター」の関連用語

ゴールデン・ハムスターのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゴールデン・ハムスターのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゴールデンハムスター (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのハムスター (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS