Tu-134 (航空機)
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ツポレフ134
Ту-134 (Tu-134)
Tu-134(ツポレフ134;ロシア語:Ту-134トゥー・ストー・トリーッツァチ・チトィーリェ)は、ソ連の航空機設計機関であったツポレフ設計局が開発した短中距離用のターボファン・双発ジェット旅客機である[1][2]。NATOコードネームはクラスティー(Crusty)が割り当てられた[2]。
歴史
1960年、ニキータ・フルシチョフがフランス訪問中にシュド・カラベルのデモンストレーション飛行の際に後方に配置されたジェットエンジンの快適で振動も少ない乗り心地に感銘を受け、ソ連帰国後に設計者のアンドレイ・ツポレフに次の旅客機のモデルはシュド・カラベル式を採用するように依頼した[3]。その時点で既にツポレフはTu-104を開発し1955年6月に初飛行していた、またTu-124も1960年3月に誕生していたがどちらとも急いで開発されたため経済性に難があった[3]。
1960年8月1日にソ連閣僚会議の布告により正式にツポレフ設計局に40席級の旅客機の開発が命じられた[3]。新旅客機はTu-124の派生型として開発が行われ、Tu-124の胴体に大幅な変更はなしに採用しフルシチョフ要請に通りにエンジンは尾部に配置され、降着装置の設計は変更されず尾翼はTu-124より広い面積となった[3]。
1962年の秋、最初の試作機の製造がモスクワのツポレフ設計局試験工房で始まったが早期の完成を目指していたためTu-214の部品が使われた、完成した試作機は登録記号:CCCP-45075であった[3]。1962年末に主任設計者がドミトリー・マルコフからレオニード・セリャコフへと変わり、1963年2月末にTu-124Aの名称は廃止されTu-134へと名を改めた[3]。
初飛行はTu-134として1963年7月29日に行われた[3]。1964年に量産が始まり、1967年9月にTu-134は初の定期便としてモスクワからアドラー (ロシア)までの路線に就航した[1][4]。
概要
Tu-134ではリア・エンジン方式を採用しエンジンはソロヴィヨーフ D-30を搭載した、エンジンを胴体後部に移したためT字尾翼となっている[5]。外見上はフランスのカラベルやアメリカのダグラスDC-9に似ている。主翼の後退角は35度[3]。初期に生産されたTu-134Aは機首部分が爆撃機のようなガラス風防になっており、航法士用の座席が用意されていた[5]。また初期型には逆噴射装置が搭載されていなかったため着陸時はパラシュートを使用していた[5]。また補助動力装置も当初は搭載されておらず逆噴射装置とともにTu-134Aからの搭載となった[2]。
国際民間航空機関から認証を受けた最初のソ連製航空機である[2]。
後に量産された機体は機首下面にレーダーが装備されたが、生産された多くはガラス張りの機体であった[3]。また胴体が細いためDC-9とほぼ同じ大きさでありながら乗客数はさほど多くなく、最大でも100名弱程度である。なお、西側諸国の同時期の同規模の機材に装備されていた機内オーディオシステムやオーバーヘッド・ストレージは装備していない。
試作機を含め累計で854機が製造され[4]、アエロフロート・ソビエト航空だけでなくインターフルークなど共産圏の航空会社などに多く導入されたため[2][3]、多くの共産主義国の国営航空会社の主力機種でもあった。また、一部は空軍などでも運用された[3]。製造は1989年に終了した[4]。1990年以降、IACOの定めた騒音基準を満たさず多くの西ヨーロッパの空港がTu-134を制限した[6]。1996年にはロシア国内だけで267機のTu-134が登録されていたが、4年後には159機まで減少した[3]。2007年以降、ロシアの経済危機や高騰した石油価格高騰により多くの航空会社がTu-134の運航を停止し、アエロフロート・ロシア航空では2008年1月1日にTu-134の運航を停止した[3]。
旧ソ連圏や旧東側諸国では現在も軍や政府専用機などで運用されている[3]。2020年末時点でロシア軍が60機のTu-134を主にTu-134Shが運用されており、ロシア連邦政府専用機では10機が運用されている[3]。また北朝鮮の高麗航空はTu-134の世界最後の商業運用航空会社である[6]。北朝鮮国内線で運用されているとされる、これについてはYouTubeのPoletMe Aviation Videos様の動画で確認できる。(外部リンクの項を参照)
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コックピット
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航法士用座席
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客席
事故
- 1979年8月11日に、ソ連(当時)国内線として運航されていたアエロフロート7880便と7628便の2機のTu-134が、ウクライナのドニプロゼルジーンシク上空で空中交差する際、航空管制官の誤った指示により、雲の中で2機が空中衝突し墜落した。両機の乗員乗客計178人全員が死亡したが、同一航空会社、同一機種の中型旅客機による空中衝突という前代未聞の事故となった。もっとも当時の国内線を運航していたのはアエロフロートのみであり、運航機体数も多かった。
- 1993年9月3日に、タンソンニャット国際空港からカンボジアのプノンペン国際空港に向かっていたベトナム航空815便が悪天候の中空港近くの森に突っ込み墜落。乗員・乗客65名が死亡する大惨事になったが、幼児1名のみが生還した。
→詳細は「ベトナム航空815便墜落事故」を参照
- 2007年3月17日に、ロシアの航空会社UTエアーのTu-134型旅客機(乗客乗員57人)が、ロシア南部サマラの空港で着陸に失敗し、7人が死亡、約20人が負傷した。着陸の際に脚部が作動せず、胴体着陸を強行したとの情報が伝えられた。濃霧の中で滑走路の手前に着地した可能性が指摘されている。機体は下部を中心に大破したが、火災は発生しなかった。同機はシベリアのスルグトからサマラに向かっていた。
→詳細は「UTエアー471便着陸失敗事故」を参照
- 2011年6月21日に、ロシアの航空会社ルスエアーのTu-134型旅客機(乗客乗員52人)が、ロシア北西部ペトロザボーツクの空港に向かっていたが、ペトロザボーツクの空港から約1キロ離れた幹線道路に緊急着陸しようとした際に、着陸に失敗し火災が発生。44人が死亡し、8人が病院に搬送された。ロシア当局は操縦ミスがあった可能性があると伝えられた。この事故を受けてTu-134のロシアでの商業サービスからの撤退が議論されている。
派生タイプ一覧
| 派生タイプ | 概要 | 生産数[3] |
|---|---|---|
| Tu-134 | 初期はTu-124Aと呼称.ガラス風防付き、当初定員は72〜76名[6]。 | 49機 |
| Tu-134A | エンジン系統を改良し、胴体を2.80m延長したもので定員は76〜84名[6]。 | 375機 |
| Tu-134A-2 | ガラス風防の廃止。 | |
| Tu-134A-3 | エンジンをソロヴィヨーフD-30に換装した主生産型。今日運用される機体はほぼすべてがこの型。 | |
| Tu-134AK | 162機 | |
| Tu-134B | 定員は80〜90名、ガラス風防の廃止[6]。 | 45機 |
| Tu-134B-3 | 定員は96名[7]、ガラス風防の廃止[6]。 | |
| Tu-134UBL | Tu-160の乗員訓練用機材として開発。機首がTu-160同様のものになっている。 | 78機 |
| Tu-134UBK | Tu-134UBLの海軍版である[8]。 | 1機 |
| Tu-134SKh | 地質測定や作物量評価などを行うタイプ[9] | 9機 |
| Tu-134B-1 | 定員は90名[7] | 不明 |
| Tu-134LK | 訓練用機材。 | |
| Tu-134BV | 特別試験機体。 | |
| Tu-134BSh | Tu-22Mの乗員練習機[8] | |
| Tu-135 |
Tu-134Bは胴体下部に増槽タンクがあるため膨らんでいるのがわかる[8]。
スペック
| Tu-134[10] | Tu-134A[10][11] | Tu-134B[12][9] | Tu-134B1[12] | Tu-134B3[10][12] | |
|---|---|---|---|---|---|
| 運航乗務員数 | 3/4名 | ||||
| 最大座席数 | 72席 | 84席 | 96席 | 90席 | 96席 |
| 全長 | 34.35m | 37.05m | 31.01m | ||
| 全高 | 9.02m | 9.14m | |||
| 最大離陸重量 | 44,500kg | 47,000kg | 52,390 kg | ||
| エンジン型式 | ソロヴィヨーフ D-30 | ソロヴィヨーフ D-30 シリーズ II | |||
| 巡航速度 | 900km/h | 905 km/h | |||
| 航続距離 | 2400km | 3020km | 4,398km | ||
| 初飛行年 | 1963年 | 1980年 | |||
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Tu-134UBK-Lの見取り図
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Tu-134Aの見取り図
主な運用者
現在運用している航空会社及び軍
2026年9月時点
過去に運用していた航空会社及び政府・軍
脚注
出典
- 1 2 Tupolev Tu-134 - Tupolev - Regional aircrafts
- 1 2 3 4 5 “Tupolev Tu-134 CRUSTY performance | aircraft investigation info | passenger aircraft”. aircraftinvestigation.info. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 “Tupolev Tu-134 Soviet-built Workhorse” (英語). www.key.aero (2021年2月4日). 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 3 “https://aerocorner.com/aircraft/tupolev-tu-134/” (英語). AeroCorner. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 3 “Tupolev Tu-134 | Handbook | Business Air News”. www.businessairnews.com. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 Debutify (2026年5月21日). “Tupolev Tu-134: a clear guide to its history and roles” (英語). Ready For Take-Off Book. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 “SuperJS check”. skybrary.aero. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 3 “ODIN - OE Data Integration Network”. odin.t2com.army.mil. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 “Soviet Workhorse”. Key Aero (英語). 2023年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年9月20日閲覧.
- 1 2 3 “Tupolev Tu-134, pictures, technical data, history - Barrie Aircraft Museum”. barrieaircraft.com. 2026年9月20日閲覧。
- 1 2 Polish Aviation Museum
- 1 2 3 https://www.patrickgrey.co.uk.“Aircraft Performance Database” (英語). Aircraft Performance Database. 2026年9月20日閲覧。
- ↑ “Russian Air Force Tu-134 Fleet Details (Active Aircraft)” (英語). www.planelogger.com. 2026年9月20日閲覧。
- ↑ Tupolev Tu-134 production list
- ↑ Tupolev Tu-134 production list
- ↑ Belavia Tupolev Tu-134 Photos | Latest Photos | Planespotters.net
- ↑ Gomelavia Fleet List and History - PlaneLogger
- ↑ EW-772DV | Tupolev Tu-134A-3 | Belarus - Air Force | Gleb Salko | JetPhotos
- ↑ Aircraft Photo of EW-65832 | Tupolev Tu-134A | Belarus Government | AirHistory.net #337979
- ↑ “Aerial Visuals - Airframe Dossier - Tupolev Tu-134, s/n 178 {1} NVA, c/n 9350912, c/r DDR-SCG”. www.aerialvisuals.ca. 2026年9月20日閲覧。
- ↑ LZ-TUT - Hemus Air (Tupolev Tu-134-B3) - PlaneLogger
- ↑ ES-AAP/ESAAP aviation photos on JetPhotos
- ↑ ELK Airways Tu-134A-3 - Other Aircraft Livery - X-Plane.Org Forum
- ↑ Aircraft Photo of CCCP-65134 | Tupolev Tu-134A | Air Ukraine | AirHistory.net #254118
- ↑ Accident Tupolev Tu-134B-3 4K-65703, Tuesday 5 December 1995
- ↑ Tupolev Tu-134A-3 Balkany - Azerbaijan - Government | Aviation Photo #0810191 | Airliners.net
- ↑ EK-65975 | Tupolev Tu-134 | Armenian Airlines | AlainDurand/Avimage | JetPhotos
- ↑ Armavia Tupolev Tu-134 Fleet Details (Historic Aircraft) - PlaneLogger
- ↑ EK-65975 | Tupolev Tu-134 | Armenia - Government | PAUL LINK | JetPhotos
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
- 国際戦略研究所(IISS) 編、防衛庁防衛局調査第二課 訳『ミリタリー・バランス 1981-1982』朝雲新聞社、1981年11月25日。 ISBN 4-7509-3003-2。
外部リンク
- Tu-134 (航空機)のページへのリンク