TOI-4342
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/26 07:40 UTC 版)
| TOI-4342 | ||
|---|---|---|
| 仮符号・別名 | TOI 4342 | |
| 星座 | はちぶんぎ座[注 1] | |
| 見かけの等級 (mv) | 12.669±0.057[2] | |
| 変光星型 | 惑星通過による変光星 | |
| 分類 | 主系列星 | |
| 位置 元期:J2000[1] |
||
| 赤経 (RA, α) | 21h 37m 32.8637131777s[1] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | −77° 58′ 43.510170538″[1] | |
| 視線速度 (Rv) | −4.43±0.36 km/s[1] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: 120.333 ミリ秒/年[1] 赤緯: -91.503 ミリ秒/年[1] |
|
| 年周視差 (π) | 16.2487 ± 0.0184ミリ秒[1] (誤差0.1%) |
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| 距離 | 200.7 ± 0.2 光年[注 2] (61.54 ± 0.07 パーセク[注 2]) |
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| 軌道要素と性質 | ||
| 惑星の数 | 2 + 1? | |
| 物理的性質 | ||
| 半径 | 0.599±0.013 R☉[2] | |
| 質量 | 0.6296±0.0086 M☉[2] | |
| 平均密度 | 2.985+0.089 −0.097 g/cm3[2] |
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| 表面重力 (log g) | 4.6878+0.0086 −0.0096[2] |
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| 自転周期 | ≤14 日[2] | |
| スペクトル分類 | M0V[2] | |
| 光度 | 0.0746±0.0053 L☉[2] | |
| 表面温度 | 3901±69 K[2] | |
| 金属量[Fe/H] | 0.187[3] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| TIC 354944123、2MASS J21373286-7758435[1] | ||
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TOI-4342とは、地球からはちぶんぎ座[注 1]の方向に約201光年離れた位置に存在する赤色矮星である。TOI-4342には2つのトランジットを起こす太陽系外惑星が存在していることが知られており、どちらの惑星も大気の組成を決定するための透過光分光測定に適したターゲットであると考えられている[2]。
特徴
| 太陽 | TOI-4342 |
|---|---|
TOI-4342は、有効温度が 3901±69 K(スペクトル分類はM0V)の赤色矮星である[2]。TOI-4342には掃天観測・スペックル・イメージング・ドップラー分光法によって伴星が存在しないことが判明している[2]。
惑星系
TOI-4342には、トランジット法によって発見された2つの太陽系外惑星が存在する。これらの惑星は、セクター13(2019年6月から7月)とセクター27(2020年7月)でTESSによって最初に観測され、2021年にフォローアップ観測としてラス・クンブレス天文台グローバル望遠鏡ネットワークによる地上からの観測でこれらの惑星の存在が確認された。この発見は2023年に公表された[2]。惑星の質量を決定するための視線速度測定を目的とした恒星の分光測定は、2022年4月から2023年3月にかけてESPRESSOによって、また2023年8月から10月にかけてESO 3.6m望遠鏡のNIRPSによって実施された[4]。これらの惑星は、2:1の平均運動共鳴に近い関係にある。
| 名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (日) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| b | 7.3±1.3 M⊕ | 0.0519+0.00020 −0.00021 |
5.5382592±0.0000034 | ~0 | 88.83±0.22° | 2.329+0.086 −0.085 R⊕ |
| c | 4.8±1.4 M⊕ | 0.0804+0.00032 −0.00031 |
10.688662±0.000015 | ~0 | 89.61±0.26° | 2.349+0.094 −0.092 R⊕ |
| d (候補) | >17.8+2.9 −3.0 M⊕ |
0.2154+0.0040 −0.0043 |
47.5±1.3 | ~0 | — | — |
これらの惑星は海王星より小さく、大きさは似ており、水素とヘリウムをかなりの割合で含む大気を持つと予想されている。計算された日射量に基づくと、平衡温度はそれぞれ 633.6+6.2
−6.3 K と 508.9+5.0
−5.0 K であると予測される[2]。
これらの惑星の半径は非常に近いものの、測定によって質量は大きく異なることが判明している。半径と質量の測定値から計算された密度は、惑星bが 3.18+0.70
−0.63 g/cm3、惑星cが 2.01+0.65
−0.60 g/cm3 である。これらの値に基づくと、惑星の組成については様々な解釈が可能である。惑星bは、地球のような核を持ち、質量分率が約50%の水蒸気で構成された大気に囲まれた海洋惑星である可能性もあれば、はるかに質量の小さい水素で構成された大気を持つ可能性もある。一方で、惑星cは推定密度が低く、平衡温度も低いことから、水を主とする大気モデルではなく、水素とヘリウムの存在量が多い大気であることを示唆している[4]。
ドップラー分光法による観測では、約48日の公転周期を持つ質量が 17.8±3.0 M⊕ 以上の惑星候補の存在も示唆されているが、TESSによる観測ではトランジットは検出されていない。これは、軌道傾斜角が大きいことが原因である可能性が高く、その場合、トランジットは地球からは観測できない。しかし、2026年1月時点では観測された期間が限られているため、トランジットが見逃された可能性もある。TESSは2026年に3ヶ月間、TOI-4342を再び観測する予定であり、この期間にトランジットが発生した場合、検出されるはずである[4]。
この系は2:1の平均運動共鳴になる軌道周期比から±5%の範囲に収まっているため、相互摂動によるトランジットタイミングの変化(TTV)を示すことが予想される。TTVを観測することにより、惑星の質量をより制限することが可能になる可能性がある。しかし、発見論文の公表時点では利用可能な観測データは限られており、線形天体暦から5分以上のずれを排除できる程度にとどまっていた[2]。観測された摂動の値が低かったことから、惑星の軌道離心率が低いことも判明している[2]。2026年に公表されたフォローアップ研究でも、TTVは観測されなかった。これは、TESSと地上からのトランジットデータのSN比が小さすぎるため、ドップラー分光法による観測から決定された質量に基づいて予測される振幅を明確に検出できないことが原因であると指摘されている[4]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i “TOI-4342”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年2月4日閲覧.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Tey, Evan et al. (March 2023). “TESS Discovery of Twin Planets near 2:1 Resonance around Early M Dwarf TOI 4342”. アストロノミカルジャーナル 165 (3). arXiv:2301.01370. Bibcode: 2023AJ....165...93T. doi:10.3847/1538-3881/acaf88.
- ^ Buder, Sven; Sharma, Sanjib; Kos, Janez; Amarsi, Anish M.; Nordlander, Thomas; Lind, Karin; Martell, Sarah L.; Asplund, Martin et al. (2021). “The GALAH+ Survey: Third Data Release”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 506: 150–201. arXiv:2011.02505. Bibcode: 2021MNRAS.506..150B. doi:10.1093/mnras/stab1242.
- ^ a b c d e Parc, Léna; et al. (29 January 2026). “Densities of small planets around the M dwarfs TOI-4336 A and TOI-4342 with ESPRESSO: Three sub-Neptunes, one super-Earth, and a Neptune-mass candidate”. arXiv:2601.22115 [astro-ph].
関連項目
- TOI-4342のページへのリンク