Sinc関数とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Sinc関数の意味・解説 

sinc関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/20 02:15 UTC 版)

正規化sinc(青) と非正規化sinc(赤)。−6π ≤ x ≤ 6π

sinc 関数(ジンクかんすう、シンクかんすう)は、正弦関数をその変数で割って得られる初等関数である。sinc(x), Sinc(x), sinc x などで表される。

定義

sinc 関数は、正規化 sinc 関数と非正規化 sinc 関数という名で区別される、2種類の定義を持つ。

  1. デジタル信号処理などでは、次の正規化 sinc 関数標本化関数ともいう)が普通である。
  2. 数学では、次の歴史的な非正規化 sinc 関数が使われる。

いずれの場合も、可除特異点である 0 での値が必要であればしばしば明示的に sinc(0) = 1[1] が定義として与えられる。sinc 関数はいたるところ解析的である。

sinc 関数は カーディナル・サイン (cardinal sine) とも呼ばれ、"sinc" (英語発音: [ˈsɪŋk]) の関数名はラテン語の sinus cardinalis を短縮したものである。

sinc関数の性質

本節では、特にことわらない限り正規化されたsinc関数について述べる。 非正規なsinc関数は正規化sinc関数と較べてスケールファクタ が違うだけなので、非正規なsinc関数に対する結果を得るには を代入すればよい。

特殊値など

    • ただし、整数の集合、クロネッカーのデルタ
    • つまり、 である。

フーリエ変換

フーリエ変換について:

  • ただし、
    • ただし、 はフーリエ変換対、 は(単位)矩形関数。つまり、矩形関数のフーリエ変換はsinc関数、sinc関数のフーリエ変換は矩形関数である。

テイラー展開

テイラー展開について:

定積分および広義積分

定積分および広義積分について:

不定積分

    • (非正規化)sinc関数の不定積分を正弦積分と呼び、 で表す。特殊関数である。また、積分定数である。

直交性

    • sinc関数の平行移動同士は直交する。

無限積

信号処理への応用

さまざまな用途が考えられるが、コンパクト台をもたない(非0の値が有限区間に限定されていない)ため、非常に多くの計算量を要することが多い。有限長で計算を打ち切らなければならないことも多く、無限長では生じない問題が発生することもある。概して、理論的背景やシミュレーションにとどまることが多い。

  • 直交性と ±∞ での収束性から、直交ウェーブレット変換基底に用いる。ただし、コンパクト台をもたないため、計算量が O(n2)Oランダウの記号)で増える。これは、コンパクト台をもつ基底だと計算量が O(n) であることに比べ、大きなデメリットである。
  • sinc 関数のフーリエ変換が矩形関数であることから、リサンプリング内挿の補間カーネル(低域通過フィルタ)に用いる。無限系列の信号に対しては、sinc 関数は理想的な補間カーネルである。しかし、コンパクト台をもたないことが実際の有限長の信号を処理する際には問題となるため、実際の信号処理では、sinc 関数に似たコンパクト台をもつ関数である、3次畳み込み関数や、ランツォシュ (Lanczos) フィルタなどが使われることが多い。
  • 矩形関数のフーリエ変換がsinc 関数であることから、sinc 関数を使えば、理想的なD/A変換ができる。但し、あくまでも理想論であり、計算量が無限大に発散する問題があるため、実際にこの方法で D/A 変換が行われるわけではない。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ これはx→0での極限 をそのまま定義化したものである。

参考文献

関連項目

外部リンク


「Sinc 関数」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Sinc関数」の関連用語

Sinc関数のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Sinc関数のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのsinc関数 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS